成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

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 「今日から一緒にクエストをするメンバーだ」
 「ミードだ。宜しく」
 「はい。ラシルです。宜しくお願いします」

 やっと念願のギルドメンバーが入った。
 今日は、Eランクのクエストだけど、魔獣討伐と採取を同時だ。前に採取した事がある三日月の実。

 「では、行こう」
 「あの、もう1人の人は?」

 ミードさんがアイリさんの事を尋ねると、トムが僕をチラッと見た。余計な事を言うなって事だろうか。

 「ケガをしたので、しばらくクエストには参加できない」
 「へえ。そうなんですね」

 ミードさんが、濃い緑色の瞳を細めてなぜか僕を睨んで来た。
 まさか、僕のせいだと思ってる? トムはそんな事は言ってないじゃないか。

 戦えないからって素直に言えば僕は睨まれる事ないんだけど、まあ彼女の事がきっかけで、前のギルドを抜けたんだし言いづらいのかな。
 でもフォローはして欲しいよ。

 「たしかミードは、風スキルで攻撃だったよな」
 「はい。だいぶ当たるようになりました」

 当たるように?
 タイルさんやメーンさんは、普通に当てていたけど大変なものなのかな?
 いや動く的だから大変か。

 「あの、風って一番使いやすいスキルなんですか? 前のギルドでも扱っている人がいて……」

 ギロリっとミードさんに睨まれた。

 「まあまあ」

 ポンとトムが、彼の肩に手を乗せる。

 「1番外しても害がないスキルだ。水や火だと外したら、そこに攻撃を当てるだけなく、燃やしてしまったり水浸しにしてしまうからな。けど風なら切るだけだ。どちらにしても、外せばそこは傷つく。少し酷くなるだけだからな」

 なるほど。言われればそうかもしれない。

 「シルバーのくせに、何も知らないのかよ。それとも嫌味か」

 ボソッと、ミードさんの呟いた言葉が耳に届いた。
 ミードさんが睨んで来たのは、僕が彼をバカにしたと勘違いしたからか。
 あまりミードさんの前では、質問をしないほうがいいかもしれない。
 疑問に思った事は、後でトムに聞こう。



 「ミード。来た。いくぞ」
 「はい」

 もう少しで採取の場所という所で魔獣と遭遇した。
 魔獣は2体で、2人が魔獣に手を突き出す。

 「ダブルアタック」
 「風の刃」
 「あっ」

 タイルさんやメーンさんの時より近いのに、ミードさんが放った風の刃が逸れた。
 やっぱり攻撃って難しいんだ。

 「大丈夫だ。ここら辺の魔獣ならまだナイフで何とかなる」

 魔獣は、僕達を目指し一直線で向かって来る。
 トムが一歩前に出た。僕が持っているより大きなナイフで、魔獣をかわしながら切りつけた。
 体をひねり器用に魔獣を避けている。

 魔獣が倒され霧の様に姿を消し、魔石がポトンと地面に落ちた。

 「魔石をチェック」

 トムの足元と、少し先で魔石が光る。
 そうだ。取りに行かなくちゃ。僕の仕事だ。
 トムの足元の魔石を拾い、魔石用巾着に入れる。
 魔石は、邪霧がしみ込んでいるので森の中では、専用の袋に入れるらしい。
 トムから預かった。

 「向こうも取りに行っても?」
 「ああ。行こう」

 あまり離れる事ができないので、トムに聞くと頷いた。
 チェックのスキルで光らせたものは、5分程で光は消えてしまう。消える前に見つけないと、もう一度スキルを使ってもらう事になるから、小走りになる。

 もう1つの魔石を拾い、袋へと入れた。
 よかった。消える前に拾えた。

 「ちょうど採取場所だ。ラシルは俺達の間に居てくれ」
 「はい」

 こうして、採取して移動していく。
 魔獣は3体なので、出合わなければ探す事になるけど、まずは採取優先だ。
 魔獣は、Eランククエストの場合、見つからない事もあるらしい。
 それは、Dランク以上のクエストの際に出合ったら倒してしまうからだと言う。

 「よし、一旦休憩にしよう」

 トムはそう言うと、近場の大きな岩に腰かけた。
 その岩に、ミードさんも腰かける。
 詰めれば座れそうだけど、僕は木にもたれかかって地べたに座った。

 はぁ。何だかミードさんには最初から嫌われているみたいだ。
 僕には知り合いがいないから、噂を耳にした事がないけど、トムの言う通りみたい。

 「ラシル。隣いいか」
 「あ、どうぞ」

 トムは、すとんと僕の隣に座った。

 「やりづらいとは思うけど、一緒にやっていれば噂と違うとわかってくれるはずだ。それまでは、クエスト後は別々に報酬を渡すよ。クエスト後も一緒に食事とか嫌だろう」
 「ありがとう。僕って、そんなに嫌われているんだね」
 「まあ、シルバーだからな。妬みだよ。靴さえ買えば、近くに来た魔獣はキックで倒せるから。まあ、そんな場面があったらヤバいのだけどな」

 確かに。普通は、近づく前にスキルで倒す。
 トムは、それなりの装備だけど、ミードさんは僕とさほど変わらない。靴は、錬金術で作った装備品だと思う。
 僕だけ、靴がよれよれなんだよね。



 「これが今回の分、5,200ハカリだ」
 「ありがとう」

 採取を終えて、最後の1体を探して歩いたけど見つからず、魔獣は2体だけとなった。
 魔獣討伐は、討伐依頼数に達していなくても、1体でも倒していれば成功とカウントされる。だから依頼数はあくまでも目安らしい。
 ただし、倒したら必ず魔石を回収する事がルール。
 また、依頼数に達せば、報酬額の一割が上乗せされる。
 3体だと30,000ハカリだったから3,000ハカリ上乗せになるはずだった。

 採取も一緒にしたけど今回は魔獣が2体だし、1人増えたからその分報酬が減った。
 だからいつもより報酬が少ない。

 「もう1体魔獣を倒せていたらもう少し多かったのだが、今日はいなかった」
 「うん。仕方ないよね」
 「彼の命中率がもう少し上がらないと、Dランクはきついだろう。大変だろうけど、明日も頼むわ。じゃな」

 僕が借りている部屋からトムが出て行った。
 このままだと、靴が買えない。防具の中で一番安いのが靴だ。けど安価でも、150,000ハカリだった。
 
 稀に僕が買ったナイフの様に安いのが売っている事がある。
 初めて作った装備品だと格安だと言う。

 靴が防具の中で一番安いのは、劣化が激しいとか。モノによっては、一年もたないと聞いた。
 だったら僕的には、靴以外の防具が先に欲しいところだけど、ミードさんも靴から先に買ってるみたいだから、そうした方がいいんだろうなぁ。
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