【完結】ミキって書かせて頂きます

すみ 小桜(sumitan)

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14話 二人の関係

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 「ファイル?」
 「そのファイルのデータを送ってもらう事になっている。……それと、君を守るにしても勝手に行動されたら無理だ」
 「わかってるわよ……」

 それを聞き、遊佐は立ち上がる。

 「タブレットを持って来る」

 ミキが頷くと、遊佐は出て行った。
 もし楠が犯人を脅す為にこのアットホームに来たならば、必ず泊り客とスタッフの中に犯人がいる事になる。

 「そんな素振りなかったのになぁ……」

 別れ際にはそんな感じは一切なかった。楽しく会話を弾ませていた。
 だが事件は突発的でも、楠がここに来たのは目的を持ってだろう。スーツケースの中を見られない様に、鍵を持ち歩いていたのだから。

 トントントン。
 ミキは戻りが早いと思いつつ、はいっとドアを開けると、そこに伊藤が立っていた。

 「え……」

 ミキが驚くも、伊藤は勝手に部屋に入りドアを閉める。

 「ねえ、今、遊佐さんが部屋から出て行ったでしょ? 仲良くなったの? それとも何か脅されてるとか? 彼、刑事さんと仲よさそうだったじゃない……」

 ――遊佐さん、目立ち過ぎよ。お蔭で動きづらいじゃない……。

 ミキは、心の中でため息をつく。

 「なんか、書き込みしたの私じゃないかって問い詰められちゃて……」
 「やっぱり! 何か叫んでいたものね? 大丈夫?」

 伊藤は自分の部屋に戻っていた。会話はバレてないみたいだが、ミキはひやりとする。

 「あ、うん。でも、誰だろうね、書き込んだ人」
 「誰かしらね?」

 ――なるほど。隠すのね。

 トントントン。
 ドアがノックされ、二人は振り向く。

 ――やばい! 戻ってきた!

 ミキは焦るが訪ねて来た人物は、遊佐ではなかった。

 「あの、鎌田です。昼食の用意ができましたので食堂に来て下さい」

 ドアを開けると、ミキはありがとうと礼を言い、胸を撫で下ろす。

 「あ、伊藤さんもご一緒でしたか。では」

 鎌田は、軽く会釈すると一番のドアに向かう。

 「食堂、行きましょうか」

 ミキが言うと、伊藤は頷き、一緒に食堂に向かった。


 ○ ○


 ミキと伊藤の二人は、食堂に一番乗りだった。
 伊藤が座ると、ミキは向かい側に座った。

 「一つ、ずれているぞ」
 「わざとずれたの。向かい側、誰もいないんだの」

 後から来た遊佐に、ミキがそう返すと、彼はそうかと隣に座った。なので、一つずつずれて座る事になった。
 その後、堀、八田と相内の二人も来て全員が揃う。
 全員座ると、お味噌汁とおしぼりが各々に配られ、中央におにぎりが置かれた。
 本来は昼食はついてないが、特別に作ってくれた。
 朝食を抜いているので流石におなかがすいたのか、全員おにぎりを手に取り頬張る。

 「そういえば、伊藤さんって二人と仲いいよね?」

 ミキは、ワザと彼女にそう話を振った。

 「同じJR乗っていたのか、タクシー降りたら二人も降りて来て……」

 ――なんとしらじらしい……。

 二人の関係を知っているミキは、そう思った。

 「それで、三人で私達の部屋でお話ししていたの」

 何も知らない相内が、そう続けた。

 「それでお酒を飲んで、更に親交を深めたのね」

 ミキは、窓から部屋に戻った時に、伊藤の部屋の電気が点いていた事を思い出しそう言った。
 たぶん、相内が寝入った後、八田と相内の二人は部屋で密会でもしていたのであろう。
 ちょっとした皮肉だが、勿論誰も気づかない。

 「最後に、伊藤さんから特製ドリンク頂いて。明日二日酔いにならずに、スッキリ起きられるわよって。スッキリ起きられたのに……」

 相内がそこで言葉を切ると、場が静まり返った。
 その後、殺された楠が発見された――そう、言わずとも続くとわかる。

 「私もそれ、飲んでみたいな。まだ、ある?」

 ミキは、何故話をそこに持って行くと思いつつ、仕方がないのでまた話を振る。

 「え? あ、全部飲んでしまってもうないわ」

 伊藤がそう答え、会話は終了になった。
 八田、相内、伊藤は、おにぎりを食べ終えると、早々に部屋に戻って行った。

 「全く、結局、会話続かないじゃない……」

 ミキは、部屋に戻って行く三人を見送り、ボソッと呟く。

 「この状況じゃ、それが普通じゃないのか? 君のように、図太くないだろう?」
 「何それ! 失礼ね」
 「ところでミキ。この後、俺の部屋にこないか? タブレットを……」

 ガタッ。
 音の方を見ると、堀が慌てて立ち上がっていた。

 「あ、僕も部屋に戻ります……」

 そう言うと、堀は立ち去って行った。

 ――ミキって呼び捨てにするから、堀さん、完全に私達の事を誤解したじゃない。

 「で、どうする?」
 「行くわ」

 二人も食堂を後にすると、遊佐の部屋に行った。

 「あのさ、遊佐さん。もう少し振る舞いを考えてほしいんだけど……」
 「振る舞いとは?」
 「同僚か知らないけど、刑事さんと一緒に行動してるから八田さん達、あなたの事を刑事に取り入ってると思っているわよ。さっきだって……。こっちが、行動しづらいじゃない!」
 「それはすまなかった。気を付ける。あと、潤は親戚だ」

 ――いや、二人の関係は、今、全く関係ないから……。

 ミキは、言いたい事が伝わっているのだろうかと、遊佐を睨む。

 「ファイルの内容だが、どうやらちょっとした漏えい記事のようだ」

 だが遊佐は、もうその話は終わったとソファーに座り、タブレットを手に取った。
 ミキも彼の隣に座り、そのタブレットを受け取る。

 「漏えいと言っても、お偉いさん方の携帯番号とかが手違いで外に漏れた程度のようだ。ただ、最後の記事だけ、自殺未遂の記事……どうかしたか?」

 遊佐がふとミキを見ると、ミキはタブレットをジッと見て難しい顔をしていた。

 ――この記事……。そうだ。二年前に私、楠さんに会ってる! なんで気づかなかったのよ!

 楠に会った時に、何となく会った事があるように感じていた。それを今、ミキは思い出した!

 「私、楠さんに二年前に会ってる。見た目も性格も違ったから気づかなかった……」
 「何だって!」

 ミキからの意外な言葉に、遊佐は驚いた!
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