【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

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第三章 ヒカルのお誘い。緊急事態発生!?

第一九話

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 落ち着いた俺は、一時間後再びINし食堂でおにぎりセットを食べている。

 冷静になったら色々と思い浮かんだ。一番は、何故回復魔法を使わなかったのか! だ。自分が思っている以上にパニックになっていたらしい。相手はヒカルだったし。
 だがそれよりピピだ! ピピは人間ではない。何故あそこであの選択なんだ!

 『なぁ、ピピ。どうしてHP回復に自然回復を選んだ? 回復魔法なら一発で一〇%超えると思うんだが……』

 『申し訳ありません。私も焦ってしまいまして……』

 『は? 焦る?』

 いやいや、ピピは人間じゃないだろう? いうなればAIだ! どうして焦る?

 『自分で言うのもあれなのですが、私には感情が与えられております。その感情により判断が鈍る事がございます。申し訳ありません』

 『………』

 それってつまりピピ……NPCにもリアリティーを持たせたって事か? ここの運営おかしいだろう。もっと違う所に持たせろよ! どこにと聞かれても困るが……。
 まあ、全ての選択の責任は自分で取れって事なんだろうけど。

 『も、もしかして、もう私は用無しなのでしょうか?』

 何故かしょんぼりとピピは言った。
 俺が黙っていたからだろうけど、本当に感情があるんだな。

 『そんなワケあるかよ! ピピのお蔭でどんだけ俺が救われていると思ってるんだ。あ、でも、次にこういう危ないイベントがありそうだったら、発生しそうな前に、ストップとか声を掛けて貰えると嬉しいな』

 『そうですね。私の判断でそれはギリギリOKという事で……。ですが、キソナ様にとって何が不利などの情報はお教え出来ませんので、そこはお許し下さい』

 目を潤ませ、嬉しそうに頷きながら言った。

 声掛けはOKなんだ。というか、本当はダメだけどこっそりね。って感じだろうか? 流石感情を持たせているだけある! まあ、こっちは女だとバレたらキャラ凍結なんだし、それぐらいは容認という事で。

 『ありがとう。ピピが使い魔でよかった』

 ピピは、嬉しそうにほほ笑む。いやぁ、カワイイ。これが魔王の使い魔なのかというぐらいカワイイ。

 俺は食堂を出ると、冒険者ギルドに向かった。そっと中を覗くがヒカルはいない。メル友リストを見るとINはしている。もしかしたら、他の人とクエストをしているのかもしれない。

 『なあ、ピピ。他の魔法使いのクエストも同じような感じか?』

 『それは……』

 『あ、そっか。そういうのが言えないのか。ごめん。取りあえず、青魔法使いも必要だし、強さから言って俺一人でも大丈夫そうだから、一人でチャレンジしてみる』

 『はい。ご健闘をお祈りします』

 俺は頷くと、青魔法使いのクスエスを受け、五〇T支払った。
 食事もしたし、金欠だな。これ終わったら討伐のクエストでも受けよう!

 赤湖の隣が青湖あおこで、今回はそこが試練の場所だ。うん。わかりやすいな。
 青湖の前に着くと湖の上には洞窟が浮かんで見える。さっき赤湖の前を通った時に、赤湖の上には何も見えなかった。クエストを受けると見える様になるようだ。

 「さて、行くか」

 俺は湖の上に一歩、足を踏み出した。それは沈むことなく、俺は歩みを進め洞窟にたどり着いた。中は前回と同じく暗く、水がほんのり光りを放っている。その色は青。やはり名前と同じ色らしい。そうなると、敵も青で統一か? まあ、会ってみればわかるか。

 刀を装備して奥に進んで行く。そして壁を通り抜け、俺は走り出した。敵を見つけるが逃げ出す! しかも結構早い!

 これ伝説の魔王で補正していても追いつけないんじゃ……。
 思った通り追いつけない!

 敵が止まり振り向いた。勿論、魔法を放つ為だ! 俺は食らうも気にしない。そしてもう一つ飛んでくる。

 刀でリーチが長いが、魔法を放った後また逃げ出した為、一撃も与えていない!

 これ五レベルから受けられるけど、ヒカルのようなスキル持ちと来ないとまず死ぬぞ。相手の逃げ足が速すぎる!

 台座まで来たが敵はいない。左右に同じ幅の道がある。どちらかに逃げたみたいだ。俺は、右の道に進んだ。前から魔法を飛んで来る!

 ビンゴだ!
 だが、後ろからも魔法を受けた。
 挟み撃ちかよ! 多分普通のレベル六だと死んでるな……。

 途中で回復していたとしても、二撃では倒せない。しかも回復魔法も普通は詠唱が必要だ。

 右に逃げた一体を壁際に追い詰めた。攻撃を二回入れ倒す。その間にも後ろから一度攻撃を受けた。
 一応一回、回復しておくか。

 「回復魔法!」

 自分が眩く輝く。

 また俺は走り出した。そのまま真っ直ぐ左端へ向かう。だが、斜め左から魔法攻撃を受けた!

 最初にいた道に逃げていたらしい。だー! めちゃ面倒だ! このクエスト!
 攻撃さえ与えられれば簡単なのに! 暗いから近くに行かないと目視できないし!

 今度は、入って来た壁の所まで戻って来た。ここも左右に道がある。
 どっちだ?
 そう思っていたら右側から魔法攻撃を受けた!

 こっちか!
 俺は右の道に進み、やっともう一体の敵を倒した。因みに服の色は青だった。もうどうでもいいけどさ。……疲れた。

 俺は台座の前に立った。青い玉がある。

 「これ独り言な。外に出てすぐに回復魔法を使おうと思うんだ。誰か俺が女の姿だった時間を計ってくれると嬉しいな」

 誰かって、ピピしかいないが。直接お願いは出来ないが、これぐらいの内容ならしてくれるだろう。
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