終活を異世界で~モフモフする為に旅立ったのに世界を救う事になりそうです

すみ 小桜(sumitan)

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第八話

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 この世界の源アニマ。人間達は魔素と呼んでいて、魔法を使えないが魔素を取り入れた石『魔石』を作り出し、それを原動力にした魔道具を作った。その魔道具を駆使し魔法に似た魔術を使う。直接魔法を使える人間は、勇者と聖女とその子孫だけ。
 そして、この世にはびこるモンスターはアニマを求め彷徨う魔物。アニマを吸収し生息している。まだそれだけならいいが、モンスターはアニマを邪気に変えてしまう。妖精にはそれは毒の様な物で、大量に吸収すると性格が狂暴になる。また、モンスターも邪気により強くなっていく。
 勇者や聖女には、邪気を浄化する能力もあり、妖精達も何度も助けられたという。
 邪気に侵されない為に森に結界を張り、アニマを使って生活するエルフと共に妖精達は森に籠っているのだ。
 邪気が増えれば、それだけ強いモンスターが増える。人間達は、そうなると祈るらしい。助けてほしいと。その願いを聞き入れた神が、お告げと共に勇者や聖女をこの世界に送り込んで来る。
 この世界にはない独特の魔法や感性を持ち、浄化して平穏を取り戻すと残りの人生は、好きな様に謳歌するらしい。





 「それが僕だと、もしかして思っている?」
 「今回は、なぜかエルフの姿だったけどそう思っているわ」
 「………」

 やっぱり。それは、大きな勘違いだ。そもそも僕自体は魔法を授けられていない。もし鞄がなくなれば、何もできない人間と一緒。
 クロバー様は、僕の考えが読めるのに、僕が魔法を使えると思ってツティーちゃんを託したの?

 「あ、あの……ツティーちゃんって何か魔法を使えるの?」
 「使えるわよ。でもモンスターを倒すとかはできないわ」
 「……そうなんだ」

 やばい。これは、人間が使っている魔道具を手にいれなくては生死に関わるかも。

 「一つだけ言っておくね。僕、弱いから」
 「大丈夫よ。何でも勇者ってレベルアップだかするらしくて、強くなっていくらしいわ。サポートは任せて!」
 「……えーと」

 期待に満ちた瞳で僕を見ないで! 任せなさいと言ってしまいそう。

 「が、頑張る」

 ツティーちゃんがかわいく頷く。反対に僕は、小さなため息をついた。
 貰ったお金でしっかりと旅支度しなくてはいけない。
 あ、そういえばどうなった分析。

 〇分析結果『アニマジェム×3/ダークアニマジェム×1/赤いリンゴ×2』

 アニマジェムか。もしかして人間が作った魔石みたいなモノと同じだろうか? でも二種類あるな。ダーク……もしかいて、邪気に染まったやつとか? アイテム自体を確認できるだろうか?

 〇アニマジェム:ドロップしたアニマが結晶化したもの。色んなモノと合成する事ができる。
 〇ダークアニマジェム:ドロップしたアニマが結晶化したもの。ただし、邪気を含んでいる。色んなモノと合成する事ができる。
 〇赤いリンゴ:ドロップした果物。マージ可。

 なるほど。ドロップしたアイテムだったのか。僕が確認する前にディメンションスペースに収納されたのかな? というか、僕が倒した敵というか相手でなくても回収しちゃっているみたいだけどいいの?
 マージってスキルだよね。どんなスキルだろう。

 〇マージLV1/自動オフ
  :収集した同じモノ同士を融合し、新しいモノを作る事ができる。ただしアニマジェムはできない。自動オンにすると、収集したモノでマージ可能なモノを『2段階目まで』マージでき、マージノートに記載される。

 おぉ。これ便利そう。合成とはまた違うみたいだし。よし、オンにしておこう。

 〇マージLV1/自動オン

 これでよしっと。えーと、収集も確認しておこう。他の人のモノを奪ったと言われない為にも。もしかしたら範囲指定とかあるかもしれないし。

 〇収集LV1
  :生命いのちが尽きた時にこの世界にもたらされるドロップしたモノギフト。その生命が保有していたアニマは、アニマジェムになりこの世界に還元される。その他のモノは、神の気まぐれだとされている。ドロップは、通常見えない。マージ、合成、分解、調理を得て実体化する。実体化したモノは、使用可能。アニマジェムは、マージ不可。ドロップしてから『一日以内』を収集可能。

 なんかドロップって凄いモノだった。この世界に住んでいる人さえ知らない事実では! しかもそれを僕(が所有する鞄)が持つスキルで実体化できるなんて。まさに『鞄というアイテムを最大限活かして、尚且つ生きていくのに役に立つ効果』だ。
 これを知ってしまうと、色んな所に行って収集してみたくなる。そして、マージや合成、料理もやってみたくなる!

 「ねぇ、ねぇってば!」
 「へ? あ、ごめん、何?」

 ツティーちゃんが僕に話しかけていた。

 「一体鞄に手を突っ込んで何をしているの? 妖精の雫しか入っていないわよね?」
 「そ、そうだね」

 鞄の中にはね。
 色々わかったし、妖精探し&収集活動(秘密裏に)の為に活動開始しよう。
 うーむ。異世界と言えば……冒険者かな? たぶん。

 「ねえ、人間達の職業とかに冒険者なんてある?」
 「あら、よくその単語知っていたわね!」

 凄く驚かれてしまった。普通知らない単語なのだろうか。

 「人間は、ギルドというフリージョブ制なの。で、最初の勇者が所属していた討伐ギルドや採取ギルドなどに所属している者達を総称して冒険者って呼ぶそうよ」

 どや顔で説明を受けた。
 たぶん勇者が冒険者と名乗ったのだろうな。

 「僕も冒険者になろうと思うけど、どう思う?」
 「これまた唐突ね。そうね、勇者なのだから問題ないと思うわ」

 いや勇者ではないけどね。
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