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臨場
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クリスマスイブの夜に、若い女性の死体が、マンションの一室で発見された、という通報が警視庁に届いたのは、午後4時の頃のことであった。発見者は、マンションの管理人で、若い女性の悲鳴が聞こえて、駆けつけてみたら、ドアが開けっぱなしになっている部屋があったので、不審に思って入ってみたら、その部屋の住人である、斎藤茜が、腹部から血を流して倒れているのを、発見したのであった。捜査一課に所属する松前班という捜査グループが、検視官とともに臨場した。松前班を指揮するのは、主任である松前三郎警部補である。年齢は35歳。交番勤務から捜査一課に栄転した叩き上げの刑事であった。『被害者は、この部屋の住人である、斎藤茜と断定していいんだね』松前は部下の刑事に尋ねた。『ええ、管理人の証言がありますし、彼女のポケットの中の財布に入っていた免許証もありますから断定して間違いないです。』
部下の刑事は松前に免許証を渡した。氏名は斎藤茜となっており、ちゃんと顔写真も載っていた。まず、本人と断定して間違いないであろう。西暦1995年生まれと記載されている。まだ25歳と若いのに、松前はやりきれない気分になっていた。管理人の証言によると、同居人はおらず、部屋には彼女一人だけが住んでいたらしい。
斎藤茜の財布には、免許証の他に、現金数万円、レシート等が入っていた。羽織っていたジャンパーのポケットには、他にスマホが入っていた。机の引き出しを調べてみると、預金通帳とキャッシュカードが入っていた。これらの物が残されていることから、物盗りの可能性はまず、考えられない。被害者のポケットの中に財布が入っていたということは、これからどこかに外出しようとしていたのであろう。その証拠に、被害者の身につけている私服はおしゃれで、顔には化粧がしてあった。床には、写真立てが落ちており、被害者と一緒に、若い男性の姿がひび割れている写真に写っていた。『彼氏と、デートの待ち合わせをしていて、部屋を出ようとした際中に、犯人と鉢合わせしたのかな。それとも、彼氏が迎えにきて、些細なことで口論になって喧嘩して殺してしまったか。』松前は部屋の中を見渡しながら呟いた。部屋の中はひどく荒らされていた。タンスが横になっていたり、テーブルの椅子がひっくり返っていたり、ゴミ箱が倒されていて、ティッシュなどのゴミが散乱していた。下手をしたら物音で、周りの住人に気づかれるかもしれない。計画的な犯行とは到底思えない。衝動的な犯行だった可能性が高い。実際に近隣の住人たちに話を聞いてみると、物音がしたという証言が相次いだが、怪しい人物を見たという証言は得られなかった。松前は、被害者の知り合いの犯行の可能性が高いと判断した。現場の部屋は五階にあり、窓から忍び込むことは困難であり、また窓は鍵がかかって閉まっており、壊された形跡もない。被害者が住んでいた部屋のドアには、チェーンロックがつけられており、容易に不審者が出入りできない仕組みになっていた。おそらく、被害者の知り合いである何者かが、被害者に迎えられて、堂々と部屋に入ったに違いない。被害者の身辺を当たれば、自然と犯人に近づくであろう。『ところで、被害者の家族には連絡入れたのか』『ええ、彼女のスマホに登録されていた、電話番号から、ご両親に連絡をしました。現場の方には来ないように伝えて、彼女が司法解剖される予定の、警察病院で待ってもらっています。』現場の捜査もあらかた終わり、遺体は検視官とともに警察病院に送られていった。遺体が現場から送られるのを見ながら、松前は言った。『凶器の刃物が室内から見つからなかったことから犯人が持ち去った可能性が高いな』
部下の刑事は松前に免許証を渡した。氏名は斎藤茜となっており、ちゃんと顔写真も載っていた。まず、本人と断定して間違いないであろう。西暦1995年生まれと記載されている。まだ25歳と若いのに、松前はやりきれない気分になっていた。管理人の証言によると、同居人はおらず、部屋には彼女一人だけが住んでいたらしい。
斎藤茜の財布には、免許証の他に、現金数万円、レシート等が入っていた。羽織っていたジャンパーのポケットには、他にスマホが入っていた。机の引き出しを調べてみると、預金通帳とキャッシュカードが入っていた。これらの物が残されていることから、物盗りの可能性はまず、考えられない。被害者のポケットの中に財布が入っていたということは、これからどこかに外出しようとしていたのであろう。その証拠に、被害者の身につけている私服はおしゃれで、顔には化粧がしてあった。床には、写真立てが落ちており、被害者と一緒に、若い男性の姿がひび割れている写真に写っていた。『彼氏と、デートの待ち合わせをしていて、部屋を出ようとした際中に、犯人と鉢合わせしたのかな。それとも、彼氏が迎えにきて、些細なことで口論になって喧嘩して殺してしまったか。』松前は部屋の中を見渡しながら呟いた。部屋の中はひどく荒らされていた。タンスが横になっていたり、テーブルの椅子がひっくり返っていたり、ゴミ箱が倒されていて、ティッシュなどのゴミが散乱していた。下手をしたら物音で、周りの住人に気づかれるかもしれない。計画的な犯行とは到底思えない。衝動的な犯行だった可能性が高い。実際に近隣の住人たちに話を聞いてみると、物音がしたという証言が相次いだが、怪しい人物を見たという証言は得られなかった。松前は、被害者の知り合いの犯行の可能性が高いと判断した。現場の部屋は五階にあり、窓から忍び込むことは困難であり、また窓は鍵がかかって閉まっており、壊された形跡もない。被害者が住んでいた部屋のドアには、チェーンロックがつけられており、容易に不審者が出入りできない仕組みになっていた。おそらく、被害者の知り合いである何者かが、被害者に迎えられて、堂々と部屋に入ったに違いない。被害者の身辺を当たれば、自然と犯人に近づくであろう。『ところで、被害者の家族には連絡入れたのか』『ええ、彼女のスマホに登録されていた、電話番号から、ご両親に連絡をしました。現場の方には来ないように伝えて、彼女が司法解剖される予定の、警察病院で待ってもらっています。』現場の捜査もあらかた終わり、遺体は検視官とともに警察病院に送られていった。遺体が現場から送られるのを見ながら、松前は言った。『凶器の刃物が室内から見つからなかったことから犯人が持ち去った可能性が高いな』
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