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街が一番賑わう通り、錬金市場。
冒険者ギルド協会があれば、どの町にもある風景らしい。
錬金スキルは、作れないモノはないというほど色んな物が作れる。人々の生活に欠かせない魔道具、魔獣を倒すのに欠かせない武器、身を護る防具、そして冒険に欠かせないアイテム。
それらすべては錬金術によるものだ。とトムさんが言っていた。
錬金市場に来れば、それらすべてが買える。
僕は、武器すらもっていなかったので、この5日程で稼いだお金で買う事にした。
高額商品でなければ露店で十分だとビワードさん達が言うので、連れて来てもらったんだ。
「これなんかどうだ。カバー付きで1,000ハカリ。かなりお買い得だぞ」
ビワードさんが、並べられたナイフの1つを指さし言った。
驚く事にこの5日間程で、2,000ハカリの報酬を貰ったんだ。
宿代の1か月分をギルドとして前払した残りから4人で分けて、この金額なんだから驚きだよね。
僕としては、畑仕事より冒険者の方が楽だ。それで、こんなにたくさんのお金を稼げるのだから、僕としては天職だと思う。
畑仕事は、朝日が昇ったら食事をして畑へ行き、陽が沈むころに家に帰り、真っ暗になる前に寝床に着く。
それに対し冒険者は、クエストを受けて準備を整えたら出発。『マイペース』では魔獣討伐は受けない事にしているらしいので安全だし、畑仕事で得た給金の100、いや200倍以上の報酬を貰う事ができた。
魔獣討伐はしないものの、念のために武器を買う事にした。
採取に使ってもいいし。手でちぎるより楽に採取できる。
「じゃ、それで」
「握ったりしてみなくていいのか?」
「そんな事をしてもわかんなし」
「1,000ハカリね」
武器を売っていたのは、女の子だ。
って、よく見れば獣の様な耳。
つい僕は、あんぐりと見つめてしまった。
「獣人は、初めて見るか?」
「あ、はい」
トムさんの問いに、頷き答える。
田舎から出て来たのが丸わかりだよね、僕。
慌てて使い古した小さな巾着から、魔十銅貨10枚を出して手渡す。
「はい。これおまけ」
「え……」
お金を入れている巾着と同じ大きさの赤茶の巾着をくれた。
「いいの?」
「うん。またごひいきにって事で」
彼女はにっこり微笑んだ。
チラッとビワードさんを見れると、頷いたので貰う事にした。
「ありがとう。大切に使うね」
早速、貰った新しい巾着にお金を移す。
もう破れそうだったんだよね。助かった。
「いいなぁ」
アイリさんが物欲しそうに僕の巾着を見る。
巾着が欲しいのか、その中身が欲しいのか。どっちだろうか。
その後、僕達は冒険者ギルド協会に寄ってクエストを探した。
「ここって草原だよね。ここに行ってみたい」
「いいんじゃないか。ここなら危険は少ないだろう」
「ラシルはどうだ?」
危険は少ないとトムさんが言っているし、反対する理由がないので頷いた。
「では、少し遠出になるけどここにするか」
森の少し奥の草原みたい。そこに明日、4人で行く事になった。
◇
森を歩き開けた場所は、広大な草原だ。
膝まである草が生えていて、風が吹けば波立ち見ていて飽きない。
「すごいわ」
アイリさんが、目を輝かせている。
「今日はピクニックではなく、採取だからな。このヤマネコじゃらしを採取する。似たような草はないから間違うこともないだろう」
ビワードさんが、ヤマネコじゃらしを手にして見せてくれた。
「邪霧も薄いので、各自草原で自由に採取する事。ただし、森に入ると邪霧が少し濃くなるので入らない事」
「ビワードの話を聞いていると、スキル隊になる前の教官を思い出すよ」
「アイリに言ったんだ」
「はいはい。じゃ俺が彼女の傍で監視するよ」
「べ、別にそこまでしなくてもいい」
「ふーん。じゃ始めようぜ。アイリ、行こう」
「はーい」
嬉しそうにアイリさんは返事を返し、トムさんと一緒に草原の奥へと進む。それをビワードさんが難しい顔つきで見つめている。
「はあ……あ、いつもの事だから気にしなくていいよ」
「はい。じゃ、僕も採取します」
ビワードさんは、ため息をついた後に僕と目があって、二かッと笑って言った。
トムさんは、アイリさんがいないところでは、彼女は面倒なやつと言うような事を言っていたから彼女の事を嫌いなのかと思っていた。
さてと、僕も買ったナイフを早速使って、採取をしよう。
ナイフを取り出し、ビワードさんから借りた袋にヤマネコじゃらしを採取して入れて行く。
少し腰に来るけど、畑仕事に比べたらなんて事もない作業だ。
「何やってるんだ!」
1時間ぐらい経った頃に、ビワードさんの怒鳴り声が聞こえた。怒鳴ってるところなんて、今まで見た事がないのに。一体何があったんだ?
声がした方に走って行けば、森に少し入った所に3人は居た。
トムさんの頬が赤い。ビワードさんが殴ったの?
「俺達は大人なんだ! 過干渉なんだよ」
「彼女は、預かった大事なお嬢様なんだ」
「へえ? そうなのか? その割には、こんな所に連れ出しているじゃないか」
「それは、冒険者として……アイリ、君はもう実家に戻る気はないのか?」
「私は……トムと一緒にいる! 家になんて帰らない!」
「わかっているのか? 本来はもっと危険なんだ」
「ギルドを抜ける! アイリ、行くぞ」
「な。ちょっと待てよ」
トムさんは、ビワードさんにヤマネコじゃらしが入った袋を投げつけると、アイリさんの手を引き森の中へ進んでいく。
一体何が起きたんだ?
