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第71話 お姉ちゃんって呼んで②(初音視点)
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「寿司とは魚介の身だけで作るのかと思っておったが…牛肉を載せるとは思わなんだぞ」
屋台で旨そうな物を売っていたので買ってみたのだが、これが大正解!
松阪名産の牛を使った寿司は口に含めると誇張抜きで蕩ける旨さ!
食べていると嘘みたいに溶けて消えていくので、いくつも買ってしまった。
「は、初音ちゃん…すごい食べるんだね」
「生きておるんなら旨い物を知っておくべきじゃ。ほれ、お主も食してみよ。旨いぞ~」
おずおずと口にしたお鈴は肉の魅力を知ると、パッと明るい笑顔を向ける。
そうじゃとも、この娘は常に笑っていて欲しいのう。
「さぁ、次!まだまだ~」
大通りは仕事を急ぐ職人や呼子、品物を見て回る旅人や神宮の参拝者でごった返しており、町の繁栄と謳歌を全身で感じる事ができた。
しばらく歩くと西欧の『かうんたー』を備えた店が目に止まる。
「これは…『ぷりんとーすと』とな!?
なんとも食をそそる甘い香り、これは絶対に食べたいぞ!」
迷う事なく購入を決めると大通りから少し外れた広場へと移動し、噂の西洋文化と念願のご対面じゃ。
「すごい柔らかくて…この白いのは?」
初音はあまり町を出歩いた事がないのか、殆どの食べ物が初体験だそうな。
ここは一つ、ワシのお姉ちゃん力を発揮する所かのう!
「この白いのはな『くりんむ』と『あいすべにら』じゃ。どちらも甘いが舌触りとヒンヤリ感が…ウマイ!」
確かあしなから聞いた話だとそんな名前じゃった…気がする。
「初音ちゃん凄い、何でも知ってるんだね」
ぐふふ、そうじゃろ?
ワシの心のツボをよく心得ておる、流石は我が妹じゃ~。
「西洋の食べ物って奇天烈だけど美味しいね」
「全くじゃ、こんな旨い物を知らずにおるなど勿体ないぞ」
そうじゃ、父上と母上にも教えて差し上げたいぞ…。
「…もう昼前か、なんぞ腹が減ってきた。
何か良さそうな物は…蕎麦?」
広場から進んだ先、少し狭いが見慣れない店構えが見える。
「え……ちょっと細い路地は怖…あぁ、待ってよ初音ちゃん!」
ワシの勘が告げておる。
あの場所に旨い物があると!
いつくつかの店先を通ってたどり着くと、そこには横丁そばと銘打たれた看板が目につく。
蕎麦?それならば知っておるが…いや、子細は食ってみれば分かる事。
「すまぬ、この焼豚満開横丁そばを2つ」
「なんだか子供だけでお店に入るのは緊張しちゃう」
うぬぅ…、ワシはこれでも立派な『れでぇ』じゃぞ。
まぁ、身長はほんのちょっと足りんかもしれんが…まだ伸びる可能性が、そう!可能性の塊なんじゃ!
「どうしたの?」
「なんでもないのじゃ…」
しばらく談笑していると件の蕎麦が運ばれてきたが、これが想像を超える代物じゃった。
つゆは香り高い醤油をベースにしておるが、ワシの嗅覚は先程の寿司ネタと同じ匂いを捉えており、恐らく同じ品種の牛骨から出汁を得たのじゃろう。
のど越しはくどくないのに濃厚な旨味を感じる出汁、そこに縮れ麺が絡んで箸が止まらん!
加えて薄切り肉は全く控える事なく存分に旨さを主張し、各々が与えられた役割を心得ておるかのようじゃ。
見ればお鈴も一心に麺をすすり満足そうな顔よのう。
――――――――――
「美味しかったぁ、私もう食べられないよ」
ワシはもう2~3杯イケたんじゃがの。
お鈴を待たせるのは悪いので、昼はこの辺にしておくか。
そう、まだ遊び足りん。
ずっとこうしていたいのう、お鈴と一緒に…。
屋台で旨そうな物を売っていたので買ってみたのだが、これが大正解!
