【完結】煙にまかれた記憶

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
21 / 34

細谷の記憶~仲違い

しおりを挟む
「ねえ、めぐむ。私と付き合わない?」

 それは、細谷ほそたにが中三になった春の事だった。同じクラスの畑山はたけやま明香里あかりから告白を受けた。
 細谷は、双子の片割れめぐみと区別がつくように、少し髪を伸ばしていた。その為、柔らかい印象があり女子とも仲がよかった。一方恵の方は、違うクラスで男子の友達とつるんでいる事が多く、二人は顔は同じだが対照的だった。

 細谷は、舞い上がっていた。彼女が出来た事が嬉しかった。恵と差がついたと喜んだのだ。
 二人はよく比べられる。双子のサガだ。仕方がないが、やはり相手より自分が上でありたいと思っていた。
 成績も二人共競い合っていたせいか、二人共トップだった。

 これみよがしに、彼女をちょくちょく家に連れて来ていた。
 二人の部屋は同じ部屋で、八畳の部屋に二段ベットと勉強机が二つ。そこに連れ込んでいた。

 「ねえ、キスしてみない?」

 「え?」

 振り向けば、畑山の顔が近くにあった。特段好きな子でもないが、興味はある。細谷はそのまま受け入れた。

 がちゃ。
 そこに運悪く、恵が帰って来た!

 「おま……」

 「あ……」

 「あ、じゃねぇ!」

 「わ、私帰るね!」

 畑山は顔を赤く染め、玄関へダッシュしていく! それを恵は睨み付けた。そして、部屋の扉を思いっきり閉める。

 「あれ? 今日、生徒会じゃなかったの?」

 気まずいながらも細谷は聞いた。
 恵は、生徒会の書記だった。

 「ここは俺の部屋でもあるんだから! それに俺達、まだ中学生だろう!」

 「うん。まあ……」

 「いいか。俺達双子なんだからお前が何かすれば、俺にも響くんだ!」

 そう恵にどなられ、細谷は小さくなってごめんと謝った。


 ○ ○


 次の日の放課後、細谷は畑山と二人で教室にいた。畑山が日誌を書いていたのだ。

 「昨日は、ごめんね」

 「うん。ねえ、昨日の続きしない?」

 「え?!」

 日誌をぱたんと閉めると、畑山は驚く事を言った。流石に細谷は躊躇する。

 「いや、さすがに、ここはまずいっしょ」

 「でも、愛の家もあいつ返ってきちゃうし、私の家は母親がいるし……。ラブホ行くお金ないし」

 「いや、ほらまだ僕達、中学生なんだし」

 「じゃ一年待てって事?」

 立ち上がった畑山は、ブレザーを脱ぎブラウスのボタンを外しながら細谷に近づいて行く。

 「やめて! ここ教室! 見つかったらどうするのさ!」

 細谷は、慌ててブラウス掴み露わになった胸を隠した。
 興味はあるが、細谷もそこまでするつもりなどなかった。恵が言う通りまだ中学生だし、見つかれば一大事だ。

 「おい、日誌……お前達何している!」

 一大事になってしまった!
 ブレザーを脱いだ畑山のブラウスを脱がそうとする構図を担任に見れたのだ!
 その後、両方の親が呼び出される事になった。そして、しこたま叱られたのだった。

 細谷と畑山が教室でという噂が流れてしまい、二人はそれを機に別れる事にする。
 噂を聞いた恵とは、不仲になった。向こうから声を掛ける事もなくなり、細谷は後悔するもどうにもならなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...