成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

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 「二人共酷い。そういう話は私の前でしないでって言ったのに」
 「あ、ごめん。彼に説明するのに……」
 「大丈夫だって。俺達は、君を捨てたりしないから」

 トムさんの言葉に頷いて、アイリさんが安心した様子をみせた。
 そっかシルバーの中に一人ブラックだもんね。不安になるよね。それは僕もわかる。一人だけシルバーだって、村の子供達に言われてたから。

 あの時は、チョーカーの色の意味なんて知らなくて、何でって思っていた。
 出来損ないだからシルバーなんだって、陰口を叩かれていたし、スキルを買いにこなければ知れなかった事だ。

 そう言えば、お父さん達にどうやって連絡を取ればいいんだろう。きっと戻るのも大変だよね。

 「ねえ、両親に連絡取りたいんだけど、何か方法知らない」
 「突然だな。村に居るんだろう? だったら無理だろうな」

 僕が聞くと、トムさんにあっさり無理と言われてしまった。

 「俺もそう思う。こう言ったらあれだけど、君の所の経営者もズル賢いみたいだから、手紙を受け取ったとしても両親に渡すかどうか」
 「どうして!?」

 ビワードさんの言葉に僕は驚いて聞いた。

 「君の両親は、シルバーの意味を理解していなかったと思われる。けど経営者は違う。自分自身がシルバーだからね」
 「そういえば、そうだったね」

 僕が会ったのなんて、鑑定の時だけだ。
 チョーカーの色なんて覚えてないし、気にしていなかった。
 あの時両親は、これで国民になれたと喜んでいただけだ。
 農業系のスキルを買いに行こうとした時に、僕がスキル持ちだからスキルを買いに行かなくても大丈夫と言ったのは、経営者の人だったと聞いた。

 「シルバーの事が手紙に書かれていたら、今まで隠していた事がバレてしまう。畑の管理は経営者の仕事だ。きっと君のスキルを何かに利用していたに違いない」
 「利用って言われてもなぁ」
 「そちらに戻りませんって言うだけなら、連絡した所で意味ないだろう」

 トムさんって結構冷たい。
 けどビワードさんが言うように、手紙を書いても届かないならお金を稼いだ後に、会いに行くのがいいかもしれない。



 「なあ、このクエストならアイリもできると思うんだけど」
 「仕方ないだろう。生粋のお嬢様なんだから。背負って帰る事になるだけだろう」

 トムさんの返しに僕は驚いた。
 アイリさんってお嬢様だったの?

 「あ、そうだな。今日で仮入会終了だから話してもいいか」

 ビワードさんと目が合って、僕が会話を聞いていた事に気が付いた。

 「俺とアイリは幼馴染なんだ。と言っても、アイリは経営者の子で、俺は雇われた両親の子だけどな」
 「え? 経営者だけどスキルなしで、ビワードさんがスキルありだったって事?」
 「俺は珍しいけど、経営者の子供がシルバーになる確率は2分の1。つまりブラックの子供が生まれる確率も2分の1だ」

 確かにそうだけど。
 僕は、経営者の子共と遊んだ事なんてないけど。

 「幼馴染と言っても、アイリの父親が俺の両親を数か月に一度、俺のいる所に連れて来て会わせてくれていたんだ。その時、アイリがついて来ていた。たぶん、俺と結婚させる気だったんだろうな」
 「どちらかがシルバーでもシルバーが生まれる確率は上がるからな」
 「それは、11歳までつづいた」

 うん? 15歳ではなく11歳?

 「なんで11歳って顔をしてるね。アイリに弟が生まれていて、スキル鑑定の結果、スキルを持っていたからだ。アイリの事より息子の事が大事になったんだろうな。それからは手紙だけのやり取りになった」

 それでも手紙で連絡し合っていたんだ。

 「まあ色々あって、俺は2年前に冒険者になった。その後、アイリから自分も冒険者になりたいという手紙が届いたんだ」
 「自分が継げないと知ったからだろう。つまり経営者になれないって。弟が戻って来て、それがわかった。俺は彼女の所へ行くのを反対したんだけどね。父親は彼女に切れて、彼女は勘当された。というか、押し付けられた」
 「わかってる。だから彼女の我が儘に付き合ってられないんだ」
 「本当にお人好しだよな、お前は。拒否して置いて来る事も出来たのに」
 「そういう君だって……。まあそういうわけで、たぶん君より何も出来ないと思うが、やってもらわないと困る。テリトリーがあれば、まだ安全だからな」
 「しばらくは、背負って帰る日々か……」
 「時間に余裕があれば、休み休みでも問題ないだろう」

 なんでついて来ないか判明はしたけど、大丈夫なのかな?
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