松阪名産の牛を使った寿司は口に含めると誇張抜きで蕩ける旨さ!
食べていると嘘みたいに溶けて消えていくので、いくつも買ってしまった。
「は、初音ちゃん…すごい食べるんだね」
「生きておるんなら旨い物を知っておくべきじゃ。ほれ、お主も食してみよ。旨いぞ~」
おずおずと口にしたお鈴は肉の魅力を知ると、パッと明るい笑顔を向ける。
そうじゃとも、この娘は常に笑っていて欲しいのう。
「さぁ、次!まだまだ~」
大通りは仕事を急ぐ職人や呼子、品物を見て回る旅人や神宮の参拝者でごった返しており、町の繁栄と謳歌を全身で感じる事ができた。
しばらく歩くと西欧の『かうんたー』を備えた店が目に止まる。
「これは…『ぷりんとーすと』とな!?
なんとも食をそそる甘い香り、これは絶対に食べたいぞ!」
迷う事なく購入を決めると大通りから少し外れた広場へと移動し、噂の西洋文化と念願のご対面じゃ。
「すごい柔らかくて…この白いのは?」
初音はあまり町を出歩いた事がないのか、殆どの食べ物が初体験だそうな。
ここは一つ、ワシのお姉ちゃん力を発揮する所かのう!
「この白いのはな『くりんむ』と『あいすべにら』じゃ。どちらも甘いが舌触りとヒンヤリ感が…ウマイ!」
確かあしなから聞いた話だとそんな名前じゃった…気がする。
「初音ちゃん凄い、何でも知ってるんだね」
ぐふふ、そうじゃろ?
ワシの心のツボをよく心得ておる、流石は我が妹じゃ~。
「西洋の食べ物って奇天烈だけど美味しいね」
「全くじゃ、こんな旨い物を知らずにおるなど勿体ないぞ」
そうじゃ、父上と母上にも教えて差し上げたいぞ…。
「…もう昼前か、なんぞ腹が減ってきた。
何か良さそうな物は…蕎麦?」
広場から進んだ先、少し狭いが見慣れない店構えが見える。
「え……ちょっと細い路地は怖…あぁ、待ってよ初音ちゃん!」
ワシの勘が告げておる。
あの場所に旨い物があると!
いつくつかの店先を通ってたどり着くと、そこには横丁そばと銘打たれた看板が目につく。
蕎麦?それならば知っておるが…いや、子細は食ってみれば分かる事。
「すまぬ、この焼豚満開横丁そばを2つ」
「なんだか子供だけでお店に入るのは緊張しちゃう」
うぬぅ…、ワシはこれでも立派な『れでぇ』じゃぞ。
まぁ、身長はほんのちょっと足りんかもしれんが…まだ伸びる可能性が、そう!可能性の塊なんじゃ!
「どうしたの?」
「なんでもないのじゃ…」
しばらく談笑していると件の蕎麦が運ばれてきたが、これが想像を超える代物じゃった。
つゆは香り高い醤油をベースにしておるが、ワシの嗅覚は先程の寿司ネタと同じ匂いを捉えており、恐らく同じ品種の牛骨から出汁を得たのじゃろう。
のど越しはくどくないのに濃厚な旨味を感じる出汁、そこに縮れ麺が絡んで箸が止まらん!
加えて薄切り肉は全く控える事なく存分に旨さを主張し、各々が与えられた役割を心得ておるかのようじゃ。
見ればお鈴も一心に麺をすすり満足そうな顔よのう。
――――――――――
「美味しかったぁ、私もう食べられないよ」
ワシはもう2~3杯イケたんじゃがの。
お鈴を待たせるのは悪いので、昼はこの辺にしておくか。
そう、まだ遊び足りん。
ずっとこうしていたいのう、お鈴と一緒に…。
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