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第五話 ダイナミックお邪魔します。
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警戒音は部屋にまで響いており、同時に部屋の扉がガチャンと閉まってしまった。その事態に武、誠也は各部屋に置かれているのかガスマスクを装着し隆にも渡してきた。戸惑う隆に誠也が
「たまーに居るんや、αが侵入してくる奴がなぁ。せやけど、ここまで来ることはなかったんや」
説明が終ると同時に、光を入れるための窓ガラスが割れた。ガスマスクを装着したばかりの隆が見たのは華奢な体だが伸長が高く、昔から知っている人物であり行動に呆れてしまった。
「たかちゃんみ~つけた~」
「なんでテメェが居るんだよ!」
抱きついてきたのは圭太であり、見た瞬間に抱き着いてきた。そして閉まっていたはずの扉が開くと防護服の男たちと先に入って来たのは圭太の兄である陣だった。まるで圭太の行動が判っていたとばかりにスタンバイでもしていたのだろうか?
「圭太・・・、止めても無駄のようだな?」
「あたりまえじゃない。ようやく私の物になるのよ?見逃すわけないじゃない」
隆は話がついていけなくなり、とりあえず抱き着いている圭太を引きはがし誠也と武の後ろに隠れた。思わぬ抜け道に逃げられた圭太はニッコリと笑って陣に向かい合う。
「私は待っているほど気が長いわけじゃないの・・・、それに寂しいのよ。兄さんなら分かってくれると思ったのに」
「いや、お前の演技は、良いから」
「あらまぁ、ケチねぇ、けどこればかりは譲れないわ。隆を渡してもらうわ」
隆は頭が追い付かず幼馴染の圭太が言っていることが分からなかった。しかし友人として居たいのか?と間違った答えを出してしまう。これは幼馴染としての勘違いとも言えるだろう。それに隆のほうも圭太の存在がなかったのは少し寂しさがあった。
「ねぇ隆君、あの人誰?」
「陣さんがふつーに喋っとるけど、ガスマスクもしとらんし」
「俺の幼馴染だけど、何言ってるのか判らん!」
「うそでしょ!?隆君って鈍感過ぎない?あの人、君を攫いに来たみたいだよ?」
それを聞いて隆は「は?」と間抜けな声を出し、二人の後ろから出ると圭太に近づくと、それに気づいた圭太は嬉しそうに笑顔になり抱きつこうとしたが、あえなく隆の肘鉄を食らう。
「ひ・・ひどいわ・・・たかちゃん・・」
「お前は迷惑かけ過ぎだ!それにここは、Ωの数値が高い奴ばかりでβでも発情してしまうんだぞ!」
「私にとって、他のΩなんて関係ないの。たけちゃんが居れば、それで良いのよ?」
ここまで来たら仕方ないとばかりに陣は提案してきた。
「圭太、隆。お前たちは三日に一回点滴と錠剤を出すから、忘れずに飲むことだ。本当は徐々に落として行ったほうが良いんだが、これじゃぁ話にならん」
「お兄様大好き~」
「え?どういう事?」
「圭太がお前の番だ。しかも数値も高い・・・・。高校卒業するまでは、頸を噛むことは許さんぞ?圭太」
「大丈夫よ~大事にするからぁ~」
番?
誰が?
え?
この返事している奴がか?
βって言ってたじゃん?
え?でも・・ん?
いつの間にか肩を抱かれていた隆は、少し伸長の高い圭太を見上げると、圭太は優しい笑みを浮かべていた。陣は呆れて、点滴の準備と錠剤の準備を用意するためかバタバタして廊下に出ていた。
怯えていたのは誠也と武だった。目の前にαである圭太の存在は大きいだろうが、勉強やら話をしてくれた二人は怖がってほしくない。
「いつまで肩を組んでやがる」
「やぁー、たかちゃんったら照れてるの?私の番として、堂々としてん?」
「認めねぇー!!!!」
「認めさせてあげるわよ?これからの生活が楽しみねぇ、うふふ」
「あんさん、オネェが番なんか?」
「誠也失礼だよ。・・・ぷくく・・・人それぞれだし」
「俺は認めない!!俺の運命は違う!あの面会に来た人に違いない!!」
未だに認めておらず、きっと番は別に居て面会に来てくれた人だと信じたい。出来れば幼馴染とは言えオネェの圭太ではなく、まともな番であってほしい。
「あら?それも私よ?」
三人の会話の中に入って来た圭太はニッコリと笑っていた。
「は?」
「たまーに居るんや、αが侵入してくる奴がなぁ。せやけど、ここまで来ることはなかったんや」
説明が終ると同時に、光を入れるための窓ガラスが割れた。ガスマスクを装着したばかりの隆が見たのは華奢な体だが伸長が高く、昔から知っている人物であり行動に呆れてしまった。
「たかちゃんみ~つけた~」
「なんでテメェが居るんだよ!」
抱きついてきたのは圭太であり、見た瞬間に抱き着いてきた。そして閉まっていたはずの扉が開くと防護服の男たちと先に入って来たのは圭太の兄である陣だった。まるで圭太の行動が判っていたとばかりにスタンバイでもしていたのだろうか?
