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第37話
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私が披露する水魔法は、ステージの上に雨を降らせるもの。
床に水が落ちる前に魔法陣で吸収する。降らせた水を処理させる魔法陣だったのよ。
でも魔法陣には、風魔法が組まれていて、水を感知すると風が巻き起こる。
ステージの脇で魔法を使う私も濡れるけど、観客として見ている生徒も、もれなくびしょ濡れよ。
自国の王子だけではなく、他国の王子もいるというに!
生徒達は、何も知らないから私が魔法を暴発させたとか思うかもしれないけど、魔法博士ならすぐわかるわよ。
怪我はしないだろうけど、故意にやったのは明白。学園を首になるでしょうね。
たかが令嬢を貶める為にする行為ではないでしょうに!
仕方がないわね。中止にするわけにもいかないし。
私は予定通り、ステージの脇に立つ。
左手を上に、右手を下に向け、魔法を繰り出す。
ステージ上空に水を発生させ、雨を降らせた。もちろんそれは、暴風雨になどならない。
右手で水を吸収しているからね。
発生させるより吸収する方が難しいのだけど、これは循環させているだけ。水を発生させるよりある水を使う方が簡単なのよね。
まあこれは、学生の時にマスターしていたから楽勝だけど。
って、何? いきなり凄い拍手が。あ……。
魔法に集中していたから気づかなかったけど、レオンス様が光を当てていた。それにより虹がステージに架かっていた。
先生達はもちろん、レオンス様も私が雨を降らせると知っている。もう美味しいところ持っていくんだから。
私達はステージの脇から出て並んで軽くお辞儀をすれば、また拍手が送られた。
「流石だな。器用な事で」
ボソッとレオンス様が呟く。
「もし発動しても、俺達が濡れるだけだ。ちゃんと防ぐ魔法の準備はしていた」
もしかして魔法陣がすり替わっていた事をご存じでしたか!
ちょっと待って。それって光魔法と火魔法では無理なのでは?
やはりね。他の魔法も使えるのね。
学園では一人で練習する。呪文も教科書に載っている。だったらレオンス様も全属性を使える様になっていても不思議ではないわ。
こうして、無事歓迎会は終了するのだった。
◇
静まり返った講堂のステージに忍び込むように、男が上がった。スタスタ歩く彼は、中央に立ち下を向く。
パチン。
男が下を向いた瞬間に私は、指を鳴らす。もちろん、私にもできるのよアピールよ。
「うわぁ!!」
突然巻き起こった暴風雨に男は、両腕で顔を覆い隠した。
私達は、魔法陣を消しに来るだろう犯人を捕らえる為に、ステージに立って待っていたのよ。
けど犯人は、私達に気付かずに魔法陣へと歩み寄った。
「凄いな。本当にバレなかった」
私達の後ろに居たコチラビィ王国のベビット殿下が興奮気味に言えば、ハッとして犯人が私達に振り向く。
そして、私達の存在に気が付き、驚きの表情を向けている。
「どうも、先生。凄いですね。先生が設置した魔法陣は。あぁ、周りがびしょ濡れだ。私では、この方々をお守りするのが精いっぱいで」
何とも嫌味な事を言ってレオンス様が、ベビット殿下達に振り向く。そこには、ベビット殿下だけではなくイルデフォンソ殿下とマルシアール殿下、レオ様が立っていた。
「な! いつの間に」
「いつの間にもなく、ずっとこちらにおりましたよ。私の得意属性は光なのです」
そうレオンス様が言っても、犯人のタシデホア先生はピンと来ていない。いやわかるはずもない。光の屈折を利用して姿を見えなくしていたなど。
ファンタジーなどでよく使われる姿を消す結界? 光魔法が得意なだけあって、色々試したみたいね。
移動しながらは無理のようだけど、自分だけではなく王子達を含む六名も隠しちゃうんだから凄すぎる。
