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第六話

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 まさかの展開でしたわ。ヒロインがもう、卒業しているなんて。
 どうしてかはわからないけど、色々とずれているようだわ。
 ヒロインが卒業してしまっているけど、イベントは一年遅れているみたいだし。だったらまだ、チャンスはあるわ!

 猫ちゃんイベントがあったのだからこの続きのイベントもあるはずだわ。お世話を一緒にするのよ。
 たしか、猫の首輪にする為にリボンを作っていたわよね?
 作りましょう! 刺繍で子猫の名前を書いていたはず。たしか名前は『みゃ』。
 たった二文字よ。やるのよ、私!



 「ふぁ」

 眠いわ。やっと出来上がったリボンもちゃんと『みゃ』と刺繍できた。えぇ。ひらがなの『み』は難しかったのです!
 うううう。本当のヒロインは、お裁縫が上手だったのに。うん。私は本物のヒロインではないからね。仕方がないよね。

 あ……。お姉様に、リゾール殿下。そしてマイステリー様?
 三人で公園で何をしているのかしら?

 「そうだな……私の様にアレルギーの者いるし、くしゅん」
 「あの……おはようございます!」
 「あらユリーナ。どうしてここに?」
 「えっと。猫ちゃんの世話をしに……」

 やっぱり一年遅れてイベントが発生しているわ。

 「それ……もしかして、作って来たの?」

 そう言ったのは、マイステリー様。本来その台詞は、リゾール殿下のはずなんだけど。なぜかちょっと内容が違うわね。

 「あ、うん……」
 「あらあなた、お裁縫不得意では……」
 「お、お姉様!」
 「まあいいわ。リゾール殿下もここにいると大変ですし、私達は失礼するわね」
 「え!?」

 二人で仲良く行っちゃうの?
 そこは、怒って一人で去っていくのでは? まあ怒るような事は何も起きてないから無理か。

 「あ、名前までつけてくれたんだ。ふふふ」
 「あ、うん」
 「僕が考えていた名前と一緒だ。ミャ」
 「そうなんだ」

 あれれ? 待って! 今さらだけどこのイベント、攻略キャラがずれていませんか!! リゾール殿下からマイステリー様になっている!?
 どうして? これイベントを追ってもお姉様とリゾール殿下を引き離せない!?
 後で、色々確かめなくてはいけないわね。どうすり替わっているのか確かめないと。リゾール殿下とのイベントを探すのよ!

 「できた。もっとかわいくなったね」

 マイステリー様が、私が作ったリボンをミャに付けてくれた。

 「ここで飼ってもいいって言われたからさ。二人でお世話しない?」
 「え? うん。そうね」

 猫ちゃんには、罪はないもね。

 「私も抱っこしていい?」
 「うん。どうぞ」

 かわいいなぁ。

 「みゃ~」

 喉を撫でると、ミャはごろごろと喉を鳴らした。
 お姉様達の件がなければ、幸せな学園ライフだったのに……。こんなふうにね。
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