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第三章 ヒカルのお誘い。緊急事態発生!?
第一八話
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「凄い威力だね……」
「ま、まーな」
俺は削れていないが、回復しておく。
「回復魔法!」
体が光につつまれる。いつもは淡い光に感じるが、今回は凄く明るく、ヒカルも俺も目を瞑った。
これでステータスを見られても、何とか誤魔化せるだろう。元々%表示だから、どちらにしても正しいダメは、わからなかっただろうけどな。
「ビックリした。結構明るいね」
「使った俺もビックリだ。で、後はどうするんだ?」
俺の言葉でヒカルは、奥を指差す。そこには台座がある。
「あそこに行くと脱出の玉があって、それを使うと外に出るの。それでクエストは完了」
「結構あっけないな」
「あっけないって……。キソナが攻撃力チート過ぎ! ドワーフなみでビックリした」
やっぱりそうだよな。って、ドワーフは攻撃力が高いのか? そう言えばガイさんの攻撃力レベル三だけど四〇あったっけ。
まあ何かしらのチートを持っているのは皆一緒だし、誤魔化せるだろう。
「他の奴には内緒な」
「うん? わかった」
内緒にはしてくれるようだ。出来れば目立ちたくないので助かる。
俺達は台座に向かった。テニスボール程の赤い玉が二個そこにあった。
これか。これを使って外に出ればいいのか。俺とヒカルは同時に玉を手に取った。
『汝に最後の試練を与えん!』
うん? 最後の試練?
そう疑問に思っていると、目の前が眩しくなり目を開けていられなくなった。
外に移動した。そう思った時、聞き慣れた音が耳に届く。
ポン。
メッセージの時の音だ。俺は何だろうかと目を開け、飛び込んで来た文字に驚いた!
《魔王補正が解け姿が元に戻りました!》
は? なんで?
さっきからキラキラと横で煌めいていると思っていたモノは、自分の長い銀の髪だ!
え~~~!
声に出して叫ばなかっただけ自分を褒めたい! だが、もうどうしたらいいかわからない!
『今すぐに彼女の後ろに隠れ、お座りください! HPが回復して一〇%以上になれば、男性の姿になります! 一、二分で姿が戻るはずです!』
今はもう、ピピに従うしかない!
俺はヒカルの後ろに回り座った。ヒカルは眩しかったのか、座って腕で顔を覆っていた。直ぐの行動なのでヒカルには、この姿は見られていないはずだ!
「悪いけど、後ろ振り向かないでくれ!」
「え?」
俺は申し訳ないと思いつつ、後ろからヒカルの頭を軽く抑える。
『choose one』は、一人称視点。切り替えもない。つまり後ろを振り返られなければ、見られる事もない。
「ちょ……」
文句を言いたそうだが、素直に従ってヒカルは大人しく前を向いていてくれた。
ポン。
《HPが一〇%以上に回復しましたので、魔王補正が掛かり姿が男性に変わりました!》
後ろに隠れ二分ほどで姿は戻った。一応髪を引っ張って見てみると黒い。
「あー」
どっと疲れ、俺は両手を地面につけ、声と一緒にため息をついた。それと同時にヒカルは振り向く。
「で、どうしたのさ?」
一体何があったという顔だ。
いやそれは俺が聞きたい!
『ピピ、一体どうして俺、HP減ったんだ?』
やっと少し状況が飲み込めた。
よくわからないが、外に出たとたん、HPが一〇%を切り本来の女性の姿に戻った。座る事により立っている時より三倍、更に魔王補正で五倍の速さで回復。それで二分ほどで一〇%以上に戻った。
わかったと言っても起きた理由ではなく、回復する工程だけだ。
『それは後程。今はワープでタード街へ戻る事を提案します』
そうだな。ここで座って回復するのを待つのもいいが、別にワープがあるんだからそうしよう!