冒険者ギルド協会があれば、どの町にもある風景らしい。
錬金スキルは、作れないモノはないというほど色んな物が作れる。人々の生活に欠かせない魔道具、魔獣を倒すのに欠かせない武器、身を護る防具、そして冒険に欠かせないアイテム。
それらすべては錬金術によるものだ。とトムさんが言っていた。
錬金市場に来れば、それらすべてが買える。
僕は、武器すらもっていなかったので、この5日程で稼いだお金で買う事にした。
高額商品でなければ露店で十分だとビワードさん達が言うので、連れて来てもらったんだ。
「これなんかどうだ。カバー付きで1,000ハカリ。かなりお買い得だぞ」
ビワードさんが、並べられたナイフの1つを指さし言った。
驚く事にこの5日間程で、2,000ハカリの報酬を貰ったんだ。
宿代の1か月分をギルドとして前払した残りから4人で分けて、この金額なんだから驚きだよね。
僕としては、畑仕事より冒険者の方が楽だ。それで、こんなにたくさんのお金を稼げるのだから、僕としては天職だと思う。
畑仕事は、朝日が昇ったら食事をして畑へ行き、陽が沈むころに家に帰り、真っ暗になる前に寝床に着く。
それに対し冒険者は、クエストを受けて準備を整えたら出発。『マイペース』では魔獣討伐は受けない事にしているらしいので安全だし、畑仕事で得た給金の100、いや200倍以上の報酬を貰う事ができた。
魔獣討伐はしないものの、念のために武器を買う事にした。
採取に使ってもいいし。手でちぎるより楽に採取できる。
「じゃ、それで」
「握ったりしてみなくていいのか?」
「そんな事をしてもわかんなし」
「1,000ハカリね」
武器を売っていたのは、女の子だ。
って、よく見れば獣の様な耳。
つい僕は、あんぐりと見つめてしまった。
「獣人は、初めて見るか?」
「あ、はい」
トムさんの問いに、頷き答える。
田舎から出て来たのが丸わかりだよね、僕。
慌てて使い古した小さな巾着から、魔十銅貨10枚を出して手渡す。
「はい。これおまけ」
「え……」
お金を入れている巾着と同じ大きさの赤茶の巾着をくれた。
「いいの?」
「うん。またごひいきにって事で」
彼女はにっこり微笑んだ。
チラッとビワードさんを見れると、頷いたので貰う事にした。
「ありがとう。大切に使うね」
早速、貰った新しい巾着にお金を移す。
もう破れそうだったんだよね。助かった。
「いいなぁ」
アイリさんが物欲しそうに僕の巾着を見る。
巾着が欲しいのか、その中身が欲しいのか。どっちだろうか。
その後、僕達は冒険者ギルド協会に寄ってクエストを探した。
「ここって草原だよね。ここに行ってみたい」
「いいんじゃないか。ここなら危険は少ないだろう」
「ラシルはどうだ?」
危険は少ないとトムさんが言っているし、反対する理由がないので頷いた。
「では、少し遠出になるけどここにするか」
森の少し奥の草原みたい。そこに明日、4人で行く事になった。
◇
森を歩き開けた場所は、広大な草原だ。
膝まである草が生えていて、風が吹けば波立ち見ていて飽きない。
「すごいわ」
アイリさんが、目を輝かせている。
「今日はピクニックではなく、採取だからな。このヤマネコじゃらしを採取する。似たような草はないから間違うこともないだろう」
ビワードさんが、ヤマネコじゃらしを手にして見せてくれた。
「邪霧も薄いので、各自草原で自由に採取する事。ただし、森に入ると邪霧が少し濃くなるので入らない事」
「ビワードの話を聞いていると、スキル隊になる前の教官を思い出すよ」
「アイリに言ったんだ」
「はいはい。じゃ俺が彼女の傍で監視するよ」
「べ、別にそこまでしなくてもいい」
「ふーん。じゃ始めようぜ。アイリ、行こう」
「はーい」
嬉しそうにアイリさんは返事を返し、トムさんと一緒に草原の奥へと進む。それをビワードさんが難しい顔つきで見つめている。
「はあ……あ、いつもの事だから気にしなくていいよ」
「はい。じゃ、僕も採取します」
ビワードさんは、ため息をついた後に僕と目があって、二かッと笑って言った。
トムさんは、アイリさんがいないところでは、彼女は面倒なやつと言うような事を言っていたから彼女の事を嫌いなのかと思っていた。
さてと、僕も買ったナイフを早速使って、採取をしよう。
ナイフを取り出し、ビワードさんから借りた袋にヤマネコじゃらしを採取して入れて行く。
少し腰に来るけど、畑仕事に比べたらなんて事もない作業だ。
「何やってるんだ!」
1時間ぐらい経った頃に、ビワードさんの怒鳴り声が聞こえた。怒鳴ってるところなんて、今まで見た事がないのに。一体何があったんだ?
声がした方に走って行けば、森に少し入った所に3人は居た。
トムさんの頬が赤い。ビワードさんが殴ったの?
「俺達は大人なんだ! 過干渉なんだよ」
「彼女は、預かった大事なお嬢様なんだ」
「へえ? そうなのか? その割には、こんな所に連れ出しているじゃないか」
「それは、冒険者として……アイリ、君はもう実家に戻る気はないのか?」
「私は……トムと一緒にいる! 家になんて帰らない!」
「わかっているのか? 本来はもっと危険なんだ」
「ギルドを抜ける! アイリ、行くぞ」
「な。ちょっと待てよ」
トムさんは、ビワードさんにヤマネコじゃらしが入った袋を投げつけると、アイリさんの手を引き森の中へ進んでいく。
一体何が起きたんだ?
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