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「遊馬組の徘徊の理由が分かった。あそこの会長の一人娘が21歳なんだと。で、来年大学卒業だそうだ。それを機に嫁がせたいらしい」
「見合い相手の身辺調査という訳だったんですね」先刻に山ほど聞いたチンピラの徘徊理由が克明になった。
「そういう事みたいだ」
「ちなみに、その娘さんの人となりは?」
「……あまり良くはないらしい。箱入り娘で甘やかされて育ったようで」
思わず安堵の息が溢れる。「じゃあ、こっちから願い下げだって事ね」。
「文句の付け所がない程、反対できますね」
「……まぁ、俺も反対するだろうな」
「爺さんのところに来たとしても、門前払いでしょう」
「これは、そこまで大事にする必要はなさそうですね」と鴬は鼻で笑って、話を一段落させて通話を終了した。
「僕が事務所に着いたら真っ先に自宅に行くから、運転終わったら事務所で仁作の手伝いをしてやってくれない?」
ドライバーに話しかける。もちろん、優秀な部下なので「了解です。今日は、若の誕生日のサプライズの練習っスよね!」と気前よく頼みを了承する。ニマニマしているので、癇に障る部分もあるが、仏心のように見逃すことにした。
「巡回した実りもあったことだし、サプライズに本腰入れるから、本っ当に事務所に拘束しててよ」
「大丈夫っスよ。兄弟たちと一生懸命にフルコースの練習してるの、俺、知ってるっスから」
「……うるさいよ。僕が勉強以外はからっきしだなんて、仁作にチクったら……知らないから」
「もちろんですよ! あ、あと、博識の鴬さんが料理のさしすせそすを知らなかったってエピソードも、若には内緒っスか?」
「……お前の給料、減給してやる。職権濫用だこの野郎」
「はいはい、大丈夫ですよ。ちゃんと黙っときますから」
部下に宥められたが、部下の方が年齢が上なので、側から見た構図的にはなんらおかしくないのはオフレコだ。
数週間後の今日、鴬は「今日のデスクワークは僕が全部引き受けるから、巡回してきてくれない?」という。
いつも書類を山積みにして、箱に閉じ込めていただけに、仁作の表情が綻ぶ様がまるで植物の開花のようだ。早送りで見られる変化が、鴬はリアルタイムで見ている。
「イイのか?!」
「はい、行ってきてください。たまには息抜きも必要でしょう」
(もちろん、遊馬組の使いっパシリも減っているらしいし、大丈夫なのを確認してるからね)
パワーバランスが逆転していることにも気づかずに、心なしか歩みが跳ねている仁作を見送り、事務所から急いで、中層階の自宅へ急いだ。
自宅に戻りいそいそと準備している最中、仁作の帰りにしては早いインターフォンが鳴る。だが、初めてのサプライズということもあって、ドギマギして仕方がない。兄弟た地には悪気はないので、深呼吸をしてからドアを開けた。
「鴬さん、今日の夜、そちらの誕生日会が終わってからでいいそうなので、会長の部屋、書斎にて召集がかかってます」と部下がエプロン姿の鴬を上から下まで見ながら、にんまりしていう。
舌打ちをしても、愛くるしいとまで思われているのだろう。彼らは仲が良い兄弟として、インプットしているらしい。
(冗談じゃない。僕らの仲を少しくらい異常だと思う奴が1人くらいいてもいいじゃん。お前らが思うほど兄弟愛なんかないんだから)
「見合い相手の身辺調査という訳だったんですね」先刻に山ほど聞いたチンピラの徘徊理由が克明になった。
「そういう事みたいだ」
「ちなみに、その娘さんの人となりは?」
「……あまり良くはないらしい。箱入り娘で甘やかされて育ったようで」
思わず安堵の息が溢れる。「じゃあ、こっちから願い下げだって事ね」。
「文句の付け所がない程、反対できますね」
「……まぁ、俺も反対するだろうな」
「爺さんのところに来たとしても、門前払いでしょう」
「これは、そこまで大事にする必要はなさそうですね」と鴬は鼻で笑って、話を一段落させて通話を終了した。
「僕が事務所に着いたら真っ先に自宅に行くから、運転終わったら事務所で仁作の手伝いをしてやってくれない?」
ドライバーに話しかける。もちろん、優秀な部下なので「了解です。今日は、若の誕生日のサプライズの練習っスよね!」と気前よく頼みを了承する。ニマニマしているので、癇に障る部分もあるが、仏心のように見逃すことにした。
「巡回した実りもあったことだし、サプライズに本腰入れるから、本っ当に事務所に拘束しててよ」
「大丈夫っスよ。兄弟たちと一生懸命にフルコースの練習してるの、俺、知ってるっスから」
「……うるさいよ。僕が勉強以外はからっきしだなんて、仁作にチクったら……知らないから」
「もちろんですよ! あ、あと、博識の鴬さんが料理のさしすせそすを知らなかったってエピソードも、若には内緒っスか?」
「……お前の給料、減給してやる。職権濫用だこの野郎」
「はいはい、大丈夫ですよ。ちゃんと黙っときますから」
部下に宥められたが、部下の方が年齢が上なので、側から見た構図的にはなんらおかしくないのはオフレコだ。
数週間後の今日、鴬は「今日のデスクワークは僕が全部引き受けるから、巡回してきてくれない?」という。
いつも書類を山積みにして、箱に閉じ込めていただけに、仁作の表情が綻ぶ様がまるで植物の開花のようだ。早送りで見られる変化が、鴬はリアルタイムで見ている。
「イイのか?!」
「はい、行ってきてください。たまには息抜きも必要でしょう」
(もちろん、遊馬組の使いっパシリも減っているらしいし、大丈夫なのを確認してるからね)
パワーバランスが逆転していることにも気づかずに、心なしか歩みが跳ねている仁作を見送り、事務所から急いで、中層階の自宅へ急いだ。
自宅に戻りいそいそと準備している最中、仁作の帰りにしては早いインターフォンが鳴る。だが、初めてのサプライズということもあって、ドギマギして仕方がない。兄弟た地には悪気はないので、深呼吸をしてからドアを開けた。
「鴬さん、今日の夜、そちらの誕生日会が終わってからでいいそうなので、会長の部屋、書斎にて召集がかかってます」と部下がエプロン姿の鴬を上から下まで見ながら、にんまりしていう。
舌打ちをしても、愛くるしいとまで思われているのだろう。彼らは仲が良い兄弟として、インプットしているらしい。
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