【完結】ケーキの為にと頑張っていたらこうなりました

すみ 小桜(sumitan)

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第48話

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 「俺の国は魔法が禁止されているんだ」

 私の話からいつの間にか、ベビット殿下の身の上話になってきた。

 「知ってるわ」

 彼の国、コチラビィ王国はその昔、魔法を使いある実験をしていた。動物を強化する実験だ。その結果、魔物を生み出した。
 その魔物は戦争に使うつもりだったらしい。だが結局、魔物を制御しきれず、周りの国を巻き込む大惨事に。

 その当時、一番魔法を扱えた国が我が国シーヨ王国だった。
 ほとんどの魔物は駆除されたが、最終兵器として改良された魔物だけは倒せず、魔法で封印する事になる。
 それは今も、に封印されているとか。

 その後、コチラビィ王国は魔法を一切使わない事を表明。今に至る。

 「そう。なら話は早いね。私が魔法を使うのを許されるのはこの国でだけだ。そうだよね?」
 「まあそうですね。魔法博士である私達もそうです。あくまでも、国内で限った制約です」
 「だからね、私は君が欲しい」
 「え……」

 急にベビット殿下肩を押され、ソファーに押し倒された。
 何、この状況!!

 「あ、あの……」

 抗おうとするも、両肩を押さえつけられて起き上がるどころか、顔しか動かせない。

 「私はこのまま国に帰れば婚約させられる」
 「待って。私には婚約者がいるの」
 「もちろん知っている」
 「だから諦めて……」
 「諦める? だったらこんな事していないよ。ガムン公爵に協力してもらってここに私達はいるんだから」
 「え……」

 なんですと!!
 あぁ。レオンス様に言われていたのに。それなのに気を許してしまった。

 「君にわかる? 権力を使えばほどんどの物が手に入る立場なのに、王族であるが為に一番欲しいものが手に入らない。本当は、最初で最後にと魔法を見に来たんだ」

 私を見て話していたベビット殿下が、私から目を逸らす。

 「でもまさか魔法博士が同じクラスだなんて運命だと思うだろう? ダメかな? 一応彼より権力があるよ。わがままも聞く。だから、ね」

 ね。と言いながらまた私を見た。

 「無理です!! 私は権力が欲しくて、レオンス様と婚約したのではありません」
 「そうなの? 聞いた話だと子爵令嬢だったのに侯爵家の養子になって婚約に至って聞いたけど?」
 「そうだけど……放して下さい。こんなことしても」

 ダメだ。どうする事も出来ない。ベビット殿下の顔が近づいてくる。

 「いやぁ!」
 「泣かないでよ。ここでどうこうする気はないから。ただキスマークぐらいはつけないとね。事がありましたってね」

 それって、レオンス様と婚約破棄させる為? 嘘でしょう。
 私のせいで、リサおばあ様にもご迷惑が掛かってしまう。
 それに、レオンス様以外にキスされるなんて嫌!

 「い……や……」
 「そこまで泣いて拒否されると傷つくな」
 「……無理やり、される私、だって、傷つく、わよ」

 そう言うとベビット殿下の手が緩んだ。

 「……なぜかな。君が欲しいのに嫌われたくない」

 バン!
 大きな音と共に護衛の二人がいる部屋とは反対側のドアが勢いよく開いた。

 「貴様!!!」
 「おっと」

 レオンス様!?
 ドアから入って来たレオンス様は、ベビット殿下に殴りかかった。
 けど驚く事にベビット殿下は、レオンス様の攻撃をかわしお腹に蹴りを入れると距離を取った。

 「っぐ。ファビア、無事か」

 上半身を抱き起こし、私を抱きしめてレオンス様は問う。それに私は、ただただ頷くだけ。
 安堵からか、声が出ない。

 「殿下!」

 護衛の二人も部屋にやってきた。

 「問題ない。二人は手を出すな」
 「やっていい事と悪い事があるだろう。こんな事、許されない!」
 「何でも手に入れて来た君にはわからないだろうね」
 「は? 何でも? そんなわけあるか。そっちこそ、何でも手に入るだろうが!」
 「そう思う? 一番欲しいのは、今君が抱きしめている彼女なんだけど?」
 「諦めろ。ファビアは渡さない!」

 二人は睨み合う。

 「残念だけどそれは無理。僕が魔法を手に入れるのには、彼女と結婚するしかないんだ」
 「ファビアは、連れて行かせない」
 「違うよ。私が彼女のモノになるんだ。彼女が魔法博士でよかったよ。大人として扱われて、今すぐにでも婚姻出来る。私は、来年には国に戻り、候補者の中から婚約者を決め翌年には結婚。このまま帰ればそうなる!」
 「だから? 無理やり事におよび、結婚してこの国に残るって言うのかよ! ガムン公爵に唆されたのか? それともこいつか?」

 こいつってフロール嬢の事? ってなんで彼女も一緒にいるの?

 「いいや。私がガムン公爵に頼んだ。フロール嬢も君が好きのようだから。Win-Winだろうって」
 「彼女フロール嬢の事情を知って、ガムン公爵に持ち掛けたと言うのか!」
 「そう。彼女ファビアと結婚後、彼の下に付くって言う事を条件にね」

 え? どういう事? そんな事をしてガムン公爵に何の利益があるの?

 「どいつもこいつも、邪魔ばっかりしやがって! お前ら潰すぞ!」
 「あら。侯爵家ごときがどうやってかしら? そんなに彼女が大事? だったらせめてアマート様に継がせなさいよ」

 へ? フロール嬢がなぜ、侯爵家ごときなんて言っているの?
 もう意味わかんないよ。

 「それができないのは、お前だってわかってるだろう!」
 「あなたが魔法博士にならなかったら、彼がなっていたのに!」
 「へえ。それは驚いた。どんな未来だよ、それ」
 「仕方がないから今日は引くけど、私は諦めないよ。帰るよ、二人共」

 ベビット殿下は、護衛の二人を引き連れて部屋を出て行く。

 「俺達が出て行ったら、部屋のカギをかけておけ」

 レオンス様が、フロール嬢にカギを投げて渡す。
 そう言えば、二人が入って来たドアの向こうって、生徒会室?
 そっか。ここのカギがないから、そっちから入って来たのね。繋がっていたんだそこ。

 私達も、応接室を後にするのだった。
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