20 / 34
二人の痛み
しおりを挟む
「ごめん。謝ってすむ問題じゃないけど、警察に話して……」
「それでも僕が恵を殺したんだ……」
「え?」
憲一は驚いた。
火事で亡くなった双子の兄弟の敵になるはずの内容だ。それでも細谷は、自分だと言い張った。
「何、言ってんの? 俺が、火事を引き起こして……」
「だから火事で死んだけど、本当は火事で死なずにすんだんだ! 僕のせいで……あの、腕時計のせいで!」
「腕時計?」
そう言えば、妙に腕時計を気にしていたっけ? ――ふと、担任の三好のカタログに食いついた時の事を憲一は思い出す。
「あんな物を取りに戻らなければ、恵は……」
「ちょっと待て! 恵って、お前だろう? 亡くなったのはメグムじゃなかったか? 前にそう言ったよな」
憲一がそう聞くと、ぶんぶんと細谷は顔を横に振った。
「僕が、愛で、亡くなったのが恵だったんだ……」
「いや、でも……」
憲一は、にわかに信じ難かった。
もし、細谷の言った通りなら親が二人を間違えた事になる。それか、わざとそうしたかもしれない。親は、間違わないだろう。
「本当は、恵に生きて欲しかったんだ! そうじゃなかったら……」
「それは違うんじゃないのか? 何かわけがあるんだ! ほら前に寝ている時に、メグムごめんねって言っていたって言っていただろう? だから何か事情が……」
「違う! 僕が……僕が生きていちゃいけなかったんだ!」
「それを言うなら俺だろう? 君の兄弟は俺の身代わりになったようなもんだ。俺は死んでいてもおかしくなかったんだから……。本当にごめん。責めるなら俺を責めてくれ!」
憲一は、泣きながら床に座り頭を下げた。土下座だ。
「だから真倉のせいじゃないって!」
「火事さえ起きなかったら死ななかったんだから俺のせいだ!」
「なんでそんなに頑固なのさ! バカ!!」
細谷は、憲一の隣に膝たちすると、ぽかぽかと叩いた。
口で自分が殺したと言ったが、本音を言えば憲一が言ったように『火事さえ起きなければ死ななかった』そう思ってもいた!
最後には、細谷は土下座をしたままの憲一に覆いかぶさるように泣く。二人は、暫く泣いていた――。
○ ○
細谷は、体を起こした。
そして、ハッとしたように言う。
「ごめん! 背中痛いんだったよね!?」
「こんなの……お前の痛みに比べたら……」
「大丈夫?」
「あぁ……」
憲一も何とか体を起こし、二人はぺたんと床に座っていた。
「本当はさ。僕達出会う事がなかったんだ……」
「え? それって俺が死んでたらって事か?」
憲一が聞くも違うと、細谷は首を横に振る。
「僕は、違う学校に通う事になっていたから。愛のままだったら出会えなかったって事……」
細谷はそう言って涙を拭った――。
「それでも僕が恵を殺したんだ……」
「え?」
憲一は驚いた。
火事で亡くなった双子の兄弟の敵になるはずの内容だ。それでも細谷は、自分だと言い張った。
「何、言ってんの? 俺が、火事を引き起こして……」
「だから火事で死んだけど、本当は火事で死なずにすんだんだ! 僕のせいで……あの、腕時計のせいで!」
「腕時計?」
そう言えば、妙に腕時計を気にしていたっけ? ――ふと、担任の三好のカタログに食いついた時の事を憲一は思い出す。
「あんな物を取りに戻らなければ、恵は……」
「ちょっと待て! 恵って、お前だろう? 亡くなったのはメグムじゃなかったか? 前にそう言ったよな」
憲一がそう聞くと、ぶんぶんと細谷は顔を横に振った。
「僕が、愛で、亡くなったのが恵だったんだ……」
「いや、でも……」
憲一は、にわかに信じ難かった。
もし、細谷の言った通りなら親が二人を間違えた事になる。それか、わざとそうしたかもしれない。親は、間違わないだろう。
「本当は、恵に生きて欲しかったんだ! そうじゃなかったら……」
「それは違うんじゃないのか? 何かわけがあるんだ! ほら前に寝ている時に、メグムごめんねって言っていたって言っていただろう? だから何か事情が……」
「違う! 僕が……僕が生きていちゃいけなかったんだ!」
「それを言うなら俺だろう? 君の兄弟は俺の身代わりになったようなもんだ。俺は死んでいてもおかしくなかったんだから……。本当にごめん。責めるなら俺を責めてくれ!」
憲一は、泣きながら床に座り頭を下げた。土下座だ。
「だから真倉のせいじゃないって!」
「火事さえ起きなかったら死ななかったんだから俺のせいだ!」
「なんでそんなに頑固なのさ! バカ!!」
細谷は、憲一の隣に膝たちすると、ぽかぽかと叩いた。
口で自分が殺したと言ったが、本音を言えば憲一が言ったように『火事さえ起きなければ死ななかった』そう思ってもいた!
最後には、細谷は土下座をしたままの憲一に覆いかぶさるように泣く。二人は、暫く泣いていた――。
○ ○
細谷は、体を起こした。
そして、ハッとしたように言う。
「ごめん! 背中痛いんだったよね!?」
「こんなの……お前の痛みに比べたら……」
「大丈夫?」
「あぁ……」
憲一も何とか体を起こし、二人はぺたんと床に座っていた。
「本当はさ。僕達出会う事がなかったんだ……」
「え? それって俺が死んでたらって事か?」
憲一が聞くも違うと、細谷は首を横に振る。
「僕は、違う学校に通う事になっていたから。愛のままだったら出会えなかったって事……」
細谷はそう言って涙を拭った――。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる