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少しこの国の貴族の事に触れると、公爵家、侯爵家、辺境伯で区間分けして領土を管轄している。その領土を伯爵家以下の貴族が治めていて、決められた額を管轄している貴族に納めていた。
2家の公爵、3家の侯爵、そして5家の辺境伯の10の管轄領土のうち、グルーン家の領土はツッピェ侯爵家管轄でラドリフーン辺境伯の管轄領土に面した山だった。
その為、グルーン家の屋敷はツッピェ管轄領土の都市に建っていた。
私が助かったのは、都市部にいたから。まあそのせいで、流行り病に罹ったのだけどね。
もちろんその管轄領土の都市は、そこを管轄している貴族になるので、ツッピェ侯爵が治めている。
お母様は、一般的な12歳から学園に通い卒業後、おじい様の手伝いをしていた。
3日かけてグルーン領の山の視察に行って、どうにか活用するいい案がないか考えたりしたそうです。
いい案が浮かばなかったそうで、結局はツッピェ侯爵が運営している商会で働いていた。それでも、山に異常がないか年に数度、見に行かなくてはならなかったみたいだけど。
そんなグルーン家に婿に来たいという貴族が中々見つからなかったお母様は、学園卒業後数年間独身でいた為、ツッピェ侯爵の紹介でお父様と結婚した。
お父様のご実家はもうない。
赤字が続いたお父様の実家は、ツッピェ侯爵の提案によりお母様との結婚で借金を相殺し、領土をツッピェ侯爵に買ってもらっていた。
高位貴族が管轄しているとはいえ、領土自体は運営している貴族の領土。運営が厳しく赤字が続いた場合、管轄している貴族が買い取る事で領土持ちではないが、その貴族は貴族として生きていける。
お父様のご両親はお父様が結婚後、安心したのか相次いで亡くなった。
つまりお父様には、戻る家はないのである。
グルーン家を出ると言う事は、貴族ではなくなるという事。
家名は、血で紡がれていく。
私がいる限り、グルーン伯爵と名乗れても当主にはなれない。そして、もし万が一に私に何かあってもお父様が継げるとも限らない。
一般的には、ツッピェ侯爵が運営を引き継ぐ事になるでしょう。
ただ、お父様には戻る場所がない。なので、今の私の様に仮当主としてお父様が領土運営をする事は可能かもしれない。
かなり可能性は低いとは思うけどね。
当主ではないとはいえ、グルーン伯爵家に婿として来たのなら経営を手伝ってくれてもいいと思うのだけどね。
お母様が亡くなったのは、私が10歳の時で学園に通い出してほどなくしてから。
それからはかなり大変だった。
お母様が手掛けたプロジェクトが進行中で、それを私が受け継いだ。
実は、それを発案したのが私だったから。
そのプロジェクトを行うのには、ツッピェ侯爵とラドリフーン辺境伯の許可もとい協力が必要だった。
その為、何度も協議を行い、ツッピェ侯爵から借入て施行したのが、私が学園に通い出した10歳の時。
私が発案したプロジェクトを成功させようとして無理がたたったのか、倒れてしまった。
5歳で進言した私を賢いと思ったお母様は、自分の経験から私に経営教育を施し……一緒にプロジェクトを叶える為に試行錯誤。
表舞台に私が立つわけにもいかないので、お母様が打ち合わせなどをしていたから、精神的にも大変だったのだと思う。
けど、ツッピェ侯爵は好意的で強力してくれたお陰でスムーズだったのだけど、ラドリフーン辺境伯との打ち合わせはかなり大変だった。物理的にね。
なにせ、山を挟んだ向こう側だったのだから。
プロジェクトの事もあり、グルーン伯爵の当主はいなくなったが一時ツッピェ侯爵預かりでお父様が仮当主となる事はなく、私が学園を卒業後、仮当主となった。
この国では、当主になる条件の一つとして学園を卒業している者となっている。
まずその条件をクリアしてから仮当主になったというわけよ。
お父様としては、その時に仮当主になれると思っていたみたいで、なれなかった事に不満があったのか、お母様が亡くなったばかりだと言うのに、出歩くようになった。
娘としては凄く悲しかったのだけど、気持ちとしてはわからなくもない。
千載一隅のチャンスだと思ったところに、私がいた為に待ったがかかった。の様に見えたのでしょうね。
もし私がいなくても、残念ながらお父様が仮当主となって、ツッピェ侯爵家と共にプロジェクトを進めるなどなかったはずよ。
なぜなら、このプロジェクトにはお父様は一切かかわっていなかったもの。
