前世は元気、今世は病弱。それが望んだ人生です!〜新米神様のおまけ転生は心配される人生を望む〜

a.m.

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3:ノンストップ告白

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「……俺……」
「うんうん!」
「名は体を表すとはよく言うなって思うんです」
「ん?」
「佐藤なんてありふれた苗字にありふれた容姿。元気なんてエネルギッシュな名前に丈夫すぎる体。」
「うん?」

「病院で出会って結婚した両親は出会いの場故に病弱で、母は俺を産んでしばらくしたあと病気でなくなったそうです。父は昔から肺と心臓が弱くてよく熱を出したり運ばれたりしていました。父は俺をひとりで育てていたので、昔に比べてよく入院するようになってしまったようで、祖父母はとても心配していました。俺も心配だったけど、両親の願い通り元気に育った俺は、生まれてこの方調子を崩したことは1度もありません。病気も熱も怪我もない。お腹のひとつも壊したことがない。健康そのもの。それは俺の長所だけど、だからこそ人に甘えられないし、心配されたことがないことが、ずっと悩みでした。祖父母はいつも、元気が元気で嬉しいと言っていた。ダジャレかよって感じだけど、お前なら大丈夫だって祖父母は安心したように笑うんです。俺だって心配して泣いて欲しいし、何よりも優先される体の弱い人が羨ましかった。小学校の頃食欲がないと同じ班の子が言い出して、それをみた担任やクラスメイトが心配して保健室へ連れていった。仕事をしていた母親が迎えに来ていた。羨ましくてならなかった。俺の食が遅いと好き嫌いをするなと怒られた。仕事をしていた父は顔色が悪く呼吸が落ち着かないからと同僚に担がれて帰ってきた。その後も落ち着くまでリモートでいいと会社の理解も良かった。羨ましかった。俺がトイレに並んでいると、遅いと課長に叱られた。他の者がトイレの帰りが遅いと、お腹が痛いのかと心配されていたのに。なぜ?!おれは丈夫が長所だけど!心配されたい!去年心臓と肺が弱かった父が亡くなった時、初めて心配された。大丈夫かって。すごく嬉しかった。だけど、その後には絶対お前なら大丈夫かといわれた。心が冷えるような気持ちになった。俺も祖父母も大号泣なのに、祖父母はみなに心配され、その後友人が家に沢山訪れたんだって。母方の両親も会いに行ったんだって。なぜ?!俺は大丈夫と思われるのに。入院中の父のお見舞いに行くたびに誰かからの差し入れがあることにほんの少し嫉妬した。俺も心配されたい。羨ましい。苦しむ父に思うのは酷いとわかってはいるけど、捨てきれなかった願いだった。俺も心配されたい。元気になる度ハグされたい。苦しんでる度世話をされたい。俺なんて、ずっと元気だから!全部一人でやって育った」
「わ、わかった!ストップ!!!」

 今まで誰にもいえなかった思いを口にすれば止まらなかった。息継ぎも最低限にずっと喋る俺に少年が口を手で抑えて止めに入った。

「わかった。もうわかったから。一旦落ち着いて」
「すまん」
「いいよ。わかった。君を病弱にすればいい?心配してくれる余裕のある家庭への転生でいい?いっそ王族にする?…王族はダメだ。病弱だとすぐ殺される。んー……その辺は先輩と相談して決めるよ」
「それでいい。でも、直ぐに死にたくない」
「わかった。命に関わらない程度に病弱にしてあげる。自由に元気に生きるより、それがいいんだね」
「自由に元気にはもうやった」
「そうだね。わかった。心配してくれる人が身近に欲しいんだよね。わかったよ。兄弟姉妹もつくってあげる。友達も。まかせてよ。」
「ありがとう」
「じゃあ眠りな。諸々済ませたらあなたは赤ちゃんだよ。じゃあね」

 そういって少年が俺の目の前に手をかざすと意識が落ちた。



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