天魔の作り方

嵯乃恭介

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デート

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レイの住んでいる教会は山奥にある。
そこから、紫色と、特徴的な碧色の瞳をした青年と銀髪、隻眼のレイが下りていく。
男の名前はラックと言うらしい。
レイは思った。

ー何故、この男は俺を知っている?

と、考え込みながら歩いていると、ラックは、スルリとレイの前に立ち、笑顔で言った。

「今日はとても、女性らしいですね。そちらも素敵です」

その笑顔が眩しすぎて、目がチカチカした。
その反面、頭が痛くなってきた。

「俺はお前なんて知らない。何が目的だ?」

「いやだなぁ、ただ純粋にレイさんに会って、話がしたかったんですよ?」

今度は、鮫肌が立った。
ゾクゾクと駆け上がる悪寒は、今までにない異性を思わせないほどの寒気さえも感じさせた。

「俺には分らん。お前の本心が見えない。お前は・・・何者だ?」

「僕はラック、貴女に憧れて会いに来たものです」

レイにとって、感じ取ったのは、寂しさと、悲しみを思わせる笑顔だった。
思い違いなら、別に構わないが、今朝の夢を思い出し、若干、声が似ているような気がした。

「なぁ…お前・・・どっかで会ったか?」

ラックは目を細め、緩やかに振り返る、そして無言で歩き出した。

「この辺りは、本当に平和ですね」

明らかに話をそらされた?と思いながらも思ったことを口にする。

「なーんもねぇ村だからな」

「人間との戦いもないですしね・・」

風が木々の葉っぱを撫でて、ザワザワと音を立てて、ラックの一言が聞こえなかった。




風が収まり、レイはラックの言ったことが気になった。
木々の所為で、聞こえなかったが、聞き逃せない気がしたのだ。

「今・・なんて?」

ラックは、振り返り、ニッコリと笑みを張り付けたままだった。

「何のことですか?」

余計に不気味に思えてくる男に見えたが、レイは、その笑顔の裏側に何かがあると感じた。


そして、お互い喋ることなく、山の中を歩き回っただけだったが、ラックは四十九中楽しそうに笑っていた。
何が楽しいのかわからないが、その張り付けられた笑顔の裏側が気になって仕方なかったレイは、探りの入れ方が分からずに、暖かな風に着慣れないワンピースをもてあそばれていた。
しばらくすると、前を歩いていたラックが、ピタッと止まった。

「???」

ラックは振り返ることなく、身動きも取らずで、どう反応していいか判らなかった。
オロオロとせず、観察してみると、口元が微かに動いていた。
何を言っている?
そんな疑問さえ覚える。

「レイさん!今日は楽しかったです。また今度、デートしてくださいね」

「は?デート?」

レイの返事も聞かずに、ラックは、走り去るように、その場を後にした。

「なんだったんだ?」

レイは疑問のまま、家に帰っていった。

帰ると、父ルーザーが、自分の部屋、着替える際に暴れた後を片付けていた。

「今日の神父の仕事は?」

「今日は神の祝福により休みです」

嬉しそうに首にかかっている十字架を握りしめていた。

「てめぇのはサボりだろうが」

その背後から、レイはルーザーの頭を殴った。










「目標人物と接触完了」
「良い子ね・・ラック」

そこには、無表情のラックの姿と、銀色の長い髪の女の後姿があった。
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