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第十八話 α味方宣言
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あっと言う間に夕暮れとなり五人は家路に向かっていた。もちろん圭太と洋介も同じように帰っているし、誠也、武、隆も同じように帰っていたが無言のままだった。
もしかしたら自分たちの空気を察してくれているのかもしれないなと考えると、少しだけ運命の番と言う者を理解できるかもしれない。それに目の前で絡むと武が嫌な思いをするかもしれないし・・・と思っていたら
「アイツさー、今の隆と圭太みたいな関係だったんだよ」
ギョッとした。まさか自分から話を入れて来るとは思わなかったが、静かにきくことにしようとしたが隆と圭太と聞いて圭太が反応して
「私とたかちゃんみたいな関係って?」
女子の恋バナのように食い気味で割り込んできた。それを見た武はニッコリ笑うと
「アイツ・・・αの女だったんだよ。でもΩの俺は、その時は判ってなかったんだ。女の子が妊娠すると判ってても、Ωである自分が妊娠して子供を産むってさ。まぁ色々あってお互いに誤解が解けてから頸を噛んでもらったんだ。一緒に暮らしてさ、発情期にはアイツの服で巣作りをしてさ、あいつの匂いに安心感と高揚感を感じてた」
「それって、αが産むってなるの?」
「そこまでは分からないけど、少なくとも俺はアイツの事を愛してたし、愛されてると判ったから」
穏やかな横顔を見て、安堵すると圭太が肩を抱いてきた。
「たかちゃんは、いつになったら見てくれるのかしら?」
「一生ないと思え」
「あはは、そんな感じだよ」
「ワイらもか?」
「んー?そうだね~、似たり寄ったりかもしれないね、俺たち」
この二組にも同じことが起きてることもあり武の中では羨ましくもあり、逆に自分とは違い幸せになってほしいと言う思いからかもしれない、それでも反抗的な二組・・・まぁΩ二人は抗うのだが・・・。
「まぁ俺はα二人の味方ってことで!」
「なんでやねん!!」
「おま!!ここは感動するシーンだろ?」
「武君ナイスよ!」
洋介は考えてることが違ったのか
「それでお前の幸せはどうするんや?」
その場が一気に冷めてしまった。どうするんだよ、この空気と三人はジトーと洋介を見るが、本人は気にしてないようで、首を傾げているが誠也が思い切り足を踏んずけた。
「っ!!?」
「お前、もぉ喋るんやない!」
「別にいいじゃん、俺の幸せねー君たちを見守ること?なんてね!あっはっは」
無理に笑っているようには見えなかったが、少しだけ辛そうにも見えたのも事実だった。それでも抗いたいのが隆と誠也だが、番を亡くす悲しみだけは伝わって来た。
「いやいやいや!!武でも許さんで!ワイの意志だってあるんやー!」
「じゃぁさ、聞くけど・・・もしもさ俺みたいに番である洋介君が死んだら、僕みたいにヒートで一人寂しく苦しむだけだよ?」
「そ・・・それは苦しいけどやな・・・」
そんなことを言われたらずるいとしか言いようがない。誰も彼を咎めることが出来ないのだから・・・、しかし一人だけ居た。
「それ以上はいけません。いくら番が居ないからと言って、二人を急かすような発言は、徐々に慣らしていくというのが貴方の意見でしょう?」
加納の鶴の一声で武は、キョトンとする。その後、泣きそうな顔をして
「加納さんなら分かってくれると思ったんだけどなぁ・・・。加納さんも分かるでしょ?番が居ない寂しさや悲しみが・・」
それを聞いた加納にも影が出来る。隆と圭太は慌てて
「ちょっと、さっきの発言はダメよ!女性に失礼じゃないの!」
「女性と言えるのか分からないのに?匂いで判るよ?「何も」匂わないんだもん。βでも少しは匂うはずだもん」
加納は厳しい顔をして、武の頬を軽く包み込んだ。その表情は母が子を宥めるような表情をしているが、叱るような言葉を出す。
「でもね?私の仕事はΩの子を守るために作られた体だと思うの。もちろん例外はないわ貴方も守る」
「ずるいよ・・・加納さん・・・、何も言えないじゃん」
パッと加納の手をはらい、武は走って家に向かっていった。もちろん一緒に住んでいる誠也にとって、どうやってフォローしようかとオロオロするところだが、隆は加納を見て
「俺は大丈夫だからさ、武のフォロー出来よな?やってくれない?」
「言い過ぎましたね。家も近くですし陣さんにも連絡を入れておきます。これは私の失態ですから、気を付けてくださいね」
「私がたかちゃんを守るわ!」
「むしろ、お前が襲ってくるからコエーんだよ」
「まぁせやな、ワイも一緒に行くわ」
「誠也、もう少し話がしたかったんやけど」