与えられた商会の仕事をするだけ。元々、領土の仕事などほぼなかったからね。
ただプロジェクトを進めているのは知っていたのだから、一緒に取り組んでいればチャンスはあったとは思うわよ。
チャンスは、待っているだけではなくつかみ取るものよ。
実際お父様は、貴族ではなくなるところをツッピェ侯爵の計らいで、グルーン家の婿になる事により貴族のままでいられた。
この国では、婿に行って当主にならなかったとしても、無能扱にされる事はない。
血を受け継ぐ娘が当主になる事が当たり前なのだから。
逆に、血を継いでいない者が当主になれば、誉れを受ける。それだけ優れた人物となるからよ。
だけどそれは、それだけ努力した者にしか授からない名誉でしょう。
お父様は、それをしていないのだから仮当主すらなれなかったって事よ。
しかも、娘を手助けする気などなかった。
それどころか搾取する事にしたようで、妻を娶りそのままグルーン伯爵として居座ったのだから。
これに関しては、ツッピェ侯爵に相談した。そして、良きに計らってくれたのだ。
二人は婚姻をしているが、メーラ夫人は正確にはグルーン伯爵家の者とはなっていない。
これは、この国の制度を活用したものだ。
この国の貴族は恋愛結婚が出来るので、相手の恋心を利用して乗っ取りを企む者から家名を守る為に、まず当主になるのは血を引き継いだ者と定めている。
その為、配偶者は家名を通常は継げない。
当主が亡くなり子供がいる場合その子供が当主になるが、当主になるまでの間の仮当主になる事は可能だ。
また再婚も可能だが、その相手との子が家名を継ぐ事はない。
もし、血を継ぐ当主になる予定の子が亡くなったとしても。
この再婚に際し、仮当主、または当主が認めないと言えば、籍を抜けないと結婚は出来ない。
また条件を付け再婚する事が可能だ。お父様はこっち。
お父様個人の都合という、前世にはない結婚の仕方。
結婚しているので、お父様の妻と子とは名乗れるけど、グルーン家とは認めていないので、彼女達に経済的に援助する事はない。
だから本来ならタウンハウスだって彼女達は使えないのよ。
娘として、お父様のお願いを聞いてあげただけ。
また彼女達がグルーン家に迷惑を掛けた場合は、お父様と一緒に追い出せる。または離婚させる事も可能。
私としては実父だけど、そうなったらお父様事追い出すでしょう。それがわかっていると言うのに、どうしてこうなったのか。
2家の公爵、3家の侯爵、そして5家の辺境伯の10の管轄領土のうち、グルーン家の領土はツッピェ侯爵家管轄でラドリフーン辺境伯の管轄領土に面した山だった。
その為、グルーン家の屋敷はツッピェ管轄領土の都市に建っていた。
私が助かったのは、都市部にいたから。まあそのせいで、流行り病に罹ったのだけどね。
もちろんその管轄領土の都市は、そこを管轄している貴族になるので、ツッピェ侯爵が治めている。
お母様は、一般的な12歳から学園に通い卒業後、おじい様の手伝いをしていた。
3日かけてグルーン領の山の視察に行って、どうにか活用するいい案がないか考えたりしたそうです。
いい案が浮かばなかったそうで、結局はツッピェ侯爵が運営している商会で働いていた。それでも、山に異常がないか年に数度、見に行かなくてはならなかったみたいだけど。
そんなグルーン家に婿に来たいという貴族が中々見つからなかったお母様は、学園卒業後数年間独身でいた為、ツッピェ侯爵の紹介でお父様と結婚した。
お父様のご実家はもうない。
赤字が続いたお父様の実家は、ツッピェ侯爵の提案によりお母様との結婚で借金を相殺し、領土をツッピェ侯爵に買ってもらっていた。
高位貴族が管轄しているとはいえ、領土自体は運営している貴族の領土。運営が厳しく赤字が続いた場合、管轄している貴族が買い取る事で領土持ちではないが、その貴族は貴族として生きていける。
お父様のご両親はお父様が結婚後、安心したのか相次いで亡くなった。
つまりお父様には、戻る家はないのである。
グルーン家を出ると言う事は、貴族ではなくなるという事。
家名は、血で紡がれていく。
私がいる限り、グルーン伯爵と名乗れても当主にはなれない。そして、もし万が一に私に何かあってもお父様が継げるとも限らない。
一般的には、ツッピェ侯爵が運営を引き継ぐ事になるでしょう。
ただ、お父様には戻る場所がない。なので、今の私の様に仮当主としてお父様が領土運営をする事は可能かもしれない。
