終活を異世界で~モフモフする為に旅立ったのに世界を救う事になりそうです

すみ 小桜(sumitan)

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第六話

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 どれどれ。シールド展開、魔力回復、モンスターアラート付きなどなど一つの効果から二つ以上効果がついたものまで、これまた色々あった。
 モンスターアラート付きは必須でと。攻撃を受けても大丈夫の様にシールド展開があってもいいかな? あ、浮遊できるのもある。数分だけど逃げるだけなら役に立つかな。魔力回復はいらないかな。僕に魔法は使えない。きっと……。
 あ、クリーン機能つきのもある。水を掛ければいいらしい。雨でキレイになるって書いてある。もちろん防水。

 「これに決めた!」
 「やっと決まったのね」

 足元で待っていたツティーちゃんがため息をつく。ごめん、つい選ぶのが楽しくて時間が経つのも忘れていた。たぶん一時間は悩んでいたのではないだろうか。

 「お待たせ」

 僕が選んだのは、モンスターアラートとクリーン機能がついた、シールド展開ができて高いところから落下いや降りたとしてもゆっくりと降りる優れもの。
 袖が付いているタイプで、色は淡いグリーン。フードと袖も含め外套の縁に蔦の様な模様が描かれている。持ってみると思ったより軽く、生地もしっかりしていて破けにくそう。前空きで、胸辺りでボタンで留めるタイプ。
 膝までの長さで、Aライン型で裾が広がっている。これなら鞄の上にこの外套を着れられると思う。

 「それ大人用みたいだけど大丈夫?」
 「小さいなら問題あるけど、大きいなら着れる」
 「なるほど。気に入ったのね」

 うん。気に入った。膝までタイプだけど、僕が着ればくるぶしまであるかも。まあ引きずらないからいいだろう。

 「これ下さい」

 僕が選んだ外套を持って行くと、店員さんはにっこり笑顔だ。

 「これは、少しいえかなり大きいと思います。袖は折らないで着た方がよろしいので、袖バンドなど一緒にいかがですか?」
 「袖バンド?」

 店員さんが頷く。

 「袖を抑えるバンドです。袖をまくる時に使用するものですが、それを手首つけてはいかがでしょう。普通のから色んな効果がついたものまで取り揃えております」
 「あら、商魂たくましいわね。あえて、大人用に連れて行ったようね……」

 僕の足元で、これまたツティーちゃんがため息をついた。
 どうせだから買おうかな。何か効果がついたやつ。

 これまた色んなタイプがあった。
 遠くの物を引き寄せるとか、ちょっとの間宙に浮かせられるとか。これは防具じゃなくて、補助的な感じだ。うーん。いらない効果だと言えばそうだけど、遠くの物を引き寄せるって便利そう。ただ魔力が無くなるとその効果は使えないらしいけど。魔石付きだから大丈夫かな。

 「あの、この魔石ってどこで手にはいりますか?」
 「え? あ、はい。もちろん我が店でも取り扱っております。そのバンドにつけられる大きさに加工してありますので、加工費がかかりません」
 「へえ。それって使わずに持っておけるもの?」
 「と、いいますと?」

 電池みたいのかなっと思ったけど。この世界にはないよね。うーん……。

 「一緒に買っておいて、その場で自分で取り換えられるかなって事」
 「もちろんでございます。取り換え方も簡単です。一緒にお求めになりますか?」
 「はい。じゃこのバンドと一緒に買います」
 「やっぱり買うのね」
 「……ツティーちゃんも何か買う?」
 「私には必要ないわ」

 欲しいわけではないのか。
 猫と言えば首輪に鈴ってイメージだけど、それ付けてって言ったら怒りそう。それよりもそんな物がここにないか。

 「靴やグローブはいかがですか?」
 「うーん。グローブはいらないけど……靴もいいや。これでお願いします」

 グローブはめちゃうと、ツティーちゃんを直に触れないからね。

 「では全部で、金貨8枚になります。ちなみにその袋に入っている金貨8枚です」
 「ありがとう」

 僕がわからないだろうと、先回りして教えてくれたよ。
 さっそく、外套を装備もとい着た。その上から袖バンドをする。バンドもエメラルド色にして色を統一したからバンドをしても留めてあるとわかりづらい。

 「お買い上げありがとうございます。ところで両替していきませんか? 本来はしておりませんが、金貨をそのままお出しになると店の方で困ると思いますので。いかかでしょう」
 「え……」

 そうなの? 金貨ってきっと一番高価な単位だよね。一般的な買い物には使わないのかな。

 「ではお願いします」
 「気を付けて。ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
 「うん。ありがとう」

 お礼を言って店を出た。親切な人でよかった。
 金貨一枚は、銀貨九九九枚と銅貨千枚に交換されていて、ずっしりと重い。向こうで用意してくれた布袋に入れて渡してくれた。

 「はぁ……。お金が重い」
 「嬉しい悲鳴じゃない。でも彼のお陰でお金の価値もわかったじゃない。銅貨千枚で銀貨一枚、銀貨千枚で金貨一枚ってね」
 「あ、そうだね!」
 「わざわざ交換してくれたのは、あなたがお金を持っているのにその価値がわかってないからだと思うわよ。いい? 高級店以外では金貨は使わない!」
 「うん。わかった。でももし金貨しかなくなったらどうしたらいい?」
 「その前に働いてみたら? 人間は働いたらお金をくれて、それで買い物をして生活をするものよ」
 「初めて来たのに物知りだね」
 「当たり前よ。この日の為に、色々と覚えたのだから」
 「そ、そうなんだ」

 僕も知っているよ、それぐらい。って言わなくてよかった。
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