「手を繋ごう」
俺は、自分の中で完結してヒカルに求めるも、彼女はまた目を丸くする。
「な、何で手を繋ぐの?」
「あ! そっか。変な意味じゃなくて、ワープしようと思って!」
ヒカルは頷いて、手を出して来た。
俺達はワープしてタード街へ移動した。
街に着くと噴水に近づき自分の姿を確認する。メッセージも出たし、ヒカルも何も言わないのだから男に戻ている事はわかっているが、自分の目で確かめないと安心できなかった。
「よくわかんないけど、大丈夫?」
ヒカルは、さっきから俺の変な行動を見て、何かあったのだと思っているはずだが気遣ってくれた。
なんだろう? やっぱりテスターの時のヒカルと違うような気がする。
「あ、ごめん。死ぬかもと思ったらパニックになったみたいだ……」
取りあえず、誤魔化せそうな言い訳を言ってみた。というか、これしか思いつかなかった。
「え! ごめん。そんなに驚くとは思わなかった……。外に出てから言えばいいと思っていたから。あそこではほとんど敵に合う事もないし、座って回復すればいいと思って。突然瀕死になったら驚くよね?」
「あ、いや。うん。驚いたけど大丈夫……」
瀕死になった事に驚いた訳ではなく、それによって元の姿に戻った事によってだ。だがそんな事は言えない。
「ごめん。もし無理そうなら次から違う人探すから……」
「あ、うん……」
「ごめんね。手伝ってくれてありがとう」
ヒカルはパーティーを解散すると、すまなそうにもう一度謝って歩いて行った。
はぁ。何か疲れた……。
『で、ピピ。俺、どうなった訳?』
そのまま噴水によしかかる格好で、座り込んでピピに聞いた。
『はい、今回は私の判断ミスです。申し訳ありません。クエストを受ける前にお話しするべきでした』
クエストを受ける前って……。最初からこうなるって知っていたって事かよ。はぁ……。俺はガックシと肩を落とす。
『職業クエストは、クエストですがイベントと同じく口添えする事が出来ませんでした。あの玉で脱出した者は、最後の試練としてHPが一〇%未満で外に出されるのです。もし敵に遭遇すれば、高レベルのキャラか回復持ちでもない限り死亡する恐れがあります。そしてレベル五以下になれば、タード街で復活したとしても五レベルになるまで職業は獲得できません』
なるほど、それで最後の試練なのか……。知っていたら手伝わなかった!
『今回は反省しております。キソナ様は本来のお姿に戻られるのでしたね……』
反省って……。はぁ。
俺は落ち着く為に、一旦ログアウトする事にした。
「ま、まーな」
俺は削れていないが、回復しておく。
「回復魔法!」
体が光につつまれる。いつもは淡い光に感じるが、今回は凄く明るく、ヒカルも俺も目を瞑った。
これでステータスを見られても、何とか誤魔化せるだろう。元々%表示だから、どちらにしても正しいダメは、わからなかっただろうけどな。
「ビックリした。結構明るいね」
「使った俺もビックリだ。で、後はどうするんだ?」
俺の言葉でヒカルは、奥を指差す。そこには台座がある。
「あそこに行くと脱出の玉があって、それを使うと外に出るの。それでクエストは完了」
「結構あっけないな」
「あっけないって……。キソナが攻撃力チート過ぎ! ドワーフなみでビックリした」
やっぱりそうだよな。って、ドワーフは攻撃力が高いのか? そう言えばガイさんの攻撃力レベル三だけど四〇あったっけ。
まあ何かしらのチートを持っているのは皆一緒だし、誤魔化せるだろう。
「他の奴には内緒な」
「うん? わかった」
内緒にはしてくれるようだ。出来れば目立ちたくないので助かる。
俺達は台座に向かった。テニスボール程の赤い玉が二個そこにあった。
これか。これを使って外に出ればいいのか。俺とヒカルは同時に玉を手に取った。
『汝に最後の試練を与えん!』
うん? 最後の試練?
そう疑問に思っていると、目の前が眩しくなり目を開けていられなくなった。
外に移動した。そう思った時、聞き慣れた音が耳に届く。
ポン。
メッセージの時の音だ。俺は何だろうかと目を開け、飛び込んで来た文字に驚いた!
《魔王補正が解け姿が元に戻りました!》
は? なんで?
さっきからキラキラと横で煌めいていると思っていたモノは、自分の長い銀の髪だ!
え~~~!
声に出して叫ばなかっただけ自分を褒めたい! だが、もうどうしたらいいかわからない!
