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第39話 頼りになる鬼娘
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どうやら植生がホーム近辺とは違うのか、見た事もない植物があちこちに生い茂っている。
しかも珍しい鉱石まであるみたいだし、これは期待できそうだ!
到着するなりギンレイは河原の砂浜で小さな魚を相手に、狩りの練習を始めたらしい。
浅瀬を逃げる小魚を追い立て、幼いながらも野生の本能を発揮させている。
「あしな、あしな!これ何?」
初音が持ってきたのは…ナニソレ、植物?
不思議な事に葉は一枚もついておらず、筒状の茎から複数の細い管が風もないのにユラユラと動く。
一発目からエライ不気味なのを当てたと思い、気になって『異世界の歩き方』で調べてみるとハエトリカグラという食虫植物で、神楽の舞いを思わせる動きによって小さな虫を茎の中に誘い込み、入り口を閉じた後に粘液で溶かして食べてしまうらしい。
…これは…面白い植物だけど、虫除けならハーブでいいかな。
何よりも見た目がエグ過ぎて観葉植物には向いてない。
知りたい情報を得たので本を閉じて消すと、初音が目を見開いて熱い視線を送っていた。
「うおぉぉおお!ナニソレ!
どうやって書物を出したんじゃ!?
それ見たい見たい見たい見たい!!」
一向に調査が進まねぇ……。
俺は『異世界の歩き方』を手渡すと、初音はその場に座って一心に読み始めた。
これで大人しくしてもらえるだろう、先に岩壁の近くに落ちていた鉱石を調べる事にする。
触った感じかなり硬い上に所々が結晶化しており、砕けた物は内部が年輪に似た縞模様を形成しているが…これはメノウ石か?
『異世界の歩き方』は初音が使っているので判別できないが、恐らく間違いないだろう。
大小の物をいくつか選んで持ち帰る事にする。
拾っている最中、更に変わった石が目についた。
見た感じ白っぽい石で多孔質の特徴を持っているが、前日の雨で表面が濡れていた。
興味深い事に泡は石の内部から絶えず発生しており、恐らく異世界特有の物だと思われる。
用途は不明だがこれも何個か持っていこう。
次に目を止めたのは竹であるが、ホームに群生している物とは全く別物みたいだ。
もう見た目からして不思議なのだが、この竹は節を一切持たず、一直線ではなく渦を巻くようにして伸びている珍しい物。
触ると横方向の撓みが通常の竹よりも少なく、かなりの剛性を有している事が窺える。
今すぐに使用できる用途を思い付かないが、何本か持っていこうと斧で斬りつける為に竹を曲げるが全然曲がらない!
「……ッあ!はぁ、駄目か。
そうだ、こんな時こそ…おーい、初音。
ちょっと来てもらっていいか?」
名前を呼ばれて顔を上げる初音は何故か嬉しそうだ。
ここは鬼属サマの鬼パワーに大いに期待するとしよう。
「なになに?何をしとるんじゃ?」
「この竹を曲げ……」
言い終わる前に初音は竹の根ごと、地面から引っこ抜いてしまう。
斧なんか要らんかったんや、流石は鬼っ子の初音さんやでぇ…。
「あ…あぁ、ありがとう…」
「あしな!この書物は面白いのう!」
礼を言われた初音は満面の笑顔で再び本読みに戻る。
素直さと驚異的腕力を兼ね備えた恐ろしい娘だ。
この時、ギンレイの居る河原へと忍び寄る影に、まだ誰も気付いていなかった。
しかも珍しい鉱石まであるみたいだし、これは期待できそうだ!
到着するなりギンレイは河原の砂浜で小さな魚を相手に、狩りの練習を始めたらしい。
浅瀬を逃げる小魚を追い立て、幼いながらも野生の本能を発揮させている。
「あしな、あしな!これ何?」
初音が持ってきたのは…ナニソレ、植物?
不思議な事に葉は一枚もついておらず、筒状の茎から複数の細い管が風もないのにユラユラと動く。
一発目からエライ不気味なのを当てたと思い、気になって『異世界の歩き方』で調べてみるとハエトリカグラという食虫植物で、神楽の舞いを思わせる動きによって小さな虫を茎の中に誘い込み、入り口を閉じた後に粘液で溶かして食べてしまうらしい。
…これは…面白い植物だけど、虫除けならハーブでいいかな。
何よりも見た目がエグ過ぎて観葉植物には向いてない。
知りたい情報を得たので本を閉じて消すと、初音が目を見開いて熱い視線を送っていた。
「うおぉぉおお!ナニソレ!
どうやって書物を出したんじゃ!?
それ見たい見たい見たい見たい!!」
一向に調査が進まねぇ……。
俺は『異世界の歩き方』を手渡すと、初音はその場に座って一心に読み始めた。
これで大人しくしてもらえるだろう、先に岩壁の近くに落ちていた鉱石を調べる事にする。
触った感じかなり硬い上に所々が結晶化しており、砕けた物は内部が年輪に似た縞模様を形成しているが…これはメノウ石か?
『異世界の歩き方』は初音が使っているので判別できないが、恐らく間違いないだろう。
大小の物をいくつか選んで持ち帰る事にする。
拾っている最中、更に変わった石が目についた。
見た感じ白っぽい石で多孔質の特徴を持っているが、前日の雨で表面が濡れていた。
興味深い事に泡は石の内部から絶えず発生しており、恐らく異世界特有の物だと思われる。
用途は不明だがこれも何個か持っていこう。
次に目を止めたのは竹であるが、ホームに群生している物とは全く別物みたいだ。
もう見た目からして不思議なのだが、この竹は節を一切持たず、一直線ではなく渦を巻くようにして伸びている珍しい物。
触ると横方向の撓みが通常の竹よりも少なく、かなりの剛性を有している事が窺える。
今すぐに使用できる用途を思い付かないが、何本か持っていこうと斧で斬りつける為に竹を曲げるが全然曲がらない!
「……ッあ!はぁ、駄目か。
そうだ、こんな時こそ…おーい、初音。
ちょっと来てもらっていいか?」
名前を呼ばれて顔を上げる初音は何故か嬉しそうだ。
ここは鬼属サマの鬼パワーに大いに期待するとしよう。
「なになに?何をしとるんじゃ?」
「この竹を曲げ……」
言い終わる前に初音は竹の根ごと、地面から引っこ抜いてしまう。
斧なんか要らんかったんや、流石は鬼っ子の初音さんやでぇ…。
「あ…あぁ、ありがとう…」
「あしな!この書物は面白いのう!」
礼を言われた初音は満面の笑顔で再び本読みに戻る。
素直さと驚異的腕力を兼ね備えた恐ろしい娘だ。
この時、ギンレイの居る河原へと忍び寄る影に、まだ誰も気付いていなかった。
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