異世界で奏でるルーンと猫とフェアリーの三重奏

すみ 小桜(sumitan)

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第9話 証明

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 目指すのは街。遠くに見える塔の様な建物が目印だ。どうやら街の中心にある塔らしい。早歩きで歩く事一時間。やっと街に到着。

 「ここってルーンの結界が張ってあるようなの」

 と、ヒナが言った。
 彼女には、ルーンの魔法が見えるようだ。いいなぁ。

 「凄い。看板の文字が読めるわ」
 『魔法って便利ね』

 僕はさっき来ていないからわからないけど、確かに日本語じゃないのに文字がなぜか読める。不思議だ。

 「ここかな?」
 「うん? 何でも屋?」
 『思うに冒険者協会やギルドみたいなところだと思うの』

 行き当たりばったりなんだ……大丈夫か?

 僕らはドアを開け中に入った。
 左側には、色んな人がいてお店の人がお客と話している。右側の壁にはボードがあって、紙が貼ってありそれを見つめる人が多数いた。

 「いらっしゃいませ。依頼でしたら右の列にお並び下さい。文字が書けなくても聞いて依頼を申し込めます」
 「あ、いえ。私達は仕事を請け負う方を探していて」
 「そうですか。では手形を拝見してもよろしいですか?」

 手形!?
 僕らはそんなのがいるのかと顔を見合わせた。

 「この国の方ではありませんよね?」

 まあ恰好からして違うからな。

 「じ、実は盗まれまして……」
 「盗まれた!? では他に身分を証明できる物がございますか?」

 この状況やばくない?

 「いえ。それにこの国の字は読めるのですが、書く事は出来ません。私はルーライザン帝国の者です」

 うお。ヒナが超適当な事を言い出した。

 「まあ。やっぱり」

 やっぱり?

 『よかったわ。ゲームの設定が通じて』

 ヒトミンが早速樹霊から授かった通信の能力で話しかけてきた。おい。一か八か過ぎるだろう!

 「ルーン文字なら書けるのですが、それで登録できますか?」
 「では、ルーンを使って見せて下されば、承諾しましょう」

 スーと現れた男性が、そう言った。きっとそれなりの地位なんだろう。

 「よろしいですよ。規則で簡単のしかお見せする事ができませんが」
 「はい。構いません」
 「おい、ヒナ大丈夫かよ」

 レベルが低いから使えないって言っていただろう。
 ヒナは、ウインクして返してきた。

 僕にはどうする事もできないので見守るしかない中ヒナは、右の壁に行き貼ってあった紙を持ってきた。それには、紅草10本と書いてある。依頼の紙みたいだ。
 それにヒナは、人差し指でスーッと何かを描いていく。そうすると白い紙が、赤……いや紅色になった!

 「こ、これは」

 見守っていた周りの人から歓声があがる。
 僕も拍手を送りたいところだ。

 『樹霊にもらったルーンが役に立ったわね』

 そうだった。ありがとう、樹霊。

 「これでいいかしら?」
 「はい。確認がとれました。手形がなくとも組員として登録を許可します。登録の文字もルーン文字で構いません。変換用アイテムがあります」
 「よかったわ。にっこりとヒナは微笑んだ」

 僕らは、ここの組合員になる事がめでたくできた。

 「これになります。早めに役所に行って手形の再申請をなさって下さいね。それまではこれで何とかなると思います」
 「ありがとうございます」

 ヒナは、2枚カードを受け取った。たぶん僕の分も申請してくれたんだ。

 「あと、請け負った仕事は期限内にお願いします。二人で一つの仕事をした場合でも、給金は依頼書に書いた金額となります」
 「はい。三日以内ですね」

 さっきの紙に書かさった依頼をそのまま受けたんだ。
 僕らは、何でも屋から出た。

 「うーん。上手くいった」

 伸びをしてヒナが言う。

 「もうドギマギだよ。心臓に悪い」
 「でもこれでわかったわ。全く違う世界じゃないって事がね」
 「え?」
 「だから偶然同じ名前の国があったとしてもそれがルーンの国なわけないでしょう?」
 「あ、そっか」

 同じ名前で同じルーンの国があると言う事は、ゲームと重なる部分がある異世界か、あるいはゲームの中に飛ばされた可能性があるって事か。

 「で、この街は見た事とか聞いた事あるの?」
 「ないわ」

 ないのに賭けに出たのかよ。

 「あのさ、もう少し慎重に行動したほうがよくない? ルーンの国がなかったらどうする気だったんだよ」
 「全く確証がなくて言ったわけじゃないわよ。ルーン自体はあるのはわかっていたでしょう? 樹霊様が普通に授けてくれたし。普通に使われていると思ったのよ」
 「なるほど」
 「それにそこら辺で聞いて回って相手に知られるより、自然に知った方がいいでしょう。別にその国を知らなくても小さな国だからって言えばいいんだから」
 「うーむ」

 かもしれないけど。

 『少なくともゲームとどこかシンクロした世界のようね。赤居達も条件は一緒よ。話せても書けない読めない』
 「そう考えれば、私たちの方が一歩リードよ。はいカード」

 そうなるのかな? 敵は赤居なのか? まあ彼の一言でこうなったけど。あの人らもあほじゃなきゃ、赤居が救世主じゃないと気づくだろう……いや、救世主なのか? これが勇者召喚に巻き込まれってやつか?

 「うん? ヒトミン?」

 カード名には、ヒトミンと書いてあった。

 「あなたの名を書くわけにいかないでしょう。マオというのは、知れ渡っているから」

 そう言って指さした先には、僕らの指名手配の紙が貼られていた。
 マオ、イガラシ、フジモト……。
 確かに僕の名前は使えないけど、大丈夫なのか二人の名前で。
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