【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第35話 これって盗んだ事になるのかな?

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 「ふわぁ。おはようございます」

 「おはよう。今日は遅かったな。来ないかと思った」

 カウンターのダダルさんが言った。
 結局昨日は宿に素泊まりして、朝一番の馬車で家に戻ったので、ほとんど寝ていない。帰ってからチェトを洗ってあげて、すぐに出て来た。
 それでもいつもより遅い馬車になったんだ。

 「おはよう。お前、寝てないのか?」

 奥の椅子に座っていたユイジュさんが僕の方に向かいながら言った。

 「いや寝た事は寝たんだけど……」

 「おぉ? 犬コロ何つけてる? ネックレス?」

 『な、何をする。降ろせ!』

 スーッと近づいたと思ったらダダルさんは、ひょいとチェトを抱き上げた。

 「はぁ? これイミテーションか? 本物か?」

 「うん? イミ……?」

 「どこで買ったんだこれ?」

 ユイジュさんが、チェトのチェーンを軽く引っ張って聞いた。

 「あー! もうやめてよ。切れたらどうするのさ。冒険者の街で買ったの」

 「昨日、行ったのか?」

 「うん。まあ……」

 「まさかお揃いとか?」

 「よくわかったね! 僕は赤なんだ!」

 ユイジュさんに言われて、僕も首から下げていたサイコロ型のランプを見せると、ユイジュさんはジドーっとした目で見ている。なんでだ。

 「おまえな。無駄づかいして……」

 「おや、これ本物だな」

 いつの間にか近くまで来ていたセードさんが、チェトのを見て言った。

 「イミテーションじゃない? これ、魔法道具マジックアイテム屋で買ったのか!?」

 そうだから頷いたけど、ユイジュさんが驚いて言っているけどなんでだろう?

 「……もう一ついいか。腰に付けているのはなんだ?」

 「あぁ、これ。採取袋……あ! 入れっぱなしだ、忘れてた」

 置いて来るつもりだったのに。

 「何が入っているんだ? 見せてもらっていいか?」

 ダダルさんが、チェトを何故かユイジュさんに預け、僕に聞くので頷いた。
 袋を腰から取って、ダダルさんに渡すと、中を覗き込んだダダルさんが驚く。

 「セードこれ!」

 ダダルさんが取り出したのは、七色の羽根だ。七色といっても白いんだけど光の加減で七色に少し色づいて見える。不思議な羽根。

 「これは、本物の夢想鳥ドリームバードの羽根だ!」

 セードさんがそう言うと、三人がバッと僕を見た。

 「これ、どうしたんだ? どうして持っている?」

 って、ダダルさんが怖い顔つきなんだけど……。

 「盗んだわけじゃない……あれ? 盗んだ事になるのかな?」

 「わかる様に説明しろ!」

 ユイジュさんはそう言うと、ばたんと玄関のドアをしめた。また話し合いと言うか、僕から話を聞きたいらしい。
 え~なんで? あれって持って来ちゃいけなかったの?
 ど、どうしよう。



 『なぜ、我はこの男の膝の上なんだ?』

 ユイジュさんからダダルさんにチェトは戻されていた。チェトは、ダダルさんの膝の上だ。
 なぜか僕の元に戻してくれない……。
 もしかして、罰としてチェトを取り上げられちゃうの!?

 「ご、ごめんなさい! 持ち出し禁止だと知らなくて! 戻して来るからチェトを返して下さい」

 「だから待てって! 一体どこから奪ってきたんだ? そこら辺にないだろう?」

 「実は昨日、お金がなくなちゃって……仕事を引き受けたんだ」

 「なくなったって、ネックレスを買ったからか?」

 ユイジュさんの質問に首を振って、テーブルの上にある採取袋を指差した。

 「それ採取セットの採取袋なんだ。ちょっとスキルを覚えようと思って雑貨屋で色々やっていたらいつの間にか買う事になって……」

 「何をやってるんだお前は! で、その仕事の途中で拾ったのか? どこで拾った?」

 「木の上」

 「はぁ? 木の上?」

 「もしかして、受けた仕事って鳥の巣の持ち帰りか!?」

 驚いてダダルさんが叫ぶように言うから頷いた。

 「あの木に登ったのか? ちょっと待て、登るのはいいがどうやって持ち帰ったんだ? もしかして中身だけ失敬してきたのか?」

 と更に聞くから違うと首を横に振る。

 「ちゃんと渡された袋に入れて巣は持ち帰ったよ」

 「誰と組んで行った」

 今度は、ユイジュさんが聞いた。

 「誰って、チェトと二人で行ったけど? 一人じゃダメみたいだし」

 「……いや、それ一人って言わないか?」

 「え? あ、チェトは冒険者登録をしてないからカウントされないのか!」

 ってそれ今気がついたよ。

 「っぶ。あははは」

 ユイジュさんは呆れ顔だったけど、ダダルさんは大笑いだ。

 「いやぁ。君は見かけによらず怖いモノ知らずだね」

 とセードさんまで驚いていた。
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