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第二部 二章 新たな仲間、新たな岐路
主人公、パンダになるってよ
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翌日、顔中にまとわりつくザラザラとした感触で目を覚ますと、視界を占領したギンレイが嬉しそうに鼻先を擦り付けてきた。
絶好調のテンションで繰り出されるペロペロ攻撃を放っておけば、短時間の内に目鼻が無くなるまでナメ尽くされてしまうだろう。
「わぁっ…た。わか……から…おぁ……よ…!?」
起きると布団の周りがエライ事になっていて驚く。
「ようやく起きたか。
朝餉の用意はとっくに出来ておるぞ。
早う顔を洗ってこい」
「おはようございます、若旦那さん。
昨日はその……久しぶりに熱い走りを魅せて頂き、ありがとうございました」
「あしなさん、あしなさん!
爆走劇とってもすごかったよ!
私もね、馬戯異に乗ってみたいの!」
「聞いてくれよ! アニキの為に金箔貼りの特攻服を注文しといたぜ!」
ずらりと勢揃いした面々は甲斐甲斐しくも朝の用意を整え、俺が起きるまで待っていたようだ。
僅か一日で一変した状況に驚くが、それよりも遥かに違和感を抱いたのは、満面の笑みで一団に加わる万治郎の存在であった。
コイツ、どさくさに紛れて何て言った?
金箔のアニキ?
いや、そうじゃない!
俺が金ピカの特攻服を着て歩くの?
……絶ッッ対、無理!
「ちょい待てや。
いま、すぐ! キャンセルしてこい。
つーか、なんでお前がここに居る?」
左右を見渡して、誰に対して言われたのか懸命に探るヤンキー男。
ガチにやってるっぽいのが逆に怖い。
「そういうボケは要らねーんだよ!
お前に言ってんだよ万治郎!」
「まさか……当方に?」
疑問符をつけたいのは俺の方だよ!
『ウソやん…』みたいな表情は心臓に悪いから本当にやめてくれる?
心外とでも言いたげな表情を浮かべ、お鈴ちゃんに慰められるヤンキーの姿は漫才にしか見えない。
「そう邪険にするモンじゃねェさ。
コイツなりに考えた結果、アタシらに協力してくれるってンだからよ」
「男 万治郎、爆走劇に負けたからには潔く葦拿アニキの舎弟として、粉骨砕身の覚悟で働く所存だぜ!」
「粉骨砕身の仕事が特攻服のオーダーなの?
君、社会人向いてないって言われた事ない?」
またしてもお鈴ちゃんに慰められる万治郎。
既に持ちネタ化してんじゃねーか!
未だかつてない頭痛を抱え、フラつく足取りで窓枠に手を添えると、外がいやに騒がしい事に気づく。
「なんだよ朝っぱらか……らぁ!?
な、なんじゃこりゃー!!」
「おお! すげぇ…本当に生きてるぞ!」
「ヤッシャセッ! ヤッシャセッ!
お次の宿はウチにヤッシャセッ!」
「きゃー♪ あしな様と万治郎さんが二人で同じ部屋にお泊まりしてるわ~!」
――ここは上野の動物園か?
宿に面した通りには許容値をとっくに超えた人混みが押し寄せ、俺の姿を見るや大歓声が巻き起こる。
さしずめ、俺は客寄せパンダといったところだろう。
一瞬で表情が凍りつき、集まった町民達を刺激しないように、極めて慎重に窓を閉める。
「お、おお……お、おいぃぃいい!
こ、この世のおわ…終わりだああああ!!」
「それ、めっちゃウケるわい!」
膝を抱えた俺がそんなにも面白いか?
ケラケラと笑う初音を見て、本気で殺意が湧《わ》いたのはここだけの話だ。
絶好調のテンションで繰り出されるペロペロ攻撃を放っておけば、短時間の内に目鼻が無くなるまでナメ尽くされてしまうだろう。
「わぁっ…た。わか……から…おぁ……よ…!?」
起きると布団の周りがエライ事になっていて驚く。
「ようやく起きたか。
朝餉の用意はとっくに出来ておるぞ。
早う顔を洗ってこい」
「おはようございます、若旦那さん。
昨日はその……久しぶりに熱い走りを魅せて頂き、ありがとうございました」
「あしなさん、あしなさん!
爆走劇とってもすごかったよ!
私もね、馬戯異に乗ってみたいの!」
「聞いてくれよ! アニキの為に金箔貼りの特攻服を注文しといたぜ!」
ずらりと勢揃いした面々は甲斐甲斐しくも朝の用意を整え、俺が起きるまで待っていたようだ。
僅か一日で一変した状況に驚くが、それよりも遥かに違和感を抱いたのは、満面の笑みで一団に加わる万治郎の存在であった。
コイツ、どさくさに紛れて何て言った?
金箔のアニキ?
いや、そうじゃない!
俺が金ピカの特攻服を着て歩くの?
……絶ッッ対、無理!
「ちょい待てや。
いま、すぐ! キャンセルしてこい。
つーか、なんでお前がここに居る?」
左右を見渡して、誰に対して言われたのか懸命に探るヤンキー男。
ガチにやってるっぽいのが逆に怖い。
「そういうボケは要らねーんだよ!
お前に言ってんだよ万治郎!」
「まさか……当方に?」
疑問符をつけたいのは俺の方だよ!
『ウソやん…』みたいな表情は心臓に悪いから本当にやめてくれる?
心外とでも言いたげな表情を浮かべ、お鈴ちゃんに慰められるヤンキーの姿は漫才にしか見えない。
「そう邪険にするモンじゃねェさ。
コイツなりに考えた結果、アタシらに協力してくれるってンだからよ」
「男 万治郎、爆走劇に負けたからには潔く葦拿アニキの舎弟として、粉骨砕身の覚悟で働く所存だぜ!」
「粉骨砕身の仕事が特攻服のオーダーなの?
君、社会人向いてないって言われた事ない?」
またしてもお鈴ちゃんに慰められる万治郎。
既に持ちネタ化してんじゃねーか!
未だかつてない頭痛を抱え、フラつく足取りで窓枠に手を添えると、外がいやに騒がしい事に気づく。
「なんだよ朝っぱらか……らぁ!?
な、なんじゃこりゃー!!」
「おお! すげぇ…本当に生きてるぞ!」
「ヤッシャセッ! ヤッシャセッ!
お次の宿はウチにヤッシャセッ!」
「きゃー♪ あしな様と万治郎さんが二人で同じ部屋にお泊まりしてるわ~!」
――ここは上野の動物園か?
宿に面した通りには許容値をとっくに超えた人混みが押し寄せ、俺の姿を見るや大歓声が巻き起こる。
さしずめ、俺は客寄せパンダといったところだろう。
一瞬で表情が凍りつき、集まった町民達を刺激しないように、極めて慎重に窓を閉める。
「お、おお……お、おいぃぃいい!
こ、この世のおわ…終わりだああああ!!」
「それ、めっちゃウケるわい!」
膝を抱えた俺がそんなにも面白いか?
ケラケラと笑う初音を見て、本気で殺意が湧《わ》いたのはここだけの話だ。
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