【完結】ミキって書かせて頂きます

すみ 小桜(sumitan)

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42話 深まった謎

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 「わざわざご足労頂いて、申し訳ない。どうぞ」

 連れて来られたのは、取調室ではなく、小さな会議室だった。
 長テーブルとパイプ椅子が置いてある。
 一番奥の椅子にミキと浅井は座った。

 「すみません。出来るだけすぐにあの場を離れて、ここに来るように遊佐さんに言われて……」

 座ると同時にすまなそうに浅井が言った。
 それに、静かにミキは頷いた。

 「遊佐から話を聞きました。お二人は八羽仁組に脅されているのではないかと思いまして……。記者だっていう話は聞いています。話せない事もあると思いますが……」

 そう、水上は切り出した。
 ミキは、チラッと遊佐を見る。

 「俺がいると話しづらいなら、席を外すけど?」
 「え? いや、そういう訳じゃ……。なんか、迷惑かけちゃったなって……」
 「そう思うなら、全て話してくれ」

 遊佐は、ジッとミキの目を見て言った。

 「別に八羽仁組に脅されている訳ではないんです。むしろ、相手が八羽仁組を利用してるみたいです……」
 「利用? 何故、そう思いますか?」

 ミキの言葉に、水上は聞いた。

 「私、佐藤史江ふみえさんの孫の佐藤さんに取材したんです。で、その時に彼が、史江さんの名簿のデータをどこかの組に流したっていうような事を言ったので詳しく聞こうと思っていたのですが……」
 「その相手が、八羽仁組じゃないのか?」

 遊佐が言うが、ミキは首を横に振った。
 浅井も違うと一緒に首を振る。

 「違うみたい。私達を八羽仁組に係わらせて、八羽仁組に襲われたように思わせ、私達も八羽仁組もはめようとしているみたいです。ただ……」
 「ただ、何ですか?」

 口ごもるミキに、水上は問う。

 「……何故、そこまでするのかがわからないんです。データの横流しの件は、サッポロンを取材して、もしかしてと思った事なんです。警察だって追えます。私達をつけ狙う理由にしては、弱いと思うんです。他には思い当たらないし……」

 本当に思い当たらなかった。
 八羽仁組との接触だって、佐藤と出会った事で接点が出来た。

 「君の事だから、違う所で恨みを買ったんじゃないのか? 例えば、違う取材でヤクザ絡みはなかったか?」

 ミキは、大きく首を横に振った。

 「それは、絶対にない!」
 「僕もないと思います」

 浅井もミキに賛同した。

 「二人がそう思っているだけで……」

 遊佐が尚も食い下がろうしたが、ミキが首を横に振って話し出す。

 「私がここに……北海道に来たのは、遊佐さんと会ったあの旅行の時なんです。引っ越しがてら、小樽観光をしたんです。だから、こっちで仕事を始めたのはその後。つまり、今回の取材がこっちでの初仕事なんです……」

 ミキの話に、遊佐は驚いていた。

 「変だとは思っていた。君のような記者なら名前ぐらい聞いた事があっても不思議じゃないのにって。そういう事だったか……」
 「なるほど。では、八羽仁組に恨みを持つ組が、君達を利用して八羽仁組をはめようとしているって事か……」

 二人の話に、水上は腕を組みうーんと唸る。

 ――そんな単純じゃないような気もするけど。

 ミキは、何か引っかかっていた。
 そもそも八羽仁組だって何度もはめられたら気づく。そうしたら、逆にやられる可能性があるのに、そんなリスクあるのに何故自分達を? とミキは考えた。
 自分達を殺してもメリットがあるとは思えない。
 殺されるような恨みを買った記憶もない。
 はめようとした相手は誰なのか。
 謎が深まるばかりだった。

 「すみません、課長。ちょっとミキ……若狭さんと二人っきりで話がしたいのですが」

 水上は、遊佐の申し出に頷く。

 「では、浅井さんは、隣の部屋でお話し宜しいですか?」
 「え?」

 心配そうに浅井は、ミキを見た。

 「大丈夫よ」

 ミキは、浅井にそう言って頷いた。
 浅井は、不安げな顔のまま水上について出て行った。

 パタン。
 ドアが閉まったのを確認して、遊佐が口を開く。

 「で、君は何故、八羽仁が住んでいるマンションの近くの公園に行ったんだ?」

 遊佐はミキに聞いた。

 「あー。それは……」
 「君には自覚がないのか? どれだけ危険な行動をしているのか? 浅井さんを巻き込んでる事もわかっているか?」

 遊佐は、腕を組み壁によりかかって、眼鏡の奥から鋭い視線を送る。

 「ごめんなさい。わかってるわ。……私のスマホに八羽仁組に追われてるって佐藤さんから電話が入って。その後すぐに会社に、佐藤さんの件で話があるって電話が来て……」
 「その電話で君は向かったのか? 無謀すぎるだろう? 今回、相手は八羽仁組じゃなかったようだが、普通に考えたら八羽仁組だ! わかってるか? 殺されていてもおかしくないんだぞ!」
 「わかってる。自分がどれだけバカな事をしたのか……。彼に助けてもらわなかったら私達は殺されていた……」

 ミキの声は、最後は震えていた。
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