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第七話
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なんて事! 私は、涙目になった。
「誰が、こんな事を!」
次の日、猫ちゃんの元へ行くと、リボンが刻まれていた!
本来はお姉様がするけど、お姉さまではない事は確かよね。する理由がない。一応イベントは、私が知っているシナリオに沿ってはいるようだけど。
「ごめんね。ミャ……」
涙が溢れてきた。私は知っていたのに。この子が怪我をする事を。
ずれているからと安心していた。
このイベントは起こらないと思い込んでいた。お姉様のポジション、悪役令嬢役がいるのね。
でも私がターゲットでは、ダメなのよ!
「ごめんね」
「どうしたの!?」
「マイステリー様。ごめんなさい。私のせいだわ」
「君のせいって……」
マイステリー様がミャに手をおくと、スーと傷が消えた。
ヒールが使える事を人に知られたくないはずなのに、使わせてしまったわ。
「ほら、もう大丈夫。君のせいじゃないから」
「うん……」
探し出してやるわ。こんな事をした者を!
でも一体誰なのかしら?
攻略対象がマイステリー様になっているって事は、マイステリー様の事を好きな人でしょうか? でもクラス全員の令嬢がそう見えたのですが……。
取りあえず明日、リボンを作り直してきましょう。
□
前回より上手く出来たわ。これをマイステリー様に差し上げて……。
「あら、また作ってきましたの?」
「え?」
ルミージュ嬢! って、彼女がリボンを? 確かに一番食いついてきてましたけど……。
彼女は、魔法貴族と言われるビールドリィ子爵家の令嬢。子爵家だけど、伯爵家以上の権力を持つ貴族なのよね。この国、魔法国家だから。
綺麗な緑のウェーブした髪に、目力が凄い緑の瞳。この瞳に睨まれると、動けないわね。
というか、魔法が出来る彼女が私に意地悪するなんて、これ真逆になってません?
「それにしてもあなた下手ね。本当に令嬢なのかしら?」
と、ルミージュ嬢が作って来たリボンを掲げて見せた。それは、きれいな刺繍が施されている。
わぁ。私のとは雲泥の差だわ。魔法だけではなく、裁縫も得意なのね。羨ましい。
「やっぱり君だったんだね!」
声の主は、マイステリー様だ。あれ? この展開って……。
「な、何の話? 昨日猫を見つけて下手くそな刺繍でしたので、新しいリボンを作ってまいりましたのよ。どう?」
「こっちがいいな」
そう言ってマイステリー様は、私のリボンを手に取った。
「な、何よ! 婚約者の私のじゃなくて、彼女のを付けるというの!」
「婚約者!?」
「彼女のリボンには、ミャへの愛情がこもっているからね」
待って。婚約者の件はスルーなの?
「愛情って!!」
「待って! 私、婚約者がいるなんて知らなかったの。ご、ごめんなさい」
パシッと自分が作ったリボンをひったくって、私は逃げる様にその場を走りった。
婚約者がいただなんて! 彼から距離をおかないと行けないわ。
私は、リゾール殿下の婚約者にならないといけないの。お姉様から……お姉様から奪わないといけないのに、変な噂がたったら困るのよ。
そうだから彼と距離を取るのよ。
……なのに、どうして、苦しいの! どうして涙が溢れて来るの……。
どうして――。
「誰が、こんな事を!」
次の日、猫ちゃんの元へ行くと、リボンが刻まれていた!
本来はお姉様がするけど、お姉さまではない事は確かよね。する理由がない。一応イベントは、私が知っているシナリオに沿ってはいるようだけど。
「ごめんね。ミャ……」
涙が溢れてきた。私は知っていたのに。この子が怪我をする事を。
ずれているからと安心していた。
このイベントは起こらないと思い込んでいた。お姉様のポジション、悪役令嬢役がいるのね。
でも私がターゲットでは、ダメなのよ!
「ごめんね」
「どうしたの!?」
「マイステリー様。ごめんなさい。私のせいだわ」
「君のせいって……」
マイステリー様がミャに手をおくと、スーと傷が消えた。
ヒールが使える事を人に知られたくないはずなのに、使わせてしまったわ。
「ほら、もう大丈夫。君のせいじゃないから」
「うん……」
探し出してやるわ。こんな事をした者を!
でも一体誰なのかしら?
攻略対象がマイステリー様になっているって事は、マイステリー様の事を好きな人でしょうか? でもクラス全員の令嬢がそう見えたのですが……。
取りあえず明日、リボンを作り直してきましょう。
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前回より上手く出来たわ。これをマイステリー様に差し上げて……。
「あら、また作ってきましたの?」
「え?」
ルミージュ嬢! って、彼女がリボンを? 確かに一番食いついてきてましたけど……。
彼女は、魔法貴族と言われるビールドリィ子爵家の令嬢。子爵家だけど、伯爵家以上の権力を持つ貴族なのよね。この国、魔法国家だから。
綺麗な緑のウェーブした髪に、目力が凄い緑の瞳。この瞳に睨まれると、動けないわね。
というか、魔法が出来る彼女が私に意地悪するなんて、これ真逆になってません?
「それにしてもあなた下手ね。本当に令嬢なのかしら?」
と、ルミージュ嬢が作って来たリボンを掲げて見せた。それは、きれいな刺繍が施されている。
わぁ。私のとは雲泥の差だわ。魔法だけではなく、裁縫も得意なのね。羨ましい。
「やっぱり君だったんだね!」
声の主は、マイステリー様だ。あれ? この展開って……。
「な、何の話? 昨日猫を見つけて下手くそな刺繍でしたので、新しいリボンを作ってまいりましたのよ。どう?」
「こっちがいいな」
そう言ってマイステリー様は、私のリボンを手に取った。
「な、何よ! 婚約者の私のじゃなくて、彼女のを付けるというの!」
「婚約者!?」
「彼女のリボンには、ミャへの愛情がこもっているからね」
待って。婚約者の件はスルーなの?
「愛情って!!」
「待って! 私、婚約者がいるなんて知らなかったの。ご、ごめんなさい」
パシッと自分が作ったリボンをひったくって、私は逃げる様にその場を走りった。
婚約者がいただなんて! 彼から距離をおかないと行けないわ。
私は、リゾール殿下の婚約者にならないといけないの。お姉様から……お姉様から奪わないといけないのに、変な噂がたったら困るのよ。
そうだから彼と距離を取るのよ。
……なのに、どうして、苦しいの! どうして涙が溢れて来るの……。
どうして――。
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