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16話 二つの事件の接点
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「そこまで調べて、記事にしなかったのか?」
「許可がおりなかったのよ! その保険外交員を探し出せなかったから! それに、それだけに時間をさくわけにはいかなかったの。他の取材もあったりして。時間切れで、打ち切りに……」
ミキは、悔しそうにそう言った。
今回の殺人事件は、これが関係しているとミキは思った。
楠は、自力で犯人を見つけたのだろう。
彼女が犯人をどうしようとしたかはわからないが、犯人が楠に言われて自首するとは思えない。犯行がバレたから殺された!
ミキが考え込んでいると、遊佐は思い出したように言う。
「ちょっと待て。飲み物って、伊藤さんも確か……。それとも偶然か?」
ミキもハッとする。
――そうか! 相内さんは、ターゲット! あの二人は、隠れて付き合っていたんじゃなくて、共犯者だったって事よ!
ミキはそう思い当たる。
そういえば、遊佐の事も気にしていた。今思えば、警察と一緒にいる遊佐から、ミキが何か聞いてないか探りを入れていた。
ミキは、伊藤が探していた保険外交員で、その共犯者が八田ではないだろうか、と推理する。
「ねえ、もし伊藤さんが探していた保険外交員だったとして、偶然、楠さんが居合わせたと思う? 私達、彼女のドリンクの事、さっき聞いたのよ」
ミキはそれとなく、遊佐に振った。
「確かに。偶然じゃないかもな。だが、そうなると……ターゲットは八田さんだったのか? それで二人に飲ませて? しかし、二人が眠るまで部屋で待っていた事になるな。それ、不自然じゃないか?」
遊佐も伊藤が八田達に近づいていた事に気が付いた。
それに頷き、ミキはこう答える。
「それは、不自然よね。でも、伊藤さんは飲ませるだけ。データは、仲間が奪えばいいのよ」
「仲間? 二人のうち……いや、相内さんは飲んだ様子だった。……八田さんが共犯者? では、ターゲットは相内さん!?」
ミキは、欲しかった答えに頷いた。
「楠さんは、ここでそれが行われるのを何かで知ったんじゃないのかしら? だったとしたら、証拠のドリンクを手に入れられる」
遊佐は、くしゃっと前髪をかき上げた。
「だったら、もう睡眠薬入りドリンクはないな」
「いや、あるでしょう? 楠さんの衣服に残っているはずよ! だから盗んだんだし。犯人は、警察のお蔭で、外には出ていない。たぶん、処分できずに手元に持っているはずよ!」
意気揚々と言うミキに対し、遊佐は難しい顔つきになっている。
「しかし問題がある。アリバイだ! 相内さんも証言しているし……」
遊佐の言う通り、アリバイがあるから二人は犯人から除外されていた。
「その事だけど、私達時間に捕らわれ過ぎていたのかも……」
「と、言うと?」
ミキの言葉に、遊佐は投げかける。
「零時過ぎは、一分でも過ぎていれば零時過ぎなのよ! それに、相内さんはお酒を飲んだ上に睡眠薬を飲まされたのであれば、布団に入ったら直ぐに寝たはずよ!」
遊佐は、ミキの言葉に頷いた。
「なるほど。そうだな。で、君が楠さんの部屋から聞こえて来た声を聞いた時間は、正確には何時なんだ?」
「零時二十分少し前よ。もし楠さんが、自分の探していた人物だと知って招き入れたのだとしたら、直ぐに口論が始まったのかもしれない。だとしたら、零時過ぎまで飲んでいたとしてもアリバイにならないわ」
最初から二年前の事件の事について問い詰めたのなら、直ぐに争いが始まってもおかしくない。ミキが声を耳にした時間の数分前に、部屋に入ったとしたら零時過ぎまで飲んでいても、犯行は可能だ。
アリバイだと思っていた三人で飲んでいた時間は、アリバイにならなくなった!
「そうだな。それなら、零時過ぎまで飲んでいても可能だ。よし、直ぐに持ち物検査を……」
「待って!」
遊佐が、伊東に連絡を取ろうとすると、ミキは止めた。
「衣服を発見したとしても、気づいたら部屋に置いてあったとか言い訳されたら、どうにも出来ないわ!」
もし、楠が着ていた服が伊藤の部屋で見つかったとしても、いつの間にか置いてあったなどと言われれば、伊藤の犯行を裏付ける物証にならない!
少なくとも楠と伊藤の接点がないとダメだった。つまり、伊藤が保険外交員として、楠の彼氏に接触した人物としての確証を得る事。そして、相内を今回ターゲットに選んでいた証拠があれば、それを実証できる可能性がある。
「そうだな。どうしたものか……」
遊佐は、腕を組み考え込む。
「ねえ、私が夕飯時、鎌を掛けてみるわ!」
「大丈夫なのか?」
今、二人を逃がせば雲隠れする可能性もある。だが何も確証がない!
伊藤本人の口から事件に繋がる事を話させる必要がある。ミキには、採算があった。
「あなたがやるよりは、マシよ。それで、お願いがあるんだけど……」
ミキが遊佐に話し掛けた時、ドアがノックされ、二人は振り返った。
「あの、高橋です」
ドアをノックしたのは、スタッフの高橋だった。
ドアを開けると、高橋は何かを遊佐に手渡す。
そして、ドアを閉めると、遊佐は振り返り言う。
「ミキ、最初で最後のチャンスに掛けてみるか!」
ミキは、力強く頷いた!
