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第二部 一章 この人数でもソロキャンと言いきる勇気編
イカれたメンバーを紹介しよう!
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ソロキャンこそが生き甲斐
俺は四万十 葦拿、21歳。
地方の大学に通う極普通の学生――だった。
詳細は長くなるので丸々カットするが要約すると、とある切っ掛けで江戸中期の風土によく似た日ノ本と呼ばれる異世界に飛ばされ、そこで出会った妙な連中と旅をしているって感じだ。
長い旅を経て、再び拠点にしている岩の裂け目に帰ってきた旅人達。
見上げれば不動の巨岩が造り出す壮大な空間が視界一杯に広がり、奥にある神秘的な氷の鍾乳洞から漂う冷気が夏の暑さを和らげてくれるという絶好のロケーション。
ここは俺が異世界に来た時、最初に見つけた天然のシェルターみたいな場所で、親愛を込めて『ホーム』と呼んでいる。
既に時刻は夕暮れを迎え、どうにか日が落ちる前に帰ってこれたのは本当に幸運だった。
先の旅で目の当たりにした数々の絶景や舌鼓を打つ料理、苦労話や不思議な体験を話題に挙げ、徐々に熱気も落ち着いた頃にお決まりの台詞を口にする。
「やはり、家の中が一番落ち着くのう~。
まずは養生して鋭気を養うのが肝要じゃ」
藁を敷き詰めただけの地面にペッタリと寝転がり、良家のお嬢とは到底思えない羞恥心のカケラもない姿勢で寛いでいるのは鬼属の初音。
琥珀色の瞳はいつも好奇心と余裕に満ち溢れ、よく笑う口元には小さな犬歯に似た牙が見え隠れする。
夏夜の涼やかな清流のように輝く黒髪は、焚き火の照り返しを受けて艶やかな紫色に見える程。
日ノ本の固有種属である鬼属は昔話に登場する鬼の特徴を持つ人達で、右の額から突き出た一本角を生やした初音も、子供みたいな見た目なのに俺よりもずっと年上なのだ。
そのせいなのか話し言葉も妙に古臭く、低身長にも関わらず胸だけは人並み以上という元気娘は、なんと家出の真っ最中。
伊勢國一帯の鬼属を統べる地方豪族 九鬼 澄隆の一人娘にして、伊勢神宮の巫女見習いというのだから驚きだ。
「ギンレイも長旅の同行、大儀であった。
そういえば初めて出会ったのもここであったな」
そう言って、我が家のマスコットご自慢の銀白色に輝く鬣を優しい手つきで撫でる。
ギンレイは危うく死にかけていたところを助けた雄の狼で、種族名はタテガミギンロウと呼ばれる自然界最強の一角に名を連ねる獰猛な獣――だった犬。
今ではすっかり懐いて危険など皆無なのだが、時折見せる野生の片鱗は目覚ましく、最近は旺盛な食欲によって柴犬くらいの大きさにまで成長していた。
成犬に近づくにつれて、登頂部から尻尾の先端まで続く鬣はますます立派になり、顔つきも狼らしい鋭さが出てきたように思う。
「あんなにも小さな赤ちゃんだったギンレイが……こんなにも…立派に……」
往時を思い出して不覚にも涙が――。
『大丈夫? 泣かないで…』
こぼれ落ちる涙を見かねたのか、半透明の不思議な体で俺をすっぽりと被ったのは、絶世の美しさを誇る女神 女媧様。
吸い込まれそうな緋色の瞳とメインクーンを思わせる品性を備えた顔立ちに加え、重なり合った肌は上質な正絹を思わせる程に滑らか。
腰元まで及ぶ深いスリットが目を引く異国の服をまとい、妖艶な美貌と母親の情愛まで持ち得る。
そして、彼女の内面に直接触れれば、怒りや悲しみといった負の感情を浄化してしまう慈愛の女神。
残念ながら夜しか顕現できない上に言葉も喋れないのだけど、先程のように触れる事で意志疎通が可能で、自在に体を実体化させたり半透明にできる能力を持ち、他にも人智を超えた様々なチカラを有する古代の神サマらしい。
流石は異世界と言うべきなのか、普通に神と遭遇してしまうのが何とも幻想極まりない話。
「お前みてェなモブ顔にゃ~もったいねェ待遇だな? 夢心地でイクなら表でやれよ」
こっちの品性が終わってる奴は日ノ本の修験者 飯綱……なのだが、その正体は俺より150年も先の時代から異世界に飛ばされてきた未来人!
