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第36話
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「それで何をして怒らせたんだ?」
馬車が走り出した途端、案の定問われた。
うん? 怒らせた? 怒っていた様に見えなかったけど。
「バビット様怒っていたの?」
「あいつじゃない。イルデフォンソ殿下の方だ」
王子をアイツ呼ばわり。まあ誰も聞いていないからいいけど。
というか、王子様より偉そうな態度ね。
酔うからと、私の隣に座って足を組み、横からジッと見つめている。
「二位、三位が令嬢だったのが気に入らないみたよ。ついでにルイス様もね」
「そういう事か。リサさんが張り切っているから仕方がないと思ったけど、やっぱり面倒な事になりそうだよな」
「それって普通クラスでもよかったって事?」
「別にいいだろう。まあアマートの様に最下位クラスでなければ。あの中に居たいか?」
「それは……」
素直に言うと居たくない。それに絶対にやっかみに遭う。王子が三人もいるクラスだと知っていたら手を抜いていたわよ。
「だろう。まあご令嬢一人になってしまうけど、彼女も望んで頑張った結果だろうし。不満はないだろう」
「フロール嬢ね。彼女のお陰で魔法学園の様にお一人様にならなくてすんだわ」
「紅一点がお望みなのかと思ったよ」
レオンス様がニヤッとして言う。本当に意地悪なんだから。
「そんなわけないでしょう。それに王子達を侍らすなんて嫌よ」
「侍らすって……。まあ彼女と二人で行動すれば、何とかなるだろう」
「そのつもりよ」
一人で居たら他のクラスの者達に何をされるかわかったもんじゃないわ。
あ、侯爵令嬢だから私は大丈夫なのかしら? でもフロール嬢一人だけターゲットになってしまうわよね。それも可哀そうよね。
「にしても、面倒な事になったな。魔法を披露しろだなんて」
「もしかして、私も参加させられるのかしら?」
「どうだろうね。侯爵令嬢にさせるかどうか」
普通はないでしょうね。レオンス様も侯爵令息だけど、ベビット殿下からのお願いだからさせられるでしょうけど。
だけど思わぬ話になり、私もする事になってしまった。
「先生、これは……」
次の日、呼ばれてプリントを渡された私は目を丸くする。
「すまないが、昨日急遽決まった」
皆さん、お仕事が早いデスネ。
新入生歓迎会が行われ、そこでレオンス様が魔法のデモンストレーションを行う。
そして、私が返礼としてこれまた魔法を披露するという。その通達の用紙だった。
待って。歓迎会って明々後日ではないの? 魔法を披露する準備って出来るの? 大丈夫?
王子達に見せるだけなら、ちょっとした場所を用意すればいいけど、全校生徒に見せるとなると、大規模になる。
安全も考慮しないといけないし。
予定にない事だったから、今から準備するのでは?
「あの私はいいのですが、ご準備大丈夫でしょうか?」
「まあ、魔法博士がこの学園には居るからね」
そう言えば、属性持ちの爵位を継ぐ令息に教える先生がいるのでしたね。まあそれなら大丈夫かな。
安全を一応考慮したようではある。レオンス様は、光魔法を私は水魔法を披露する事になっていた。
きっと皆は凄いのを期待するのだろうけど、水魔法で何をすれって言うのよ。コップに水でも注ぐ?
私達が習った魔法は、火魔法なら火を出すだけ。つまり、レオンス様は光を発し、私は水を出すだけ。
エンターテインメント向きではないのよね。
そもそも魔物退治や生活を豊かにする為の魔法なのだから。
◇
あっという間に三日経ち、新入生歓迎会が講堂で行われた。
プログラムを知っている全校生徒は、魔法の披露を待ち望んでいる様子。
そうよね。間近で見る事などないものね。
そして、いよいよレオンス様が魔法を披露する為にステージに上がれば、魔法を披露する前に拍手が起こる。
講堂内が暗くなった。暗くと言っても歩けないほどではない。レオンス様が魔法を披露する為に、ちょっと暗くしただけ。
注目する中、レオンス様が右手を頭より上にあげパチンと指を鳴らせば、斜め上ぐらいが光る。でもそれは、すぐに消えた。
今度は左手を斜め上にあげパチンと指を鳴らす。するとまた光る。
芸が細かい事ね。
光魔法は、光の強さを調節できる。
レオンス様がやっている種明かしをすると、手を上げた時点で光らない光魔法は繰り出されており、パチンと鳴らすと同時に明るさを強めただけ。
だけ、と言ったけど、これは学園では習っていないので、きっと学園で練習している時に編み出したんだと思う。
実は、私もやって楽しんでいたし。光は結構面白かったなぁ。
レオンス様のお披露目が終わり軽くお辞儀をすれば、拍手喝采だ。私も拍手を送る。
さて、次は私の番ね!
レオンス様が奥に引っ込むと、進行役の紹介で名を呼ばれステージへ上がった。
真ん中に立ち深々とお辞儀をする。
普通の侯爵令嬢ではしない行為かもしれないけど、魔法博士に用意してもらった床に描かれた魔法陣を一応確認する為に。
あからさまにすると種明かしになるし、発動しないと私もステージもずぶ濡れになっちゃうからね。
って! どうしてこんな魔法陣が設置されているのよ。これじゃ暴風雨になっちゃうわ。
これって、間違ったレベルではないわ。え? じゃこれは嫌がらせ!?