「許可がおりなかったのよ! その保険外交員を探し出せなかったから! それに、それだけに時間をさくわけにはいかなかったの。他の取材もあったりして。時間切れで、打ち切りに……」
ミキは、悔しそうにそう言った。
今回の殺人事件は、これが関係しているとミキは思った。
楠は、自力で犯人を見つけたのだろう。
彼女が犯人をどうしようとしたかはわからないが、犯人が楠に言われて自首するとは思えない。犯行がバレたから殺された!
ミキが考え込んでいると、遊佐は思い出したように言う。
「ちょっと待て。飲み物って、伊藤さんも確か……。それとも偶然か?」
ミキもハッとする。
――そうか! 相内さんは、ターゲット! あの二人は、隠れて付き合っていたんじゃなくて、共犯者だったって事よ!
ミキはそう思い当たる。
そういえば、遊佐の事も気にしていた。今思えば、警察と一緒にいる遊佐から、ミキが何か聞いてないか探りを入れていた。
ミキは、伊藤が探していた保険外交員で、その共犯者が八田ではないだろうか、と推理する。
「ねえ、もし伊藤さんが探していた保険外交員だったとして、偶然、楠さんが居合わせたと思う? 私達、彼女のドリンクの事、さっき聞いたのよ」
ミキはそれとなく、遊佐に振った。
「確かに。偶然じゃないかもな。だが、そうなると……ターゲットは八田さんだったのか? それで二人に飲ませて? しかし、二人が眠るまで部屋で待っていた事になるな。それ、不自然じゃないか?」
遊佐も伊藤が八田達に近づいていた事に気が付いた。
それに頷き、ミキはこう答える。
「それは、不自然よね。でも、伊藤さんは飲ませるだけ。データは、仲間が奪えばいいのよ」
「仲間? 二人のうち……いや、相内さんは飲んだ様子だった。……八田さんが共犯者? では、ターゲットは相内さん!?」
ミキは、欲しかった答えに頷いた。
「楠さんは、ここでそれが行われるのを何かで知ったんじゃないのかしら? だったとしたら、証拠のドリンクを手に入れられる」
遊佐は、くしゃっと前髪をかき上げた。
「だったら、もう睡眠薬入りドリンクはないな」
「いや、あるでしょう? 楠さんの衣服に残っているはずよ! だから盗んだんだし。犯人は、警察のお蔭で、外には出ていない。たぶん、処分できずに手元に持っているはずよ!」
意気揚々と言うミキに対し、遊佐は難しい顔つきになっている。
「しかし問題がある。アリバイだ! 相内さんも証言しているし……」
遊佐の言う通り、アリバイがあるから二人は犯人から除外されていた。
「その事だけど、私達時間に捕らわれ過ぎていたのかも……」
「と、言うと?」
ミキの言葉に、遊佐は投げかける。
「零時過ぎは、一分でも過ぎていれば零時過ぎなのよ! それに、相内さんはお酒を飲んだ上に睡眠薬を飲まされたのであれば、布団に入ったら直ぐに寝たはずよ!」
遊佐は、ミキの言葉に頷いた。
「なるほど。そうだな。で、君が楠さんの部屋から聞こえて来た声を聞いた時間は、正確には何時なんだ?」
「零時二十分少し前よ。もし楠さんが、自分の探していた人物だと知って招き入れたのだとしたら、直ぐに口論が始まったのかもしれない。だとしたら、零時過ぎまで飲んでいたとしてもアリバイにならないわ」
最初から二年前の事件の事について問い詰めたのなら、直ぐに争いが始まってもおかしくない。ミキが声を耳にした時間の数分前に、部屋に入ったとしたら零時過ぎまで飲んでいても、犯行は可能だ。
アリバイだと思っていた三人で飲んでいた時間は、アリバイにならなくなった!
「そうだな。それなら、零時過ぎまで飲んでいても可能だ。よし、直ぐに持ち物検査を……」
「待って!」
遊佐が、伊東に連絡を取ろうとすると、ミキは止めた。
「衣服を発見したとしても、気づいたら部屋に置いてあったとか言い訳されたら、どうにも出来ないわ!」
もし、楠が着ていた服が伊藤の部屋で見つかったとしても、いつの間にか置いてあったなどと言われれば、伊藤の犯行を裏付ける物証にならない!
少なくとも楠と伊藤の接点がないとダメだった。つまり、伊藤が保険外交員として、楠の彼氏に接触した人物としての確証を得る事。そして、相内を今回ターゲットに選んでいた証拠があれば、それを実証できる可能性がある。
「そうだな。どうしたものか……」
遊佐は、腕を組み考え込む。
「ねえ、私が夕飯時、鎌を掛けてみるわ!」
「大丈夫なのか?」
今、二人を逃がせば雲隠れする可能性もある。だが何も確証がない!
伊藤本人の口から事件に繋がる事を話させる必要がある。ミキには、採算があった。
「あなたがやるよりは、マシよ。それで、お願いがあるんだけど……」
ミキが遊佐に話し掛けた時、ドアがノックされ、二人は振り返った。
「あの、高橋です」
ドアをノックしたのは、スタッフの高橋だった。
ドアを開けると、高橋は何かを遊佐に手渡す。
そして、ドアを閉めると、遊佐は振り返り言う。
「ミキ、最初で最後のチャンスに掛けてみるか!」
ミキは、力強く頷いた!
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