服装は日ノ本の修験者を意識しているそうだが、想像もできない技術で作られた道具をいくつも所持しており、背中には美容整形感覚で付けた黒い翼を生やす変人女だ。
栗色のショートボブから覗く黄褐色の瞳は気だるげで、かき上げた髪には特徴的な三角形の眉毛と気の強そうなツリ目が周囲を見渡す。
「よくもまぁ、イロイロと妙な連中が揃ったもンだな。人間と狼、鬼属と女神、そンで超絶美女の未来人サマの御一行だぜ?」
「言われて見れば確かに。まるでRPGゲームの多種族パーティみたいなワチャっとした感じ」
俺は四万十 葦拿、21歳。
地方の大学に通う極普通の学生――だった。
詳細は長くなるので丸々カットするが要約すると、とある切っ掛けで江戸中期の風土によく似た日ノ本と呼ばれる異世界に飛ばされ、そこで出会った妙な連中と旅をしているって感じだ。
長い旅を経て、再び拠点にしている岩の裂け目に帰ってきた旅人達。
見上げれば不動の巨岩が造り出す壮大な空間が視界一杯に広がり、奥にある神秘的な氷の鍾乳洞から漂う冷気が夏の暑さを和らげてくれるという絶好のロケーション。
ここは俺が異世界に来た時、最初に見つけた天然のシェルターみたいな場所で、親愛を込めて『ホーム』と呼んでいる。
既に時刻は夕暮れを迎え、どうにか日が落ちる前に帰ってこれたのは本当に幸運だった。
先の旅で目の当たりにした数々の絶景や舌鼓を打つ料理、苦労話や不思議な体験を話題に挙げ、徐々に熱気も落ち着いた頃にお決まりの台詞を口にする。
「やはり、家の中が一番落ち着くのう~。
まずは養生して鋭気を養うのが肝要じゃ」
藁を敷き詰めただけの地面にペッタリと寝転がり、良家のお嬢とは到底思えない羞恥心のカケラもない姿勢で寛いでいるのは鬼属の初音。
琥珀色の瞳はいつも好奇心と余裕に満ち溢れ、よく笑う口元には小さな犬歯に似た牙が見え隠れする。
夏夜の涼やかな清流のように輝く黒髪は、焚き火の照り返しを受けて艶やかな紫色に見える程。
日ノ本の固有種属である鬼属は昔話に登場する鬼の特徴を持つ人達で、右の額から突き出た一本角を生やした初音も、子供みたいな見た目なのに俺よりもずっと年上なのだ。
そのせいなのか話し言葉も妙に古臭く、低身長にも関わらず胸だけは人並み以上という元気娘は、なんと家出の真っ最中。
伊勢國一帯の鬼属を統べる地方豪族 九鬼 澄隆の一人娘にして、伊勢神宮の巫女見習いというのだから驚きだ。
「ギンレイも長旅の同行、大儀であった。
そういえば初めて出会ったのもここであったな」
そう言って、我が家のマスコットご自慢の銀白色に輝く鬣を優しい手つきで撫でる。
ギンレイは危うく死にかけていたところを助けた雄の狼で、種族名はタテガミギンロウと呼ばれる自然界最強の一角に名を連ねる獰猛な獣――だった犬。
今ではすっかり懐いて危険など皆無なのだが、時折見せる野生の片鱗は目覚ましく、最近は旺盛な食欲によって柴犬くらいの大きさにまで成長していた。
成犬に近づくにつれて、登頂部から尻尾の先端まで続く鬣はますます立派になり、顔つきも狼らしい鋭さが出てきたように思う。
「あんなにも小さな赤ちゃんだったギンレイが……こんなにも…立派に……」
往時を思い出して不覚にも涙が――。
『大丈夫? 泣かないで…』
こぼれ落ちる涙を見かねたのか、半透明の不思議な体で俺をすっぽりと被ったのは、絶世の美しさを誇る女神 女媧様。
吸い込まれそうな緋色の瞳とメインクーンを思わせる品性を備えた顔立ちに加え、重なり合った肌は上質な正絹を思わせる程に滑らか。
腰元まで及ぶ深いスリットが目を引く異国の服をまとい、妖艶な美貌と母親の情愛まで持ち得る。
そして、彼女の内面に直接触れれば、怒りや悲しみといった負の感情を浄化してしまう慈愛の女神。
残念ながら夜しか顕現できない上に言葉も喋れないのだけど、先程のように触れる事で意志疎通が可能で、自在に体を実体化させたり半透明にできる能力を持ち、他にも人智を超えた様々なチカラを有する古代の神サマらしい。
流石は異世界と言うべきなのか、普通に神と遭遇してしまうのが何とも幻想極まりない話。
「お前みてェなモブ顔にゃ~もったいねェ待遇だな? 夢心地でイクなら表でやれよ」
こっちの品性が終わってる奴は日ノ本の修験者 飯綱……なのだが、その正体は俺より150年も先の時代から異世界に飛ばされてきた未来人!
服装は日ノ本の修験者を意識しているそうだが、想像もできない技術で作られた道具をいくつも所持しており、背中には美容整形感覚で付けた黒い翼を生やす変人女だ。
栗色のショートボブから覗く黄褐色の瞳は気だるげで、かき上げた髪には特徴的な三角形の眉毛と気の強そうなツリ目が周囲を見渡す。
「よくもまぁ、イロイロと妙な連中が揃ったもンだな。人間と狼、鬼属と女神、そンで超絶美女の未来人サマの御一行だぜ?」
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