しかもそれだけじゃなく、暴風雨が起きるタイミングでそれを風魔法の結界へと変えた。風圧で、風も水も結界内に入れない魔法。
私がやった事と言えば、水魔法で作った水を魔法陣に落としただけ。指を鳴らしたのは、暴風雨が起こる合図でもあったのよね。
タシデホア先生が、一歩下がると足元からジャリッと聞こえ下を向く。そこには、濡れた土があった。
「魔法陣を土に?」
「いやいや。魔法陣に土で蓋をしただけですよ。だってその魔法陣には、エンドが描かれていない。魔法陣に含まれる魔力がなくなるまで発動を続けるからね」
エンド。言葉の通り魔法の終わりの条件の事。それが組み込まれていないと、描いた時に使った魔力が切れるまで発動し続ける。
つまり、水を一滴でも垂らせば発動し暴風が起き、それは水が無くても発動し続けるという事。
こういう魔法陣は、罠の役目を果たす。まあ魔物がいない今には、必要がない魔法陣でもあるのだけど。
「わ、私は頼まれて魔法陣を消しに来ただけだ」
「誰にですか? おかしいですね。犯人と俺以外、魔法陣が発動したと思ったはずなのですが?」
レオンス様の声のトーンが低くなった。
「消す必要あります? 魔法陣を消すと言う事は、魔法陣が発動しなかったと思ったからですよね?」
魔法陣は、魔力で描くので魔力が抜ければ消滅する。
「タシデホア先生。場所を変えて詳しくお話願いますか?」
レオ様が鋭い視線を送り言えば、悔しそうにタシデホア先生は俯いた。
――◆――◆――◆――
気に入らないからとした行為にしては、たちが悪い。
もし魔法陣が発動すれば、王子達を含む講堂に居た人達はずぶ濡れだ。結構な勢いだったから物が飛んだ可能性もある。
しかも、魔法陣のせいだと証明できなければファビアが責任を取らされたはずだ。
なにせ、魔法博士である先生方の誰も、ファビアが水魔法を使って吸収しているのに気づいていなかった。
能力が高くないと、魔力を感じ取れないという検証にもなったが、到底許せるはずもない。
故意にやったのだから、クビになるだけではなく魔法博士剥奪になるだろう。
床に水が落ちる前に魔法陣で吸収する。降らせた水を処理させる魔法陣だったのよ。
でも魔法陣には、風魔法が組まれていて、水を感知すると風が巻き起こる。
ステージの脇で魔法を使う私も濡れるけど、観客として見ている生徒も、もれなくびしょ濡れよ。
自国の王子だけではなく、他国の王子もいるというに!
生徒達は、何も知らないから私が魔法を暴発させたとか思うかもしれないけど、魔法博士ならすぐわかるわよ。
怪我はしないだろうけど、故意にやったのは明白。学園を首になるでしょうね。
たかが令嬢を貶める為にする行為ではないでしょうに!
仕方がないわね。中止にするわけにもいかないし。
私は予定通り、ステージの脇に立つ。
左手を上に、右手を下に向け、魔法を繰り出す。
ステージ上空に水を発生させ、雨を降らせた。もちろんそれは、暴風雨になどならない。
右手で水を吸収しているからね。
発生させるより吸収する方が難しいのだけど、これは循環させているだけ。水を発生させるよりある水を使う方が簡単なのよね。
まあこれは、学生の時にマスターしていたから楽勝だけど。
って、何? いきなり凄い拍手が。あ……。
魔法に集中していたから気づかなかったけど、レオンス様が光を当てていた。それにより虹がステージに架かっていた。
先生達はもちろん、レオンス様も私が雨を降らせると知っている。もう美味しいところ持っていくんだから。
私達はステージの脇から出て並んで軽くお辞儀をすれば、また拍手が送られた。
「流石だな。器用な事で」
ボソッとレオンス様が呟く。
「もし発動しても、俺達が濡れるだけだ。ちゃんと防ぐ魔法の準備はしていた」
もしかして魔法陣がすり替わっていた事をご存じでしたか!
ちょっと待って。それって光魔法と火魔法では無理なのでは?
