あいつが俺の番なわけない

嵯乃恭介

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第十話 ストーカー?

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いきなり声を出した可能だったが恥ずかしいのか顔が真っ赤になった状態で、少し泣きそうな顔で睨みつけていた。どうやら無理に無表情と訓練されてたかもしれない。

 「はぁ今までに、この人数は相手したことないんだから、少し緊張しちゃったわ。加納理恵です。一応訓練は受けています。フェロモンにも反応はしませんので安心してください。あと田中君は奥に戻りなさい」

 「なんだー、怖い人かと思ってたけど、可愛いじゃん?」

 「ここでは先生です。戻りなさい」

 「へーい」



なんてやりとりをしているのを見ている人物がいた。お分かりの通り圭太だった。仲良く喋っている隆とボディーガードの女の姿を見て嫉妬してしまうばかりで、怒りに狂いそうになりながらも様子を見続けていると、首を絞めるように背後から陣が笑顔で怒っていた。

 「圭太く~ん?授業は始まっているよー?」

 「ぐ・・・兄さん・・」

そこで陣は手を離すと咳き込みながら兄である陣を見上げる。キックボクサーを拒否した兄であったが、腕力だけなら圭太も負けてしまうほどお力を持っており、滅多に手は出してこないが今回は怒りがこみ上げているのか圭太に体罰と言うわけではないが怒りをぶつけているのが判った。

 「だって・・たかちゃんが・・・あの女と仲良くしてるなんて耐えられないの・・・。いくら番になれないって分かっていても、私は耐えられないの!」

 「ふむ。それもお前は隆の番であることは違いないが、今のお前はただのストーカーだぞ?」

 「ストーカーなんて酷いわ」
 
 「いや完璧にストーカーだぞ?はいはい、教室に戻るぞ」

 「いーやー」



外でのやりとりが聞こえていたのかΩの教室はシーンとしていた。隆には原因は判っていたし圭太の存在を知っている誠也と武だったので、小声で前に居る隆に声を掛けると隆は微かに震えていた。Ωのフェロモンが強い隆の匂いはΩであるクラスメイトの中でも一番強いと思うが、それは相手も同じで居ることは知っていたが陣が居なければΩであるクラスメイトは発情期でもないのに発情していたのかもしれない。

 「せやけど、あんさんあそこまで執着されてるのは凄いけど、ほんまにαなんか?オカマみたいやねんけど?」

それを聞いて隆は机に突っ伏して深いため息を吐く。

 「昔は普通に男友達だったんだけどなぁ・・・、なんか急に変わったというか・・・。つか、次の日には別人だったというか、判っただろう?番として認められないって」

 「あーなんかわかる気がするねー」
 
ケタケタと笑う武にデリカシーはないのだろうか?と思いながら、昔は本当に男友達だったし、急にオネェになってクラスの女子とメイクの話とかで盛り上がって検査結果を聞くまでは逆にΩだと思っていた。むしろそっちのほうが良かったかもしれない。

 「認めない・・・」

夢の事もあるが、何故に圭太が夢まで出てきたのか謎である。もしかしたら無意識に求めてしまっているのだろうか?それでも圭太が夢の中では男らしく見えたのはΩからみたαとしての圭太を見ていたからなのか・・・

 「んがー!!!」

 「田中君、この問題解いてくれるかしら」

授業中だったのを忘れていた。
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