『今すぐに彼女の後ろに隠れ、お座りください! HPが回復して一〇%以上になれば、男性の姿になります! 一、二分で姿が戻るはずです!』
今はもう、ピピに従うしかない!
俺はヒカルの後ろに回り座った。ヒカルは眩しかったのか、座って腕で顔を覆っていた。直ぐの行動なのでヒカルには、この姿は見られていないはずだ!
「悪いけど、後ろ振り向かないでくれ!」
「え?」
俺は申し訳ないと思いつつ、後ろからヒカルの頭を軽く抑える。
『choose one』は、一人称視点。切り替えもない。つまり後ろを振り返られなければ、見られる事もない。
「ちょ……」
文句を言いたそうだが、素直に従ってヒカルは大人しく前を向いていてくれた。
ポン。
《HPが一〇%以上に回復しましたので、魔王補正が掛かり姿が男性に変わりました!》
後ろに隠れ二分ほどで姿は戻った。一応髪を引っ張って見てみると黒い。
「あー」
どっと疲れ、俺は両手を地面につけ、声と一緒にため息をついた。それと同時にヒカルは振り向く。
「で、どうしたのさ?」
一体何があったという顔だ。
いやそれは俺が聞きたい!
『ピピ、一体どうして俺、HP減ったんだ?』
やっと少し状況が飲み込めた。
よくわからないが、外に出たとたん、HPが一〇%を切り本来の女性の姿に戻った。座る事により立っている時より三倍、更に魔王補正で五倍の速さで回復。それで二分ほどで一〇%以上に戻った。
わかったと言っても起きた理由ではなく、回復する工程だけだ。
『それは後程。今はワープでタード街へ戻る事を提案します』
そうだな。ここで座って回復するのを待つのもいいが、別にワープがあるんだからそうしよう!
「手を繋ごう」
俺は、自分の中で完結してヒカルに求めるも、彼女はまた目を丸くする。
「な、何で手を繋ぐの?」
「あ! そっか。変な意味じゃなくて、ワープしようと思って!」
ヒカルは頷いて、手を出して来た。
俺達はワープしてタード街へ移動した。
街に着くと噴水に近づき自分の姿を確認する。メッセージも出たし、ヒカルも何も言わないのだから男に戻ている事はわかっているが、自分の目で確かめないと安心できなかった。
「よくわかんないけど、大丈夫?」
ヒカルは、さっきから俺の変な行動を見て、何かあったのだと思っているはずだが気遣ってくれた。
なんだろう? やっぱりテスターの時のヒカルと違うような気がする。
「あ、ごめん。死ぬかもと思ったらパニックになったみたいだ……」
取りあえず、誤魔化せそうな言い訳を言ってみた。というか、これしか思いつかなかった。
「え! ごめん。そんなに驚くとは思わなかった……。外に出てから言えばいいと思っていたから。あそこではほとんど敵に合う事もないし、座って回復すればいいと思って。突然瀕死になったら驚くよね?」
「あ、いや。うん。驚いたけど大丈夫……」
瀕死になった事に驚いた訳ではなく、それによって元の姿に戻った事によってだ。だがそんな事は言えない。
「ごめん。もし無理そうなら次から違う人探すから……」
「あ、うん……」
「ごめんね。手伝ってくれてありがとう」
ヒカルはパーティーを解散すると、すまなそうにもう一度謝って歩いて行った。
はぁ。何か疲れた……。
『で、ピピ。俺、どうなった訳?』
そのまま噴水によしかかる格好で、座り込んでピピに聞いた。
『はい、今回は私の判断ミスです。申し訳ありません。クエストを受ける前にお話しするべきでした』
クエストを受ける前って……。最初からこうなるって知っていたって事かよ。はぁ……。俺はガックシと肩を落とす。
『職業クエストは、クエストですがイベントと同じく口添えする事が出来ませんでした。あの玉で脱出した者は、最後の試練としてHPが一〇%未満で外に出されるのです。もし敵に遭遇すれば、高レベルのキャラか回復持ちでもない限り死亡する恐れがあります。そしてレベル五以下になれば、タード街で復活したとしても五レベルになるまで職業は獲得できません』
なるほど、それで最後の試練なのか……。知っていたら手伝わなかった!
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