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第一章
第一話:異世界転生なんて碌なもんじゃない
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異世界転生なんて、碌なものではない。
それが、転生してから今年で十四年目を迎える少年、ノートの考えだった。
そしてその日、ノートの考えはより深みにいく事となる。
「ノート。悪いけどウチのパーティーから出ていってくれ」
「……へ?」
冒険者ギルドの一室。
黒髪の少年ことノートは、金髪高身長の少年に戦力外通告を渡されていた。
「レオ、それどういう事だよッ!?」
「わからないかな? もうお前は用済みって事」
「なんでいきなりそうなるんだよ! 俺何かしたか!?」
「本当に心当たりが無いのか?」
ノートが首を大きく縦に振ると、金髪少年ことレオはわざとらしくため息をついた。
「簡単な話だよ。お前のような無能者がいると、パーティーの評判に傷がつくんだ」
「ッ……」
「剣技はできない、魔法も使えない。挙句唯一持っているのは『物を弾くだけ』の雑魚スキル」
「それは……そうだけど」
「お前も知ってるだろうけど、ウチのパーティーはもうすぐBランクに上がれるかどうかの瀬戸際なんだ。Bランクともなれば名前も売れる。そうなった時、お前のような最弱無能がメンバーにいると知られたら変な目で見られるんだよ」
さも当たり前の事を告げるかのように、レオは淡々と述べていく。
ノートはそれに何も反論出来なかった。
理由は「異世界転生なんて、碌なものではない」に通じる。
「今までは同じ転生者として面倒を見てきたつもりだけど、ここまで成長出来ないなら、もう俺の仲間としては必要ない」
ノートは下唇を強く噛み締める。
異世界転生は不公平だ。
目の前にいるレオは、生まれながらにして剣技の才能を発揮し、高位の魔法も扱える。まさに主人公と言って差し支えないスペックの持ち主だ。
だが一方のノートは真逆。
剣と魔法の世界でありながら、剣技の才は無く、魔法も使えない。挙句、一般人なら難無く使える魔道具でさえまともに使いこなせない始末だ。
だからこそ、レオのパーティーに誘われた時、ノートは歓喜した。
こんな自分でも、日の目を浴びる事ができるのかと期待した。
ただの雑用係だった気もするが、充実した日々を送っていたつもりだった。
だが結果はこのザマだ。
「レオ……他の皆はこの事を知ってるのか?」
「ん、俺の仲間達の意見を聞きたいのか? なら聞かせてやるよ」
レオは扉に向かって「入ってこい」と声をかける。
すると三人の少女が部屋に入って来た。
「みんな……」
「ノートがウチのパーティーを去るそうだ。何か言いたい奴はいるか?」
庇ってもらえるかもしれない。なんて甘い考えは一瞬で消えた。
ノートはメンバー達の顔を見て、すぐに青ざめた。
これは、よくない言葉が出てくる表情だ。
「あら、この無能者まだウチにいたの?」
「ボクはてっきり、もう追い出したのかと思ってたよ」
「もしくは無能なだけあって、物分かりが悪いかですね」
味方はいない。ただそれだけで、ノートを絶望させるには充分だった。
「みんな……なんで」
「無能者が気安く話しかけないでくれる?」
「物を弾くしかできない雑魚に付きまとわれるのも迷惑なんだよね~」
「パーティーから消えてください。言葉はわかりますか?」
「と、いうことだノート」
絶望で震えるノートの肩に、レオが手を乗せる。
「もっと分かりやすく言ってやるよ。お前はパーティー追放だ」
もはや抵抗をしても無駄だろう。
それを理解した瞬間、ノートは途方もない無力感に包み込まれた。
残された道は、パーティーからの追放を受け入れるのみ。
あぁ、本当に……
「(異世界転生なんて、碌なもんじゃない)」
それが、転生してから今年で十四年目を迎える少年、ノートの考えだった。
そしてその日、ノートの考えはより深みにいく事となる。
「ノート。悪いけどウチのパーティーから出ていってくれ」
「……へ?」
冒険者ギルドの一室。
黒髪の少年ことノートは、金髪高身長の少年に戦力外通告を渡されていた。
「レオ、それどういう事だよッ!?」
「わからないかな? もうお前は用済みって事」
「なんでいきなりそうなるんだよ! 俺何かしたか!?」
「本当に心当たりが無いのか?」
ノートが首を大きく縦に振ると、金髪少年ことレオはわざとらしくため息をついた。
「簡単な話だよ。お前のような無能者がいると、パーティーの評判に傷がつくんだ」
「ッ……」
「剣技はできない、魔法も使えない。挙句唯一持っているのは『物を弾くだけ』の雑魚スキル」
「それは……そうだけど」
「お前も知ってるだろうけど、ウチのパーティーはもうすぐBランクに上がれるかどうかの瀬戸際なんだ。Bランクともなれば名前も売れる。そうなった時、お前のような最弱無能がメンバーにいると知られたら変な目で見られるんだよ」
さも当たり前の事を告げるかのように、レオは淡々と述べていく。
ノートはそれに何も反論出来なかった。
理由は「異世界転生なんて、碌なものではない」に通じる。
「今までは同じ転生者として面倒を見てきたつもりだけど、ここまで成長出来ないなら、もう俺の仲間としては必要ない」
ノートは下唇を強く噛み締める。
異世界転生は不公平だ。
目の前にいるレオは、生まれながらにして剣技の才能を発揮し、高位の魔法も扱える。まさに主人公と言って差し支えないスペックの持ち主だ。
だが一方のノートは真逆。
剣と魔法の世界でありながら、剣技の才は無く、魔法も使えない。挙句、一般人なら難無く使える魔道具でさえまともに使いこなせない始末だ。
だからこそ、レオのパーティーに誘われた時、ノートは歓喜した。
こんな自分でも、日の目を浴びる事ができるのかと期待した。
ただの雑用係だった気もするが、充実した日々を送っていたつもりだった。
だが結果はこのザマだ。
「レオ……他の皆はこの事を知ってるのか?」
「ん、俺の仲間達の意見を聞きたいのか? なら聞かせてやるよ」
レオは扉に向かって「入ってこい」と声をかける。
すると三人の少女が部屋に入って来た。
「みんな……」
「ノートがウチのパーティーを去るそうだ。何か言いたい奴はいるか?」
庇ってもらえるかもしれない。なんて甘い考えは一瞬で消えた。
ノートはメンバー達の顔を見て、すぐに青ざめた。
これは、よくない言葉が出てくる表情だ。
「あら、この無能者まだウチにいたの?」
「ボクはてっきり、もう追い出したのかと思ってたよ」
「もしくは無能なだけあって、物分かりが悪いかですね」
味方はいない。ただそれだけで、ノートを絶望させるには充分だった。
「みんな……なんで」
「無能者が気安く話しかけないでくれる?」
「物を弾くしかできない雑魚に付きまとわれるのも迷惑なんだよね~」
「パーティーから消えてください。言葉はわかりますか?」
「と、いうことだノート」
絶望で震えるノートの肩に、レオが手を乗せる。
「もっと分かりやすく言ってやるよ。お前はパーティー追放だ」
もはや抵抗をしても無駄だろう。
それを理解した瞬間、ノートは途方もない無力感に包み込まれた。
残された道は、パーティーからの追放を受け入れるのみ。
あぁ、本当に……
「(異世界転生なんて、碌なもんじゃない)」
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