かなり可能性は低いとは思うけどね。
当主ではないとはいえ、グルーン伯爵家に婿として来たのなら経営を手伝ってくれてもいいと思うのだけどね。
お母様が亡くなったのは、私が10歳の時で学園に通い出してほどなくしてから。
それからはかなり大変だった。
お母様が手掛けたプロジェクトが進行中で、それを私が受け継いだ。
実は、それを発案したのが私だったから。
そのプロジェクトを行うのには、ツッピェ侯爵とラドリフーン辺境伯の許可もとい協力が必要だった。
その為、何度も協議を行い、ツッピェ侯爵から借入て施行したのが、私が学園に通い出した10歳の時。
私が発案したプロジェクトを成功させようとして無理がたたったのか、倒れてしまった。
5歳で進言した私を賢いと思ったお母様は、自分の経験から私に経営教育を施し……一緒にプロジェクトを叶える為に試行錯誤。
表舞台に私が立つわけにもいかないので、お母様が打ち合わせなどをしていたから、精神的にも大変だったのだと思う。
けど、ツッピェ侯爵は好意的で強力してくれたお陰でスムーズだったのだけど、ラドリフーン辺境伯との打ち合わせはかなり大変だった。物理的にね。
なにせ、山を挟んだ向こう側だったのだから。
プロジェクトの事もあり、グルーン伯爵の当主はいなくなったが一時ツッピェ侯爵預かりでお父様が仮当主となる事はなく、私が学園を卒業後、仮当主となった。
この国では、当主になる条件の一つとして学園を卒業している者となっている。
まずその条件をクリアしてから仮当主になったというわけよ。
お父様としては、その時に仮当主になれると思っていたみたいで、なれなかった事に不満があったのか、お母様が亡くなったばかりだと言うのに、出歩くようになった。
娘としては凄く悲しかったのだけど、気持ちとしてはわからなくもない。
千載一隅のチャンスだと思ったところに、私がいた為に待ったがかかった。の様に見えたのでしょうね。
もし私がいなくても、残念ながらお父様が仮当主となって、ツッピェ侯爵家と共にプロジェクトを進めるなどなかったはずよ。
なぜなら、このプロジェクトにはお父様は一切かかわっていなかったもの。
与えられた商会の仕事をするだけ。元々、領土の仕事などほぼなかったからね。
ただプロジェクトを進めているのは知っていたのだから、一緒に取り組んでいればチャンスはあったとは思うわよ。
チャンスは、待っているだけではなくつかみ取るものよ。
実際お父様は、貴族ではなくなるところをツッピェ侯爵の計らいで、グルーン家の婿になる事により貴族のままでいられた。
この国では、婿に行って当主にならなかったとしても、無能扱にされる事はない。
血を受け継ぐ娘が当主になる事が当たり前なのだから。
逆に、血を継いでいない者が当主になれば、誉れを受ける。それだけ優れた人物となるからよ。
だけどそれは、それだけ努力した者にしか授からない名誉でしょう。
お父様は、それをしていないのだから仮当主すらなれなかったって事よ。
しかも、娘を手助けする気などなかった。
それどころか搾取する事にしたようで、妻を娶りそのままグルーン伯爵として居座ったのだから。
これに関しては、ツッピェ侯爵に相談した。そして、良きに計らってくれたのだ。
二人は婚姻をしているが、メーラ夫人は正確にはグルーン伯爵家の者とはなっていない。
これは、この国の制度を活用したものだ。
この国の貴族は恋愛結婚が出来るので、相手の恋心を利用して乗っ取りを企む者から家名を守る為に、まず当主になるのは血を引き継いだ者と定めている。
その為、配偶者は家名を通常は継げない。
当主が亡くなり子供がいる場合その子供が当主になるが、当主になるまでの間の仮当主になる事は可能だ。
また再婚も可能だが、その相手との子が家名を継ぐ事はない。
もし、血を継ぐ当主になる予定の子が亡くなったとしても。
この再婚に際し、仮当主、または当主が認めないと言えば、籍を抜けないと結婚は出来ない。
また条件を付け再婚する事が可能だ。お父様はこっち。
お父様個人の都合という、前世にはない結婚の仕方。
結婚しているので、お父様の妻と子とは名乗れるけど、グルーン家とは認めていないので、彼女達に経済的に援助する事はない。
だから本来ならタウンハウスだって彼女達は使えないのよ。
娘として、お父様のお願いを聞いてあげただけ。
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