「圭太・・・、止めても無駄のようだな?」
「あたりまえじゃない。ようやく私の物になるのよ?見逃すわけないじゃない」
隆は話がついていけなくなり、とりあえず抱き着いている圭太を引きはがし誠也と武の後ろに隠れた。思わぬ抜け道に逃げられた圭太はニッコリと笑って陣に向かい合う。
「私は待っているほど気が長いわけじゃないの・・・、それに寂しいのよ。兄さんなら分かってくれると思ったのに」
「いや、お前の演技は、良いから」
「あらまぁ、ケチねぇ、けどこればかりは譲れないわ。隆を渡してもらうわ」
隆は頭が追い付かず幼馴染の圭太が言っていることが分からなかった。しかし友人として居たいのか?と間違った答えを出してしまう。これは幼馴染としての勘違いとも言えるだろう。それに隆のほうも圭太の存在がなかったのは少し寂しさがあった。
「ねぇ隆君、あの人誰?」
「陣さんがふつーに喋っとるけど、ガスマスクもしとらんし」
「俺の幼馴染だけど、何言ってるのか判らん!」
「うそでしょ!?隆君って鈍感過ぎない?あの人、君を攫いに来たみたいだよ?」
それを聞いて隆は「は?」と間抜けな声を出し、二人の後ろから出ると圭太に近づくと、それに気づいた圭太は嬉しそうに笑顔になり抱きつこうとしたが、あえなく隆の肘鉄を食らう。
「ひ・・ひどいわ・・・たかちゃん・・」
「お前は迷惑かけ過ぎだ!それにここは、Ωの数値が高い奴ばかりでβでも発情してしまうんだぞ!」
「私にとって、他のΩなんて関係ないの。たけちゃんが居れば、それで良いのよ?」
ここまで来たら仕方ないとばかりに陣は提案してきた。
「圭太、隆。お前たちは三日に一回点滴と錠剤を出すから、忘れずに飲むことだ。本当は徐々に落として行ったほうが良いんだが、これじゃぁ話にならん」
「お兄様大好き~」
「え?どういう事?」
「圭太がお前の番だ。しかも数値も高い・・・・。高校卒業するまでは、頸を噛むことは許さんぞ?圭太」
「大丈夫よ~大事にするからぁ~」
番?
誰が?
え?
この返事している奴がか?
βって言ってたじゃん?
え?でも・・ん?
いつの間にか肩を抱かれていた隆は、少し伸長の高い圭太を見上げると、圭太は優しい笑みを浮かべていた。陣は呆れて、点滴の準備と錠剤の準備を用意するためかバタバタして廊下に出ていた。
怯えていたのは誠也と武だった。目の前にαである圭太の存在は大きいだろうが、勉強やら話をしてくれた二人は怖がってほしくない。
「いつまで肩を組んでやがる」
「やぁー、たかちゃんったら照れてるの?私の番として、堂々としてん?」
「認めねぇー!!!!」
「認めさせてあげるわよ?これからの生活が楽しみねぇ、うふふ」
「あんさん、オネェが番なんか?」
「誠也失礼だよ。・・・ぷくく・・・人それぞれだし」
「俺は認めない!!俺の運命は違う!あの面会に来た人に違いない!!」
未だに認めておらず、きっと番は別に居て面会に来てくれた人だと信じたい。出来れば幼馴染とは言えオネェの圭太ではなく、まともな番であってほしい。
「あら?それも私よ?」
三人の会話の中に入って来た圭太はニッコリと笑っていた。
「は?」
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