【完結】煙にまかれた記憶

すみ 小桜(sumitan)

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山本の推理

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 憲一けんいち達の家族と予定外だが細谷ほそたにの家族。四階の宿泊客だ。

 「はぁ……。嘘つきました。すみません」

 「何故、そんな嘘を?」

 「本当は、腕時計は扉の近くにはなかったんです。真っ白で何も見えなかったのですが、一瞬、扉を開けたせいか煙が晴れたんです。それで時計を発見しました。その……倒れている人も発見しましたが、死んでると思って怖くなって腕時計だけ持ってその場から逃げたんです。そんなの言えないじゃないですか……。申し訳ありません」

 そう三好は言うと、頭をがばっと下げた。
 憲一は、茫然としていた。三好が火事の犯人だと思っていたのだ。それが死体を見て逃げ出したのを言えなかっただけだったなんて!

 「なるほど。確かに筋は通る」

 「まだ疑っているんですか? あと、どうすればいいって言うんだ?」

 山本の言葉に、頭を上げた三好は困り顔だ。

 「看板ですが……」

 「まだそれにこだわりますか?」

 「腕時計を発見した時に見たという事ですか?」

 「えぇ! そうです!」

 山本は、三好の言葉に頷いた。

 「やっと、ボロを出しましたね」

 「え……」

 山本の言葉に三好は顔を硬直させる。憲一達は、驚いて山本と三好の顔を交互に見比べる。

 「ボロッて何?」

 憲一は、山本に聞いた。

 「看板は、立っていなかったって事だ」

 「な、そんな事あるか! ちゃんとあったのを見た!」

 山本の言葉に三好は反論する。

 「いえ、嘘など言ってません。設置はされていましたが、火事の爆風で倒れたんですよ。だから立っていなかった。あの煙の中、看板が倒れていたなんて気づかないでしょう? あなたが看板を見たのは火事が起きる前、出掛けたと言った時でしょう。一時間のお出かけは、四階だった。違いますか?」

 「………」

 「あなたが、看板を目に出来たのはその時しかないはずです。時計もその時に落とした。それに気付いたあなたは、時計を探しに行こうとした矢先に爆発が起きてしまった。だから慌てて現場に向かった。どうです?」

 「そっか……」

 山本の推理に、憲一は納得して頷く。
 火事の前の週に泊まり、その時に四階に上がっていた為、憲一達はその時に細工をしたばかり思っていた。
 でも山本が言った通り、火事の当日なら一時間の時間がある。先週は下見だったわけだ。そしてその際、腕時計を落としてしまった。
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