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第一章 使い魔ピピとの出会い

第六話

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 再び俺は、防具屋を訪れていた。店内を見渡すと、二人の姿はない。俺は迷わず、二人がいたコーナーに向かった。

 そこは、チョッキコーナーだった。
 手に取り見てみると、物理防御プラス五で値段は五〇〇T。うーん。ここには、魔法防御の品はないようだ。

 『何かお探しですか?』

 ピピが店員のような聞き方で聞いた。

 『魔法防御補正のが欲しいんだけど……』

 『ご予算は?』

 『うーん。今すぐには買えないけど、一,〇〇〇T以内がいいな』

 それを聞くとピピは、更に奥に進んで行った。

 『こちらなどいかがでしょうか?』

 もう店員だよな。というか、本当に何でも知ってるんだな。

 ピピのお薦めを見てみた。
 スカーフだ。値段は八〇〇T。魔法防御プラス五。女性専用で職業は冒険者以外取得となっている。

 でもなぁ、女性用の上に冒険者以外取得って、今現在装備していたら流石にバレるんじゃなか? うーん。

 『これ装備したら女性とか魔王だとかバレないか?』

 『装備してしまえば、何という装備品かは露呈するご心配はございません。鑑定を出来る者が現れたとしてもレジスト致しますし、店員にも店外で装備すれば露呈しないでしょう』

 この世界には、プレゼント機能というのがある。つまり買ったからと言って本人が装備するとは限らない。

 うん。それなら大丈夫そうだ。これを買うのを目標にお金を貯めよう! 目標を決めるのは大事だ。やる気が出る!

 俺は防具屋から出た。
 さて、どうやって稼ぐかだ。やはり冒険者ギルドの掲示板からクエストを受けるのが一番いいだろう。敵を倒す依頼なら経験値も入る。

 普通にモンスターを倒しても、『choose one』の世界ではお金は手に入らない。ドロップしないのだ。なのでクエストをやるしかない。
 後は、一〇レベルになると確か塔に挑戦出来て、お金や経験値を稼げるらしい。だが俺はどこにあるか知らない。
 テスターの時は、そこで皆はお金を稼げたらしい。俺は行った事はないが……。

 俺は冒険者ギルドに向かった。中に入ると先ほどよりは空いていた。
 掲示板を覗く。討伐……討伐っと。あった。

 ピン。
 場所は近くの森。コボルトを三体討伐。報酬三〇T。

 これでいいか? レベル上がったし、さっきの半分の数だ。一人でも倒せるだろう。俺はクエストを請け負い締め切った。

 『なあ、クエストって複数請け負えるっけ?』

 『はい。可能でございます。ですが、同じ場所の討伐はお勧め致しません。エンカウントが一緒に発生する可能性がございます』

 「マジ!?」

 つい普通に声をたしてしまい、その場にいた者達が俺に振り向いた! 俺は失礼しましたと、ギルドから足早に逃げ出すように出た。
 めちゃ恥ずかしい! でも内容があれでよかった。

 取りあえず森に向かうか。
 俺は近くの森に向かい着いてすぐにエンカウントした。目の前に三体のコボルトがいる。

 『キソナ様。ご提案がございます』

 『え? 何?』

 『討伐クエストのエンカウントは見た目は変わりませんが、違うフィールドになっております。ですので人の目を気にする事はございません。召喚を行ってみてはいかがでしょうか。召喚獣が倒した敵の経験値は、全て召喚者に入ります』

 『なるほど! いいなそれ! 楽ちんだし』

 俺は、ピピの提案を受け、召喚する事にした。

 「召喚!」

 前回と同じく目の前に一瞬魔法陣が見え、消えると同時に召喚獣が現れた。オオカミに見える。めちゃデカい。俺が乗って移動出来そうだ。

 『ダークウルフですね。動きが素早いですし、コボルト程度なら一撃でしょう。戦闘が終了すると召喚獣は元の場所に戻って行きますので、先に従えておく事をお勧めします』

 それって従えた方がいいって事だよな。

 ポン。
 《従えますか?》

 ポン。
 《ダークウルフのダウを従えました》

 YESを選び、ダークウルフのダウを従えた。

 『主よ。何なりとご命令を』

 ダウはそう渋い声で言った。
 なんか格好いいな。

 「じゃ、コボルトを倒して欲しい」

 『お安い御用!』

 言うが早いか、あっという間に三体を倒した。そして、クエスト終了と共にピピの言う通り姿が消えた。

 『ピピの言う通りだ。ありがとう。助かったよ』

 『お役に立てて、何よりです』

 ピピは、右腕をお腹に横にあて、深くお辞儀をした。まるで執事ようだ。

 ピピを召喚してよかった。物知りと言うか、もうチートだよな存在が!
 チートで一番役に立ってるのってピピだよな!

 『そうだ。次、ダウだっけ? あのダークウルフを召喚したい時ってどうすればいいんだ? 名前指定するとかで出来るのか?』

 『左様です。次もクエストをお受けになるのでしたらまたご提案がございます』

 『なんだ?』

 ピピの提案は役に立つ。聞いて損はない。いや、その通りするに越したことはない。

 『大量発生のクエストをお勧めします。ダウならば、ニ〇体ほどならほとんど一人で倒せるでしょう。倒し損ねても数体。キソナ様も少し戦闘の練習になるでしょう』

 『なるほど。そうするか!』

 『但し一つ問題がございます。先に予約者がいるかもしれません。誰かに予約される前に素早く請け負う。これが出来るかどうかです』

 俺は頷いた。
 確かにそうだ。数が多いのを一人で倒そうという奴はいないだろう。何せレベル制限があるのだから……。
 よし、掲示板に張り付いてクエストをゲットしてやる!

 『それぐらい頑張るさ! 戻ろう』

 『はい』
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