成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

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 それから2日、同じようにクエストを受け、今日は休息日。
 僕は、錬金市場に出かける事にした。
 錬金市場は見て回るだけでも楽しい。
 掘り出し物がないかなぁ。

 そう言えばトムに武器の事を聞いたところ、防具よりは安いらしい。ほとんどの者はスキルで攻撃するからで、ナイフは武器というより採取などに使う道具扱いだから、それほどでもないという。
 けど、1,000ハカリはかなり格安だった。
 初心者が初めて作った作品だろうと、トムが言っていた。

 一番高いのは、防具と言っていたとおり、よく見れば服やズボンが高い。金貨表示のモノがザラだ。
 値段は、1,000,000未満だとハカリ表示だけど、それ以上だと金貨表示。
 でも高い意味はわかる。魔獣に引っかかれてケガするよりは、破れない服を着ている方がいいって事だ。

 はぁ。足が痛い。もう靴が限界みたいなんだよね。
 森の中を歩くと靴がクタクタになるのが早い。まあ、冒険者になる前からずっと、履いていたからかもしれないけど。

 錬金市場でも分割払いが可能なところがあるらしいから、靴を見て回っているんだけど、どれもやはり150,000ハカリ以上はする。

 うん? えー!! 凄い格安の靴を発見!
 100,000ハカリだって。
 チラッと見て、みんな素通りしていく。あんなに安いのに。
 でも安いけど、買えない……。
 分割できるか聞いてみよう。

 「あの、すみません」
 「はい! いらっしゃい」
 「えーと、ここって分割できますか?」
 「すまないね。現金のみなんだ」
 「そうですか……」

 僕ががっかりすると、驚く事を言って来た。

 「これなら安く出来るよ」

 それは、一番安い100,000ハカリのロングブーツだ。
 大抵のロングブーツは、紐が付いていてキュッと絞めるタイプだけど、これは長靴タイプ。

 「ほ、本当ですか? 一番安いのに更に安くしてくれるのですか?」
 「君は、冒険者になりたてだろう。靴も錬金靴ではない。その靴で、森の中を歩くのはもう限界じゃないかい」

 僕は、そうだとこくこくと頷く。

 「実はね、初めて私が作ったロングブーツなんだ。だからこれなら値引きできる。予算はいくらだい」
 「80,000ハカリです……」

 小さな声で言えば、お店の人がにっこりとして頷いた。

 「だったらその値で売ろう」
 「いいんですか!」

 僕が驚いて言えば、お店の人が頷く。

 「もしかしたら売れないかもしれないからね」
 「え? なぜ?」
 「シンプルだろう。ひも付きが売れ筋なのだけど、まだ私では作れなくてね。それに素人だと丸わかりだ」
 「素人? 錬金術で作ったんですよね?」
 「あぁ。Eランクになってからやっと、売れるだけの耐久度がついてね。Eランクは、装備品作り手としては、素人と言われるんだ」
 「へえ。でも、僕も冒険者の素人初心者だから、有難いです」

 親切な人でよかったと、80,000ハカリを支払う。
 懐は、一気に寒くなった。

 ここで履いていいというので、椅子を借りて履き替える事にする。
 僕が知っている長靴とはどこか違って、かっこいい。
 靴を履こうすると、靴の内側に『E799801』と書いてある。

 「あの、Eの後に数字が書いてあるのですが、これはなんですか?」

 履き替えながら僕が聞くと、少し照れて店の人が答えてくれた。

 「これは私のライセンスナンバーです。Eランクになったので、番号がFからEになったんですよ」
 「ライ……」

 また知らない言葉が出て来たよ。
 ランクって確か、魔法陣スキルが5レベルになるとEランクのスキルを買って、追加してランクアップできるやつだよね。

 「あ、アルケース、こちらの方がわかりやすかもしれません」
 「アル……?」
 「知りませんか? そうですね。スキルを取得した時に得るのが、ライセンスナンバーなんです。アルケースは、自分で付けられる名前ですね。作り手が誰かわかるようになってるって事です」
 「そうなんだ。教えてくれたありがとう」

 錬金の仕事も大変そうだな。面白そうでもあるけど。

 「その靴はどうしますか? いらないのならこちらで処分しますが」
 「いえ。持って帰ります」

 靴をつい無意識に、テリトリーにしまう。

 「え!」

 その様子を見たお店の人が驚いた顔をしている。
 しまった。知られない様にした方がいいんだった。

 「あなたの固有スキルは、収納系なのですか?」
 「えーと」

 収納できるのは、どちらかというとおまけの能力なんだけど。

 「あ、失礼しました。検索はよくないですよね。でもそれで冒険者とは……。あの、厚かましいようですが、冒険者は危険です。錬金術師になってはいかがでしょうか」
 「え?」

 お店の人は、20代前半に見えるシルバーの人だ。もしかしたら、冒険者の経験を持つのかもしれない。

 「私もね、直接攻撃スキルではなかったんです。なので、スキル隊予備団を蹴って、錬金術師になる道を選んだ。攻撃スキルを取得しても、スキル隊も冒険者も大変でしょう。って、余計なお世話でしたね」
 「そうですよね。考えてみます。ありがとうございます」

 僕はお礼を言って、その場を離れた。
 錬金スキルを使って仕事をしている人の事を錬金術師と言うのかぁ。

 攻撃スキルを覚えた後に、錬金スキルを覚えようかななんてちょっと思っていたけど、ちゃんと調べた方がいいかもね。
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