「ラインだけしたるわ。お前声ででかいから電話はいやや」
ショボンとしながら洋介は家があるほうに向かっていく。可能と誠也は急いで武の後を追って走り出していた。もし確認できるなら、あとで連絡が欲しいものだと思いながら圭太と横並びで家に向かう。
もしかしたら自分たちの空気を察してくれているのかもしれないなと考えると、少しだけ運命の番と言う者を理解できるかもしれない。それに目の前で絡むと武が嫌な思いをするかもしれないし・・・と思っていたら
「アイツさー、今の隆と圭太みたいな関係だったんだよ」
ギョッとした。まさか自分から話を入れて来るとは思わなかったが、静かにきくことにしようとしたが隆と圭太と聞いて圭太が反応して
「私とたかちゃんみたいな関係って?」
女子の恋バナのように食い気味で割り込んできた。それを見た武はニッコリ笑うと
「アイツ・・・αの女だったんだよ。でもΩの俺は、その時は判ってなかったんだ。女の子が妊娠すると判ってても、Ωである自分が妊娠して子供を産むってさ。まぁ色々あってお互いに誤解が解けてから頸を噛んでもらったんだ。一緒に暮らしてさ、発情期にはアイツの服で巣作りをしてさ、あいつの匂いに安心感と高揚感を感じてた」
「それって、αが産むってなるの?」
「そこまでは分からないけど、少なくとも俺はアイツの事を愛してたし、愛されてると判ったから」
穏やかな横顔を見て、安堵すると圭太が肩を抱いてきた。
「たかちゃんは、いつになったら見てくれるのかしら?」
「一生ないと思え」
「あはは、そんな感じだよ」
「ワイらもか?」
「んー?そうだね~、似たり寄ったりかもしれないね、俺たち」
この二組にも同じことが起きてることもあり武の中では羨ましくもあり、逆に自分とは違い幸せになってほしいと言う思いからかもしれない、それでも反抗的な二組・・・まぁΩ二人は抗うのだが・・・。
「まぁ俺はα二人の味方ってことで!」
「なんでやねん!!」
「おま!!ここは感動するシーンだろ?」
「武君ナイスよ!」
洋介は考えてることが違ったのか
「それでお前の幸せはどうするんや?」
その場が一気に冷めてしまった。どうするんだよ、この空気と三人はジトーと洋介を見るが、本人は気にしてないようで、首を傾げているが誠也が思い切り足を踏んずけた。
「っ!!?」
「お前、もぉ喋るんやない!」
「別にいいじゃん、俺の幸せねー君たちを見守ること?なんてね!あっはっは」
無理に笑っているようには見えなかったが、少しだけ辛そうにも見えたのも事実だった。それでも抗いたいのが隆と誠也だが、番を亡くす悲しみだけは伝わって来た。
「いやいやいや!!武でも許さんで!ワイの意志だってあるんやー!」
「じゃぁさ、聞くけど・・・もしもさ俺みたいに番である洋介君が死んだら、僕みたいにヒートで一人寂しく苦しむだけだよ?」
「そ・・・それは苦しいけどやな・・・」
そんなことを言われたらずるいとしか言いようがない。誰も彼を咎めることが出来ないのだから・・・、しかし一人だけ居た。
「それ以上はいけません。いくら番が居ないからと言って、二人を急かすような発言は、徐々に慣らしていくというのが貴方の意見でしょう?」
加納の鶴の一声で武は、キョトンとする。その後、泣きそうな顔をして
「加納さんなら分かってくれると思ったんだけどなぁ・・・。加納さんも分かるでしょ?番が居ない寂しさや悲しみが・・」
それを聞いた加納にも影が出来る。隆と圭太は慌てて
「ちょっと、さっきの発言はダメよ!女性に失礼じゃないの!」
「女性と言えるのか分からないのに?匂いで判るよ?「何も」匂わないんだもん。βでも少しは匂うはずだもん」
加納は厳しい顔をして、武の頬を軽く包み込んだ。その表情は母が子を宥めるような表情をしているが、叱るような言葉を出す。
「でもね?私の仕事はΩの子を守るために作られた体だと思うの。もちろん例外はないわ貴方も守る」
「ずるいよ・・・加納さん・・・、何も言えないじゃん」
パッと加納の手をはらい、武は走って家に向かっていった。もちろん一緒に住んでいる誠也にとって、どうやってフォローしようかとオロオロするところだが、隆は加納を見て
「俺は大丈夫だからさ、武のフォロー出来よな?やってくれない?」
「言い過ぎましたね。家も近くですし陣さんにも連絡を入れておきます。これは私の失態ですから、気を付けてくださいね」
「私がたかちゃんを守るわ!」
「むしろ、お前が襲ってくるからコエーんだよ」
「まぁせやな、ワイも一緒に行くわ」
「誠也、もう少し話がしたかったんやけど」
「ラインだけしたるわ。お前声ででかいから電話はいやや」
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