【完結】大きな声では言えないが俺が魔王だ!

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
23 / 48
第三章 ヒカルのお誘い。緊急事態発生!?

第二一話

しおりを挟む
 双子の丘に行くなら近くの森を通る。大きく迂回してもいいが、面倒なので真っ直ぐの道を進む。そして近くの森に入ってすぐに、ヒカルに出会った。

 「キソナ!」

 「おぉ。ヒカル……さん」

 びっくりした。こんな所で会うとは……。

 「別にさんはいらないよ。私も呼び捨てだし」

 「そうか? で、こんな所で何してるんだ?」

 「何って魔法の練習」

 俺はてっきり他のプレイヤーと一緒に試練に向かったとばかり思っていたけど、一人で魔法の練習をしていたのか。って、魔法って練習が必要なのか?

 「攻撃魔法って練習必要なのか?」

 「……本当に使った事ないんだね」

 ヒカルは、呟くように言った。

 俺も少し後悔している。何故色々体験しておかなかったのかと。だからもう、聞くしかない。

 「……まあ体験しておかなかった事は反省している。で、教えてもらえるか?」

 って、ヒカルに聞いて大丈夫だろうか? 嘘を教えられたら……。あ、ピピに合っているか確認すればいいか。

 「いいけど。う~ん。ボールを投げるような感じ? 勝手に敵に当たってくれるワケじゃなくて、投げて当てるからどけられたりするんだよね」

 「そうなのか! 普通の攻撃より難しそうだな……」

 ヒカルは頷く。

 「練習は必要だと思う。野球とか出来る人でも的が動くからね」

 なるほど。先読みも必要か。でも武器で攻撃しながら魔法でも攻撃出来ると、便利だしカッコいいよな。サクサクとレベル上げも出来そうだ。

 「早く練習してみたな。所で他の試練は受けたのか?」

 ヒカルは首を横に振る。

 「やっぱり付き合ってくれなかった。まあ、当たり前だけどね」

 当たり前って。テスターの時にやった事で恨まれているからか? あ、でも普通はメル友になったりしないか。俺はしちゃったけど。まあ俺の場合は監視的な意味合いだけど。あ、他の奴もそうだから協力はしないのか?

 「キソナぐらいのチートを手に入れてないと、やっぱり誘っても断られるよ。キソナは、知らないで受けたみたいだけど……」

 「え! ちょっと待て! 考えてみればそうだ! それなのに誘ったのか!」

 二人でやった時は気づかなかったが、一人でやってみてレベルが高くても装備を整えないと、ヒカルのスキルがあってもやばいよな。
 もしかして本当は、俺を嵌めたつもりだった?

 「試練を受けた事ないって知ったのは、クエストを請け負ってからだから。キャンセルしてもお金戻ってこないし……。悪いとは思ったけど。でも強くてびっくりした」

 おいおい。嵌めるつもりではなかったようだけど、二人共死ぬかも知れないってわかっていて何も言わなかったのかよ!

 「しかも瀕死になったらあんなに慌てるなんて……。ギャップが凄くて……。あ、ごめん!」

 俺のジド目に気が付いたのか、ヒカルは慌てて謝った。

 「死んだらレベル下がるから慌てるの当然だよね……」

 怒ってるのそこじゃないし。って俺、よく考えればハズイな。死にそうになって、あたふたしていたって思われているんだもんな。
 何かムカつく。俺の行動見て、心の中で笑っていたんだ!

 「面白かったか? 俺が慌てふためいて! それに俺が偶然強かったから何とかなったんだろう? 俺を殺すつもりだったのかよ!」

 「え! 違う。そうじゃないって! 私、足止めのスキル持ってるし、私もキソナも回復持ってるから何とかなるって採算あったの。私だってレベル下げたくないし!」

 ヒカルは慌てて弁明する。本気で言っているようには見えるが、テスターの時の事もあるし怪しい。

 「でも、他の人は断ったんだろう?」

 「まあね。キソナと同じレベルのドワーフだったからね。魔法防御の装備も買ってないからって。一応回復を持っている人だったけど、ドワーフだと結局戦闘中使えないし……」

 うん? 戦闘中に使えない?

 「ドワーフって回復魔法の使い方に制限があるのか?」

 「え? ……そこからなんだ」

 またヒカルに驚かれた。なんか俺、変な事聞いたのか?

 「全く知らないんだね。あのね、魔法は手が空いてないと発動出来ない事になっているの。ドワーフってメイン武器、両手でしょう? だから回復魔法時は、武器をしまわないといけないから、ドワーフが回復魔法使う時は戦闘終了後だよ」

 「へ~。そうだったんだ」

 俺がヒカルの説明に関心していると、呆れている様子だ。

 「だから断られたの。魔法耐性の装備買ったら連絡くれる事になってる」

 そういう事だったのか。俺は装備は買ってないが、装備していると同じだしな。うん? ちょっと待てよ? 二刀流にしたら魔法使えないんじゃないか?

 『なあ、ピピ。二刀流だと魔法使えないのか?』

 『はい。そのままの状態だと使えません。一つ解除する必要があります。別にしまわずとも、地面に突き立て唱える事も可能です』

 あぁ、なるほど。リアリティーがそういう所で役に立つのか。初めてリアリティーにいい面を見つけたよ。

 「わかってくれた?」

 「まあ、考えてはいたって事はな。でも出来れば次からは、俺が知らなさそうなら説明がほしい。って、知らない俺が悪いのかも知れないけど……」

 「わかったそうするよ」

 ヒカルは、ニッコリ微笑んで頷いた。

 まあ、俺もわがままいってるよな。テスターをしていたら知っている事だったんだからな。

 「俺も悪かったよ。勘違いして……。ごめん」

 「よかったぁ。こっちもごめんね。これからも宜しく」

 「あぁ」

 ヒカルは笑顔でそう言った。

 根はいいやつなのかもな。テスターの時は色々試したくてやったのかも……。

 「所でどこ行く気だったの?」

 「あぁ。双子の丘に……。レベル上げに」

 本当は強さの検証だけどな。

 「そっか。もうそこで戦えるんだ」

 「いや、初めて行くんだ。……一緒に行ってみるか?」

 って、何誘ってるんだ俺は……。あ、でももしかして恵みの雨があれば、俺も魔法の練習できるのか?

 「いいの?」

 俺は頷く。

 「あぁ。ところで、恵みの雨って覚えてる?」

 「勿論。火が付いたら消せるし、敵は足止めするから攻撃与えやすいよ!」

 「よし! じゃ、行こう!」

 ヒカルは頷いた。
 俺もつくづく現金だよなぁ……。

 こうして俺達は、双子の丘に向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

追放された検品係、最弱の蛇に正しく聞いたら鉱脈を掘り当てた ~この世界は精霊の使い方を間違えている~

Lihito
ファンタジー
精霊に「やれ」と言えば動く。この世界の全員がそう信じている。 レイドだけが違った。範囲を絞り、条件を決め、段階的に聞く。それだけで最弱の蛇は誰より正確に答える。——誰にも理解されず、追放された。 たどり着いた鉱山町で、国が雇った上位精霊が鉱脈探査に失敗し続けていた。高性能の鷹が毎回違う答えを返す。 原因は鷹じゃない。聞き方だ。 レイドは蛇一体で名乗り出る。

処理中です...