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杖を向けてランクアップ!

009

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 『では次は今もらった5Gを寄付してみましょう』

 「え! 寄付しちゃうの? それって何に役立つの?」

 『まあ役立つという観点から言うと、寄付した金額でいい仕事を回して貰えるって事でしょうか。基本的にサブも含めたジョブで仕事が紹介されますが、よい条件の物が表示されるようになるんです』

 「仕事をこなしたらいい条件が増えるんじゃないんだ」

 『はい。違いますね』


 寄付制? なんですね。稼いだお金をつぎ込めと……。
 これもチュートリアルならしないと進まないんだよね、きっと。

 仕方なく神官に話しかける。


 「あのこれ寄付したいんですけど……」

 「ありがとうございます! ステム様のご加護がありますように」


 5Gを渡すと神官はお祈りをしてくれました。


 『ではもう一度、神官から五つ葉の輸送という仕事を請け負って下さい。受け取った荷物を持って違う場所へ移動します』

 「移動?」

 『はい。この場所は北10という神殿で、南にある北9という神殿に届けるという仕事です』

 「わかったわ」


 私は神官に話しかけ仕事を請け負った。荷物は五つ葉30個。これを届けるだけらしい。


 『それには劣化しない魔法が掛けられているので、慌てなくてもいいですよ。では行きましょうか』


 私は頷いて、荷物を鞄にしまいシシリーについて行った。
 毒の沼とは反対の方向に進む。って、道がない。あっても獣道。草が踏み倒されている上を私は歩いて行った。

 カサカサ。
 暫く進むと左手から音がして、茂みからネズミが出て来た!


 「きゃー!」

 『大丈夫ですよ! 弱いモンスターですから』

 「これモンスターなの!?」


 子猫ほどもあるネズミはジッとこっちを向いている。

 ど、どうしよう……。


 『なつめは、攻撃魔法がないのでその杖で叩いて下さい。ファイト!』

 「やっぱり叩くの……」


 ひ~~。
 私は、目を瞑ってぶんぶんと振り下ろす!


 『ちゃんと狙って下さいよ。一回しか当たってないですよ』

 「いや~。こないで!」


 そう言われてネズミを見ると、何故か近づて来た!
 私は無我夢中で杖を振り回した!


 『もうちょっと右!』


 当たった感触。


 『もっと前に出て! あと一回当てれば倒れますから』


 シシリーにそう言われ、頑張って前に出て振り下ろす!


 『倒れましたよ! お疲れ様!』


 私はゼイゼイと四つん這いになっていた。


 「モ、モンスターは出てこないんじゃなかったの?」

 『いや、ここ森の中だし。それにこれ、チュートリアルですよ』

 「え! 聞いてないよ!」

 『あ、教えた方がよかったですか? しかし戦闘は思ったより……。サブは杖もありますし、魔法使い系がいいかもですね。冒険者にならなくても戦闘はあると思うので』

 「そうします……」


 いやもう、これ無理。相手が弱くたってネズミとか勘弁してほしい。
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