やはりね。他の魔法も使えるのね。
学園では一人で練習する。呪文も教科書に載っている。だったらレオンス様も全属性を使える様になっていても不思議ではないわ。
こうして、無事歓迎会は終了するのだった。
◇
静まり返った講堂のステージに忍び込むように、男が上がった。スタスタ歩く彼は、中央に立ち下を向く。
パチン。
男が下を向いた瞬間に私は、指を鳴らす。もちろん、私にもできるのよアピールよ。
「うわぁ!!」
突然巻き起こった暴風雨に男は、両腕で顔を覆い隠した。
私達は、魔法陣を消しに来るだろう犯人を捕らえる為に、ステージに立って待っていたのよ。
けど犯人は、私達に気付かずに魔法陣へと歩み寄った。
「凄いな。本当にバレなかった」
私達の後ろに居たコチラビィ王国のベビット殿下が興奮気味に言えば、ハッとして犯人が私達に振り向く。
そして、私達の存在に気が付き、驚きの表情を向けている。
「どうも、先生。凄いですね。先生が設置した魔法陣は。あぁ、周りがびしょ濡れだ。私では、この方々をお守りするのが精いっぱいで」
何とも嫌味な事を言ってレオンス様が、ベビット殿下達に振り向く。そこには、ベビット殿下だけではなくイルデフォンソ殿下とマルシアール殿下、レオ様が立っていた。
「な! いつの間に」
「いつの間にもなく、ずっとこちらにおりましたよ。私の得意属性は光なのです」
そうレオンス様が言っても、犯人のタシデホア先生はピンと来ていない。いやわかるはずもない。光の屈折を利用して姿を見えなくしていたなど。
ファンタジーなどでよく使われる姿を消す結界? 光魔法が得意なだけあって、色々試したみたいね。
移動しながらは無理のようだけど、自分だけではなく王子達を含む六名も隠しちゃうんだから凄すぎる。
しかもそれだけじゃなく、暴風雨が起きるタイミングでそれを風魔法の結界へと変えた。風圧で、風も水も結界内に入れない魔法。
私がやった事と言えば、水魔法で作った水を魔法陣に落としただけ。指を鳴らしたのは、暴風雨が起こる合図でもあったのよね。
タシデホア先生が、一歩下がると足元からジャリッと聞こえ下を向く。そこには、濡れた土があった。
「魔法陣を土に?」
「いやいや。魔法陣に土で蓋をしただけですよ。だってその魔法陣には、エンドが描かれていない。魔法陣に含まれる魔力がなくなるまで発動を続けるからね」
エンド。言葉の通り魔法の終わりの条件の事。それが組み込まれていないと、描いた時に使った魔力が切れるまで発動し続ける。
つまり、水を一滴でも垂らせば発動し暴風が起き、それは水が無くても発動し続けるという事。
こういう魔法陣は、罠の役目を果たす。まあ魔物がいない今には、必要がない魔法陣でもあるのだけど。
「わ、私は頼まれて魔法陣を消しに来ただけだ」
「誰にですか? おかしいですね。犯人と俺以外、魔法陣が発動したと思ったはずなのですが?」
レオンス様の声のトーンが低くなった。
「消す必要あります? 魔法陣を消すと言う事は、魔法陣が発動しなかったと思ったからですよね?」
魔法陣は、魔力で描くので魔力が抜ければ消滅する。
「タシデホア先生。場所を変えて詳しくお話願いますか?」
レオ様が鋭い視線を送り言えば、悔しそうにタシデホア先生は俯いた。
――◆――◆――◆――
気に入らないからとした行為にしては、たちが悪い。
もし魔法陣が発動すれば、王子達を含む講堂に居た人達はずぶ濡れだ。結構な勢いだったから物が飛んだ可能性もある。
しかも、魔法陣のせいだと証明できなければファビアが責任を取らされたはずだ。
なにせ、魔法博士である先生方の誰も、ファビアが水魔法を使って吸収しているのに気づいていなかった。
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