アマチュア団体殺人事件

深海雄一郎

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「矛盾した行動は、真犯人のカモフラージュだったのかもしれない」
しばらくして、矢口は言った。
「どういうことですか」
目を見開きながら、若杉は尋ねた。
「わざと、矛盾した行動をとることにより、我々に真犯人の存在を否定させ、落合を罠にかけようとしたんだ。例の偽の遺書の内容がくだらなかったのは、自殺ではないことがバレてもどうでも良かったからだ。むしろ殺人であることに気づいてほしかった。ただ、矛盾した行動を起こせばよかった。」
「ですが、落合が、警察が到着する前に、偶然、意識を覚ましたのは、どう説明するんです。後だったら、落合はシロになっていましたよ。真犯人は、運試しでもしたんですか」
「偶然じゃなかったのかもしれない」
矢口は、考えながら答えた。


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