【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

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第1話

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 「見ない間に、大人っぽくなったな」

 私の婚約者になる彼は、私の首の後ろに手を回し言った。
 嬉しいけど少し照れ臭い。
 本当は私、誰とも結婚する気などなかったのに、彼にほだされちゃったのよね。

 私は、前世の記憶を持っていたけど、この世界では何も役に立たない。でも恵まれた事に貴族の娘として生まれた。
 お陰でケーキを食べられる。でもこのままだと、将来が危うい。
 結婚して嫁いだ先で、ケーキが買えなくなるかもしれない。だったら結婚せずに独身でってね。

 もちろんその為の策も考えていたのだけど……。

 「では、私から。彼女を幸せにします。何があってもファビアは、守ります」

 そう皆に向かって宣言をすると彼は、優し気な瞳で私を見た。
 今日は、婚約式。めでたく? 私達は、婚約いたしました。



 前世と同じストレートの黒髪にロイヤルブルーの瞳。鏡を見る度に、自分がハーフの様で不思議な気分になった。
 けどこの世界では、黒髪もロイヤルブルーも一般的だ。

 ファビア・ブレスチャ。子爵家の一人娘だった私に、継母とその娘の義妹ができた。
 この世界の貴族は、片親だと体裁が悪いらしくお父様は私が8歳の時に再婚をした。
 その時に一つ下の義妹ができたのだ。彼女は、マリーと言って、母親と同じ銀色の髪に赤い瞳で可愛らしい子。

 どうせなら私も黒髪ではなく、銀色がよかったなぁ。

 母親も、30過ぎとは思えない程若作りをした人だった。
 大抵の令嬢は、18歳までに結婚し20歳頃までに第一子を産む。それを考えると彼女は、結婚が遅かったか子宝になかなか恵まれなかったのか。母親になった時には、25歳だったみたい。

 私は産まれた時から前世の記憶があったので、変わった性格の子として育っていて、私の私生活を見た継母は大変驚いていて、マリーと一緒に淑女の勉強をさせられた。
 彼女は、男爵家のご令嬢で最初の結婚した相手も男爵だったとか。

 「あなたが変な行動を起こせば、マリーも同じ目で見られるのよ」

 お父様がいない所で、いつもそう言うのだ。
 外に出る時は、ちゃんとしているのだから部屋にいる時ぐらい、まったりしてもいいじゃないか。
 そう言いたいけど、8歳の私には言えなかった。

 お父様は、どうやら彼女の容姿に惚れたみたい。と言うか銀髪がいいらしい。お母様がそうだった。
 そう私の黒髪は、お父様譲り。瞳は両方かな。
 お父様が紫の瞳で、お母様は碧眼。

 と言う訳で、彼女に言いくるめられていて、ドレスだ、宝石だと言われるまま買い与えていた。
 もちろん、自身の娘マリーにもドレスを新調するのを忘れない。
 一応私に「わよね?」と聞いてくるから、頷いて返せば、マリーにだけドレスを買い与えていた。
 その聞き方どうよ。と思うも、彼女と争うのも面倒くさい。

 それについて彼女はお父様に、「ドレスを作りましょうと言ったのですが、要らないと頑ななのです」と言っていた。
 元々変わった子だったので、その話をお父様は信じている。
 娘に問えよ! 本当なのかって。
 まあ別に今のドレスで十分なので、いらないけどさ。でも、彼女達にどんどんお金が使われていると思うと、勿体ないと思うのだけど。どうかしら? お父様。

 ブレスチャ家は、領地を持たない貴族で王都の隣街に屋敷を持っていて、そこで暮らしている。
 って、この世界では男爵家と子爵家は領地を持っていないのが普通だ。次男、三男が婚姻した時に頂く事ができる爵位で、もしその者達に娘しか出来なければ、嫁に行き廃爵になるのが一般的らしい。
 夫人は、爵位を継げない仕組みみたいね。

 なので、ブレスチャ子爵家もお父様の代でなくなる予定。
 この世界ではお父様ぐらいの年齢だと子は作らない。
 子連れでも男児がいる相手ならわかるけど、彼女を再婚相手に選ぶのだから、惚れこんだって事よね。
 継母となった彼女は、お父様亡き後はブレスチャ子爵夫人ではなくなる。

 まあ彼女がどうなろうと私は別にどうでもいいけど、そんな彼女が、意味不明の事を口走る。

 「ねえあなた。心配なのよ。だからマリーと同学年にしましょう」

 嫁に行けないと困るわよと継母が言い始めたのは、私が10歳になる年。
 10歳から初等科の貴族の学校に通う事ができる。これは、義務ではないので通わない貴族が多いが、無料なので男爵家と子爵家の子供達は通う事が多い。

 継母が言っているのは、私が11歳、マリーが10歳になった時に一緒に通わせましょうという事。そうすれば学年が一緒になる。4年制で、その後14歳から貴族学園に通うのが一般的。貴族学園は3年制で16歳で卒業して、大抵はその後に結婚する。
 そうなると私は貴族学園に14歳から通えない。
 なのでこの継母の案でいくと、早くても17歳の卒業後に結婚となってしまう。まあ私は、別にいいけどね。結婚する気ないし。

 「ファビアはどうしたい」

 珍しくお父様が私に問う。だから意気揚々にこう答えた。

 「私は、魔法学園に通いたい!」

 ――と。
 その答えには、流石に継母も驚いていた。きっと私は、いつも通り「それでいい」と答えると思っていたと思うからね。
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