11 / 39
「比翼連理」——常盤仁作——
しおりを挟む
仁作が若頭、鴬が本部長に任命されてから2年が経過した。より専門的な契約書に目を通す仁作に少しの成長が窺える。
中層階の部屋にで人暮らしをしている状態は変わらず、「っだぁー。やっぱ、デスクワーク向いてねぇわ。頭痛い」と書類を卓上に叩きつける。
「ふふ、仁作は未だに文字の羅列が嫌いだね」
「2年前の就任した時から何も変わってねぇな。情けねぇ話だ」
「そんなことないよ! より細かいところまで理解できるようになったじゃん!」
そういって、鴬はマグカップを片手に卓上に置く。「一旦休憩にしよう?」。
淹れられた珈琲を眺めながら、立場が完全に逆転している事を如実に痛感せざるを得ない。それどころか、直系の家系に生まれた鴬が、こうして甲斐甲斐しく仁作の世話を焼いている器の広さに感銘する。
仁作が鴬のお茶を用意していた頃が酷く懐かしく、遠い昔のように感じてしまうのは、きっと若頭という役職の重責に圧迫されているからに違いない。
書類の一つもロクに見ることができず、幹部の人間や鴬に指南を受ける日々。本部長である前に、ピチピチの高校2年生に教わる24歳の大男——恥も外聞もプライドも、此処へ拾われた時から毛頭ないはずだった。
だが、仁作にはそれを邪魔する邪な恋慕がここ数年で肥大化させている。それはもう、一緒に住んでいるのが辛いと思うほどに。
仁作は珈琲を啜って、恋慕の甘さを打ち消す。だから、自然と口に含むカフェインの量が多くなる。
(俺の2年はほとんど成長してねぇのに、鴬の2年は違う。役職を貰ってから、俺の知らないところで動くことも増えた。何より、可愛いだけの鴬じゃなくなったことが大きい)
凛々しさを兼ね揃えた鴬に眉目秀麗といっても、常盤の人間に同意を求めればきっと納得するだろう。だが、背丈の伸び代はあまりないので、可愛らしさも残した完全なる二面性の出来上がりだ。
そうして、鴬の事を考えると珈琲を啜るのも頻発して、早々とマグカップの珈琲を空にしてしまった。
「……」
(軽率に好きだと言えたら、この危ない2人暮らしを再検討できたかもしれねぇな)
兄貴たちよりも遥かに同じ時間の中で過ごす(現在進行形で)日々に、勇気は奥底で停滞してうじうじとしているが、男の部分が我先にと表に出ようと仁作の与り知らないところでふつふつと噴火活動の準備をしている。何かの機会があれば、いつでも噴火できるように。
「はぁ。24にもなって高校生に指南を受けるなんてなぁー。俺、全然現場でいいんだけど。今でも思うんだよ。俺は頭になったのは、俺を拾ってくれた桔平さんの指示だったから、というのもあるけど、トップに立てば世話になった兄弟たちにも恩が返せると思ったんだ。……俺が思うより甘かなかったけど。俺ができることなんて、皆のために体を張ることくらいだし」
「……仁作。書類、もっと頑張ってみようよ」
「俺より周りの人間の方が速いし、効率的だろ?」
「今は、ね。でも、今でも若頭が大怪我をすることは効率的じゃない。周りの組に舐められる。それが原因で不必要に抗争問題に勃発されたら、それこそ、地域と密接に関わってるウチにとっては信用問題にまで発展する恐れがある」
「……珈琲、もう一杯淹れてくる」
中層階の部屋にで人暮らしをしている状態は変わらず、「っだぁー。やっぱ、デスクワーク向いてねぇわ。頭痛い」と書類を卓上に叩きつける。
「ふふ、仁作は未だに文字の羅列が嫌いだね」
「2年前の就任した時から何も変わってねぇな。情けねぇ話だ」
「そんなことないよ! より細かいところまで理解できるようになったじゃん!」
そういって、鴬はマグカップを片手に卓上に置く。「一旦休憩にしよう?」。
淹れられた珈琲を眺めながら、立場が完全に逆転している事を如実に痛感せざるを得ない。それどころか、直系の家系に生まれた鴬が、こうして甲斐甲斐しく仁作の世話を焼いている器の広さに感銘する。
仁作が鴬のお茶を用意していた頃が酷く懐かしく、遠い昔のように感じてしまうのは、きっと若頭という役職の重責に圧迫されているからに違いない。
書類の一つもロクに見ることができず、幹部の人間や鴬に指南を受ける日々。本部長である前に、ピチピチの高校2年生に教わる24歳の大男——恥も外聞もプライドも、此処へ拾われた時から毛頭ないはずだった。
だが、仁作にはそれを邪魔する邪な恋慕がここ数年で肥大化させている。それはもう、一緒に住んでいるのが辛いと思うほどに。
仁作は珈琲を啜って、恋慕の甘さを打ち消す。だから、自然と口に含むカフェインの量が多くなる。
(俺の2年はほとんど成長してねぇのに、鴬の2年は違う。役職を貰ってから、俺の知らないところで動くことも増えた。何より、可愛いだけの鴬じゃなくなったことが大きい)
凛々しさを兼ね揃えた鴬に眉目秀麗といっても、常盤の人間に同意を求めればきっと納得するだろう。だが、背丈の伸び代はあまりないので、可愛らしさも残した完全なる二面性の出来上がりだ。
そうして、鴬の事を考えると珈琲を啜るのも頻発して、早々とマグカップの珈琲を空にしてしまった。
「……」
(軽率に好きだと言えたら、この危ない2人暮らしを再検討できたかもしれねぇな)
兄貴たちよりも遥かに同じ時間の中で過ごす(現在進行形で)日々に、勇気は奥底で停滞してうじうじとしているが、男の部分が我先にと表に出ようと仁作の与り知らないところでふつふつと噴火活動の準備をしている。何かの機会があれば、いつでも噴火できるように。
「はぁ。24にもなって高校生に指南を受けるなんてなぁー。俺、全然現場でいいんだけど。今でも思うんだよ。俺は頭になったのは、俺を拾ってくれた桔平さんの指示だったから、というのもあるけど、トップに立てば世話になった兄弟たちにも恩が返せると思ったんだ。……俺が思うより甘かなかったけど。俺ができることなんて、皆のために体を張ることくらいだし」
「……仁作。書類、もっと頑張ってみようよ」
「俺より周りの人間の方が速いし、効率的だろ?」
「今は、ね。でも、今でも若頭が大怪我をすることは効率的じゃない。周りの組に舐められる。それが原因で不必要に抗争問題に勃発されたら、それこそ、地域と密接に関わってるウチにとっては信用問題にまで発展する恐れがある」
「……珈琲、もう一杯淹れてくる」
0
あなたにおすすめの小説
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる