【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

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第一章 使い魔ピピとの出会い

第五話

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 「あ、あのさ。バレるとまずい?」

 『そうですね。国王の耳に入ると勇者を仕向けられる可能性がありますが、まだ勇者は呼び出されてはいないようです。まず自分から正体を明かさなければ、キソナ様が魔王だとは誰も気づかないでしょう。ご安心下さい』

 安心って……。女だとバレても魔王とバレてもダメだなんて! 自由度が売りじゃなかったのかぁ!!
 俺は心の中で叫んだ!

 「で、勇者に倒されるとどうなるんだ?」

 『はい。勇者に倒された場合は、魔王の力は失われます。因みに勇者がキソナ様に倒された場合は、勇者の力が失われます。ですが、勇者は複数呼び出す事が出来ますので、出来るだけ正体を明かさない方がよろしいかと……』

 ……だよな。同感だ。
 これは、やばいな。魔王の力が失われれば、きっと本来の姿――女性の姿になるはず。女性だと隠すのが大変になる。というか、隠すの無理!

 自分からバラす事はまずないとして、HPが一〇%切って姿をさらす事になるかもしれないから、レベル上げをしなくてはならないな。

 それにしてもピピは使える奴だな。このまま従えておくのもいいかもな。

 「ところでさ、俺って何人まで魔族を従えられるんだ?」

 『何人でもお好きなだけ、従えますとも……』

 そうなのか。さすが魔王だな。しかし、ぞろぞろいても……って、いうか、これで魔王だとバレないか?

 「あのさ、ピピ達がいたら俺が魔王だとバレるんじゃないか?」

 『ご心配なく。私はあなた様の使い魔になった時から他の者からは見えない存在になっております。戦闘系のモノは、従えた後元の世界に戻し、後程召喚する事が可能です。ですが、召喚には体力を消耗致しますゆえ、HPには十分お気を付け下さい』

 そういう風にも出来るのか。やり方次第か。って、もしかして俺は魔族しか召喚出来ないとかなのか?

 だとしたら他の者の前で召喚は控えた方がいいかもな。一応聞いておくか。

 「召喚って魔族しか出来ないのか?」

 『出来ますが、指定して召喚した時のみです。召喚した種族が何なのかは召喚師にしか判別できませんが、人前で召喚なさる時は、人型の魔族を召喚なさる事をお勧め致します』

 なるほど。指定して呼び出す事も出来るのか。でもまあ、バレなきゃ魔族でもいいな。人型か良い事聞いた。
 おっとそうだ。魔法防御の事を聞いておくか。

 「あのさ。魔王には魔法防御ってある? あ、攻撃魔法な」

 『はい。ございます。ですが、キソナ様のレベルと連携しておりますので、レベルがあがらないと補正されません。また裏に表示されます』

 そうだったのか! ちょっと見てみるかな。


 ステータス―裏―

 名前:キソナ
 種族:人間(魔族:魔王)
 性別:男性(女性)
 年齢:二二歳(不明)
 職業:冒険者(幻覚魔導士:LV一)
 レベル:二
 HP:一〇五(五二五)
 MP:一五(七五)
 攻撃:一五(+五)
 防御:一五(+五)(魔法防御+五)
 補正:なし(エンカウント-)(スピード+)(攻撃・物理防御・魔法防御+)
 所得スキル:なし(魔王の威厳:LV一)
 所得魔法:回復魔法 ワープ 召喚 (幻覚)
 貢献:なし
 二つ名:なし(+伝説の魔王)
 経験値:六〇
 その他:なし(無限アイテムボックス 隠れステータス保持者)


 いやこれ魔法防御だけじゃなくて、全体的に少し補正ついているな。魔王ってすげぇ。あ、そう言えばエンカウント消せるんだろうか?

 「あのさエンカウント補正って一時的に消せる?」

 『はい。伝説の魔王を外せば可能です』

 あ、これって装着してる事になってるのか? そう言えばまだ詳細確認していなかったな。

 ポン。
 《伝説の魔王とは、魔王のまたの名の呼び名。これを装着する事によってエンカウントを-補正しスピードを+補正する》

 二つともこの二つ名の影響だったのか。

 俺は試しに伝説の魔王を解除してみると、文字の前にあった『+』が消え、エンカウントとスピード補正も消えた。
 取りあえず、レベル上げ以外の時は装備しておこう。

 「他になんか、気を付ける事ってあるか?」

 『はい。ございます。PvPですが、キソナ様は勇者以外の者に倒されたとしてもペナルティーを受けません。それ故に、倒された時に相手に知られる恐れがございます』

 この世界では、キャラが死亡した場合は経験値が減るペナルティがある。つまりレベルが下がる。そしてこの世界にはPKという概念はない。公式でもPvPと表示されている。
 PvPでは、負けたキャラの失った経験値が相手に加算される仕組みだ。レベルの高い相手を倒せば、もしかしたらモンスターを倒すよりレベルが上がりやすいかもしれない。

 なんでもOKの世界なので、拒否設定はない。ただし街などでは死亡してもペナルティーはないので街中では安心だ。

 因みにクエスト以外のモンスターも経験値を得て強くなっていく仕様で、ある程度強くなるとレアモンスターに変化する。
 これを利用しヒカルは、テスターでモンスターを落とし穴に落とし、プレイヤーをそこに誘い出して落として死亡させていた。そしてレアになったモンスターを倒して、沢山の経験値とレアアイテムをゲットしていたのだ。

 罠にかかったプレイヤーは、レベルが下がるし、騙された事により疑心暗鬼になったりした。
 もしかしたら、またやるかもしれない。まあある程度強くならないと出来ないだろうけど。

 「あ、そうだ。俺、実は女でバレたらダメなんだ。だからそれも隠さなくてはいけないんだけど……」

 『承知しております』

 そうピピは言って頷いた。

 知っているんだ。まあ、魔王だとわかったぐらいだから女性だと言うのは知っているだろうとは思ったけど……。説明はいらなさそうだな。

 「さて、戻るか」

 『はい。その前に一つご提案がございます。私に話掛ける時は、以心伝心をお使い下さい』

 「以心伝心? 俺にはそういうスキルないみたいだけど?」

 『はい。ですが、私は持ち合わせておりますので、心で話しかける様にして頂ければ可能です』

 「ありがとう。そうするよ」

 心でか――。

 『どうだ?』

 『はい。とてもお上手でございます』

 上手って……。まあいいか。
 ピピは、他の人に見えない様だし、声に出すと独り言を呟く人になるもんな。

 『あ、俺、ワープで帰ろうと思うけど、そうしたらピピはどうなる?』

 『はい。キソナ様に触れていれば、ご一緒にワープが可能です。離れてしまっても私の方は、キソナ様の居場所を把握できます。また、私の方からは話しかける事が出来ますが、キソナ様はある程度離れると、まだ無理かと思われます。いかがなさいますか?』

 『えーと、じゃ一緒に戻ろう』

 『承知致しました。では、失礼します』

 ピトッとピピは、左手首に捕まった。

 執事が様になっていると思ったけど、こういう所は可愛いよな。

 「ではワープ!」

 一瞬目の前が揺らいだと思ったらタード街の風景になった。ワープは無事成功したようだ。

 『なぁ。ワープ先って好きに選べるのか?』

 『はい。訪れた事のある場所か、私がいる場所になら可能です』

 『ありがとう』

 ピピがいる場所に移動も出来るのか。これは使えそうだ。
 指定しないと街にワープするみたいだな。

 後は本当にピピが見えてないかどうかだよな。信じていない訳じゃないけど不安だ。

 俺が歩き始めると、ピピもフワフワと着いて来る。別に誰も振り向かない。
 まあ、元々小さいから目立たないし大丈夫そうだな。
 俺は安心して防具屋に向かった。
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