天魔の作り方

嵯乃恭介

文字の大きさ
21 / 21
三章

意外に不器用

しおりを挟む
ラックは朝日と共に目覚めた。
乱雑に寝る兄を踏まぬように部屋を出ると、少し酔っている様子のレンと遭遇した。

「おっす、おはよーさん」

「お義兄さん酔ってます?」

「あー、少し眠れなくてなー、タオさんと酒飲んでた・・・、えっとラック君は料理は得意か?」

「はぁ、人並みには出来ると思いますが?」

それを聞いたレンは部屋に入り際に手を振った。

「皆の朝飯よろしくー、材料は適当に使ってくれー」

「え?」

そしてパタンと扉が閉ざされた、ラックは呆然としたが義兄の頼みならばと意気込んで台所に向かった。
しばらくしてユキルとシザーメが目覚めたらしく、起きてきたときには遅かった。
台所から黒い煙が出てきた・・・。

二人は頭痛がしてきたとばかりに台所に見に行くと、慌てふためくラックの姿。
鍋は焦げてフライパンは目玉焼きでも作ろうとしたのだろう、火が上がっていた。
二人は慌てることなく、テキパキとフライパン、鍋を水につけて処理をし、ラックを正座させた。

「で?」

「お義兄さんに頼まれ・・・」

「不器用なお前がか?」

少しでも良い印象が欲しかったのか、ラックなりに頑張ったとは思うが、火事になっては意味がない。
そこのところを判ってほしい。

「おやおや、焦げ臭いですね?」

「タオさん・・・」

この惨状を見ても動じないタオにラックは泣きそうな顔ををしながら目を向ける。
まぁ可哀そうには思えてきたが、得意な事だけこなせとは言わないが、出来ないものは出来ないと断れば良いのにと思いながら、そういえばレノンも苦手だったなぁとクスクス笑う。

「あぁ、レンが眠ってしまったのですね。では俺が作りましょう」

「で・・出来るんですか?」

「まぁ得意な方ではないが、食べれるものだよ」

そして後ろから三人は眺めながらタオの手つきを見ていた。
テキパキと動き回り、ほんの数十分で朝食が出来上がり、机に並べられると三人は驚いたのは当然だった。
さっきまで焦げていた鍋や、フライパンを使いながら、何故にラックと違うのかと思う。

「さて、いただきましょうか」

「あ、レイさん起きてませんよ?」

「レンがさっき寝たばかりだしね、俺が行ってこよう」

ユキルとシザーメは二人してラックの手を上げた。

「え?」

「ラックに行かせましょーよ」

声が被った。
タオはキョトンとしていたが、クスクスと笑い始めて

「楽しそうですね、いかにレンを起こさずレイを起こすか」

「えぇ!!?」

「レイは熟睡型だったみたいですからね、簡単には起きませんよ」

リビングから押し出されるようにしてラックは廊下に追い出されてしまった。
ゴクリと緊張感からか頭が痛くなってくる、確かにレイには惚れているが寝床・・ましてや寝ているところを見てしまっては、義兄が居るとはいえ、何かしたくなるのが男の本能だろうか?

「がんばってー」

「きゃーラック素敵ー」

「兄さんたちは黙ってて!」

そうしてレンの部屋をゆっくりと扉を開けると、床にはレンがあれからすぐに倒れて熟睡してしまったのか、いびきをかいて眠っている。
ベッドを見ると、レイも同じように布団を足で蹴飛ばし、タンクトップだったためか肌が露わになっている。

「・・・・」

そーっとレノを踏まないようにベッドに近寄ると、足を掴まれた。
ギョッとしたが、レンが起きたわけではない、恐らく寝ぼけているのだろうか?
それをゆっくり離し、ベッドで眠るレイに声を掛ける。

「レイさん、朝ですよ。朝食も出来てます」

「うー・・・」

「レイさん?起きないとキスしますよ?」

「んー・・・」

声かけしても起きないレイに、ラックは我慢できずに唇を重ねてしまった。
眠っているレイの口は簡単に開き、ラックの舌とレイの舌が絡み合うのには簡単すぎた。
そこでレイは覚醒した。

「んー!!?」

「おはようございます」

反応があったので、ラックは満足そうに唇を離しニコニコと笑っていた。
レイは快感もあったが、それ以上に気持ちよくなって目覚めた自分に腹が立ったので、ラックを一発殴っておいた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...