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最終話 二人は幸福の鐘を鳴らす――
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「はあ。生きた心地がしなかった。しかし、本当に上手く行くとは思いませんでした」
「何を言う。まだ終わってはいない。ディを死守しなければな」
フィタードの言葉に、真剣な顔つきでマカリーは返す。
「王族に戻さない為にですね」
「その為に、王臣達にけしかけたのだからな」
二人は、本妻のエルドアリスとその男児ディアルディを助けた事により、二人を無事に返さなければ自分達の将来がないとあの時に悟ったのだ。
こっそりとルナードを育てるつもりだったが、それができなくなった。陛下が言う通り、男として育てるしかない。そう思った時、ルナードの幸せを考え、一生を懸けたプロセスを立てた。
ディアルディを自分達に引き込み、将来ルナードの婿にするという驚くような計画だ。
それには色々と条件があった。一番は、ディアルディを帰さない事だった。なので、こちらからは一切連絡はとらずにいた。驚く事に向こうからも連絡がこなかったのだ。
逆に、それが恐ろしくもあったが二人を引き合わせる時までは、手元に置いておきたかった。
それと同時に、ディアルディとの信頼関係を築く事だった。マカリーは、ディアルディの父親代わりを務めたのだ。
エルドアリスにはこうなったのは孫が魔女で、男として育てている事に目を瞑ってもらう為という事をさりげなく伝えた。それは成功した。もしかしたら、何となくわかって作戦に乗ってくれたのかもしれないが。
そして一番重要なのが、二人が愛し合うって事だった。そうでないと意味がない。いわゆるつり橋効果を狙う事にした。
二人には相手が異性だと言わず、自分で気づかせる。ルナードは、ディアルディが魔女を受け入れてくれる存在だと気づけば、惚れるだろうと言う打算があった。
だたディアルディの方がわからないのだ。ここが一番の賭けだった。
それが上手く行った時は、マカリーは嬉しかった。後は、ディアルディが王族に戻らない様にするだけだ。
これは、王臣達の感情を使う事にした。
卑怯だと思ったが、エルドアリスも時間差で呼び寄せた。彼女もこの作戦は知らない。だが、戻る気がないのは知っていた。
ディアルディの幸せを考えるなら協力してくれるだろうと、これも打算的だった。
とにかく陛下に、最後は許可をもらわないとダメなのだ。
何とか上手くいったが、ウィドガには気づかれたようだった。しかしこれは好都合。
王族に戻さないように上手くしてくれるだろう。
「後は、誓約を取り付けるだけだ」
「できれば、レノイディ殿下に男子が生まれてくれれば、いいのですが」
マカリーは頷く。
「さあ乾杯しよう。今までの成果に。そして二人の未来に……」
「はい。お義父さん。まだしばらくは二人の事をお願いします。乾杯!」
「あぁ。二人の幸せを願って乾杯!」
二人は、カーンとグラスを鳴らした――。
END
「何を言う。まだ終わってはいない。ディを死守しなければな」
フィタードの言葉に、真剣な顔つきでマカリーは返す。
「王族に戻さない為にですね」
「その為に、王臣達にけしかけたのだからな」
二人は、本妻のエルドアリスとその男児ディアルディを助けた事により、二人を無事に返さなければ自分達の将来がないとあの時に悟ったのだ。
こっそりとルナードを育てるつもりだったが、それができなくなった。陛下が言う通り、男として育てるしかない。そう思った時、ルナードの幸せを考え、一生を懸けたプロセスを立てた。
ディアルディを自分達に引き込み、将来ルナードの婿にするという驚くような計画だ。
それには色々と条件があった。一番は、ディアルディを帰さない事だった。なので、こちらからは一切連絡はとらずにいた。驚く事に向こうからも連絡がこなかったのだ。
逆に、それが恐ろしくもあったが二人を引き合わせる時までは、手元に置いておきたかった。
それと同時に、ディアルディとの信頼関係を築く事だった。マカリーは、ディアルディの父親代わりを務めたのだ。
エルドアリスにはこうなったのは孫が魔女で、男として育てている事に目を瞑ってもらう為という事をさりげなく伝えた。それは成功した。もしかしたら、何となくわかって作戦に乗ってくれたのかもしれないが。
そして一番重要なのが、二人が愛し合うって事だった。そうでないと意味がない。いわゆるつり橋効果を狙う事にした。
二人には相手が異性だと言わず、自分で気づかせる。ルナードは、ディアルディが魔女を受け入れてくれる存在だと気づけば、惚れるだろうと言う打算があった。
だたディアルディの方がわからないのだ。ここが一番の賭けだった。
それが上手く行った時は、マカリーは嬉しかった。後は、ディアルディが王族に戻らない様にするだけだ。
これは、王臣達の感情を使う事にした。
卑怯だと思ったが、エルドアリスも時間差で呼び寄せた。彼女もこの作戦は知らない。だが、戻る気がないのは知っていた。
ディアルディの幸せを考えるなら協力してくれるだろうと、これも打算的だった。
とにかく陛下に、最後は許可をもらわないとダメなのだ。
何とか上手くいったが、ウィドガには気づかれたようだった。しかしこれは好都合。
王族に戻さないように上手くしてくれるだろう。
「後は、誓約を取り付けるだけだ」
「できれば、レノイディ殿下に男子が生まれてくれれば、いいのですが」
マカリーは頷く。
「さあ乾杯しよう。今までの成果に。そして二人の未来に……」
「はい。お義父さん。まだしばらくは二人の事をお願いします。乾杯!」
「あぁ。二人の幸せを願って乾杯!」
二人は、カーンとグラスを鳴らした――。
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