あり得ないんですけど!!
馬車が走り出した途端、案の定問われた。
うん? 怒らせた? 怒っていた様に見えなかったけど。
「バビット様怒っていたの?」
「あいつじゃない。イルデフォンソ殿下の方だ」
王子をアイツ呼ばわり。まあ誰も聞いていないからいいけど。
というか、王子様より偉そうな態度ね。
酔うからと、私の隣に座って足を組み、横からジッと見つめている。
「二位、三位が令嬢だったのが気に入らないみたよ。ついでにルイス様もね」
「そういう事か。リサさんが張り切っているから仕方がないと思ったけど、やっぱり面倒な事になりそうだよな」
「それって普通クラスでもよかったって事?」
「別にいいだろう。まあアマートの様に最下位クラスでなければ。あの中に居たいか?」
「それは……」
素直に言うと居たくない。それに絶対にやっかみに遭う。王子が三人もいるクラスだと知っていたら手を抜いていたわよ。
「だろう。まあご令嬢一人になってしまうけど、彼女も望んで頑張った結果だろうし。不満はないだろう」
「フロール嬢ね。彼女のお陰で魔法学園の様にお一人様にならなくてすんだわ」
「紅一点がお望みなのかと思ったよ」
レオンス様がニヤッとして言う。本当に意地悪なんだから。
「そんなわけないでしょう。それに王子達を侍らすなんて嫌よ」
「侍らすって……。まあ彼女と二人で行動すれば、何とかなるだろう」
「そのつもりよ」
一人で居たら他のクラスの者達に何をされるかわかったもんじゃないわ。
あ、侯爵令嬢だから私は大丈夫なのかしら? でもフロール嬢一人だけターゲットになってしまうわよね。それも可哀そうよね。
「にしても、面倒な事になったな。魔法を披露しろだなんて」
「もしかして、私も参加させられるのかしら?」
「どうだろうね。侯爵令嬢にさせるかどうか」
普通はないでしょうね。レオンス様も侯爵令息だけど、ベビット殿下からのお願いだからさせられるでしょうけど。
だけど思わぬ話になり、私もする事になってしまった。
「先生、これは……」
次の日、呼ばれてプリントを渡された私は目を丸くする。
「すまないが、昨日急遽決まった」
皆さん、お仕事が早いデスネ。
新入生歓迎会が行われ、そこでレオンス様が魔法のデモンストレーションを行う。
そして、私が返礼としてこれまた魔法を披露するという。その通達の用紙だった。
待って。歓迎会って明々後日ではないの? 魔法を披露する準備って出来るの? 大丈夫?
王子達に見せるだけなら、ちょっとした場所を用意すればいいけど、全校生徒に見せるとなると、大規模になる。
安全も考慮しないといけないし。
予定にない事だったから、今から準備するのでは?
「あの私はいいのですが、ご準備大丈夫でしょうか?」
「まあ、魔法博士がこの学園には居るからね」
そう言えば、属性持ちの爵位を継ぐ令息に教える先生がいるのでしたね。まあそれなら大丈夫かな。
安全を一応考慮したようではある。レオンス様は、光魔法を私は水魔法を披露する事になっていた。
きっと皆は凄いのを期待するのだろうけど、水魔法で何をすれって言うのよ。コップに水でも注ぐ?
私達が習った魔法は、火魔法なら火を出すだけ。つまり、レオンス様は光を発し、私は水を出すだけ。
エンターテインメント向きではないのよね。
そもそも魔物退治や生活を豊かにする為の魔法なのだから。
◇
あっという間に三日経ち、新入生歓迎会が講堂で行われた。
プログラムを知っている全校生徒は、魔法の披露を待ち望んでいる様子。
そうよね。間近で見る事などないものね。
そして、いよいよレオンス様が魔法を披露する為にステージに上がれば、魔法を披露する前に拍手が起こる。
講堂内が暗くなった。暗くと言っても歩けないほどではない。レオンス様が魔法を披露する為に、ちょっと暗くしただけ。
注目する中、レオンス様が右手を頭より上にあげパチンと指を鳴らせば、斜め上ぐらいが光る。でもそれは、すぐに消えた。
今度は左手を斜め上にあげパチンと指を鳴らす。するとまた光る。
芸が細かい事ね。
光魔法は、光の強さを調節できる。
レオンス様がやっている種明かしをすると、手を上げた時点で光らない光魔法は繰り出されており、パチンと鳴らすと同時に明るさを強めただけ。
だけ、と言ったけど、これは学園では習っていないので、きっと学園で練習している時に編み出したんだと思う。
実は、私もやって楽しんでいたし。光は結構面白かったなぁ。
レオンス様のお披露目が終わり軽くお辞儀をすれば、拍手喝采だ。私も拍手を送る。
さて、次は私の番ね!
レオンス様が奥に引っ込むと、進行役の紹介で名を呼ばれステージへ上がった。
真ん中に立ち深々とお辞儀をする。
普通の侯爵令嬢ではしない行為かもしれないけど、魔法博士に用意してもらった床に描かれた魔法陣を一応確認する為に。
あからさまにすると種明かしになるし、発動しないと私もステージもずぶ濡れになっちゃうからね。
って! どうしてこんな魔法陣が設置されているのよ。これじゃ暴風雨になっちゃうわ。
これって、間違ったレベルではないわ。え? じゃこれは嫌がらせ!?
あり得ないんですけど!!
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