異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ

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第一部 ニ章 異世界キャンパー編

滝見のドラム缶風呂、with混浴

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「ふぁぁあ~~よく寝たのじゃ~」

 夕刻が迫る頃、テントから起き出すなり眠気の取れない顔をした初音が、大きな欠伸あくびを伴って姿を現す。
 肌の色艶も随分と良くなっており、明日の出発も極端な無理をしなければ可能だろう。
 けど、ちょっと間がが悪いというか――実は、初音が寝ている間にドラム缶風呂に入ろうとしていたのだが……。

「あー……起きちゃいました?
 久しぶりに風呂に入るつもりなんスけど…」

 ぶっちゃけコソッと済ませてしまおうと考えていた手前、見られてしまったのは都合バツが悪い。
 なので、初音には病み上がりを理由に、やんわりと辞退を促したのが、それが逆にマズかった。

「なんじゃと!? 
 お主…まさか一人で風呂を堪能するつもりか?
 いかんのう……こりゃあ~いかんわい。
 まっこと、後ろ矢を射られた思いじゃ。
 ――そうであろ?」

 ヤバい……いや、それどころか殺される!
 般若はんにゃの如き笑顔で迫る初音に気圧けおされ、ドラム缶まで後退を余儀よぎなくされた俺に、選択の余地など有ろうはずもなかった。

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ん~~! やはり風呂はよいのう~~♪」

「あ、そうっスか……。
 そりゃ結構なことで……」

 どうして?
 どうしてこうなった……?
 俺は今、数日ぶりのドラム缶風呂に入って連日の疲れを癒している――初音と二人で!
 ……まずは言い訳させて欲しい。
 我が性的指向ストライクゾーンは成人女性のみであり、こんな低身長のチンチクリンなどでは断じてない。
 しかしながら、圧倒的武力の前ではヒトの抵抗など意味をさず、俺に出来るささやかな意思表示は視線を外に向け、無関心を装う事だけだった。
 嗚呼ああ、滝見のドラム缶風呂さいこ~……。
 さっきから、ずーっと初音に足裏で背中や尻をまさぐられてるけど――気にしない!

「お主、いつまで外方そっぽを向いておる。
 既に隅々までワシの裸体を見ておろう?
 ……熱に浮かされ、無抵抗のままに……のう?」

「あれは非常事態っつーか、不可抗力だし!
 いや、待てよ……お前……起きてたのか!?
 ナンデ!? 事前に声を掛けたよなぁ!?」

 少し赤面しながらも、俺の反応を見てニヤニヤと悪どい顔で笑う初音。
 病床で意識がないと思っていたのに、コイツ……なに考えてんだ!?

「それで、どうじゃった? 正直に言うてみよ。
 昔の女子おなごと比べ、ワシの『ぼでー』は美事みごとであったか? 夜ごとに寝言を言うておったもんなぁ?」

 …………元カノのことかーーーーっ!!
 フラれた事を未だに引きずってるとは思ってもおらず、まさか夢にまで見ていたとは……。
 しかもしかも、それをクソガキにあおられるだなんて――これ以上ない尊厳破壊だろ……。
 もはや目前の滝ですら眼中になく、尋常じんじょうならざる頭痛を伴った目まいによって視界が歪む。

「うぅ……アァ……もういっそ殺してくれ……」

「散々に丸裸を見られたんじゃ。
 これくらいは返しておかねばのう?」

 すすけて縮こまる背中に高笑いが刺さる。
 今だけはギンレイの無垢な瞳を正視する事もできず、ひたすらに耐え難い羞恥しゅうちにさらされ、美しくも静寂の月夜を迎える。
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