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古の魔女の願い
第16話~ディルクの言いたかった秘密
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「あ、ごめんね。ディルクは何も悪くない、ね」
ハッとしてリズはディルクに謝るも、彼はとても辛そうな顔をする。
「ディルクよ。辛いなら君もここで懺悔をするか? 私は許可する」
ディルクは、マティアスクのその案に力強く頷いた。
「ちょっと待って! 何を話す気なの? ダメよ!」
「どうして君が止めるの? 何か知って……」
ジェスの問いにリズは、何も言わず俯く。
「オレなんだ……。本当はオレが山に火をつけた……」
「ディルク!」
「え? 君が? いやでも確かその時六歳だよね? 嘘だろう……」
その発言には、リズを除き皆が驚いて彼を見ていた。
ディルクは、事の成り行きをぽつりぽつりと話始める。
☆―☆ ☆―☆ ☆―☆
それは、リズの見習試験前日の事だった――
二人が遊び場にしていた森が、ちょうど迷いの森の反対側にあった。
少し入った森の奥に少し開けた場所があり、そこが二人の秘密の遊び場である。
その日も二人はそこに来ていた。
「リズ姉ちゃん、明日試験受けるんだよね?」
「そうよ」
膝を付き、ディルクに目線を合わせてリズは答えた。
「ディルクも受ける! リズ姉ちゃんと同じぐらい出来るもん!」
「無理なの。言ったでしょう。七歳になる年からじゃないと受けられないの、ね」
「ちぇ……」
ディルクが可愛くむくれると、リズはたまらずギュッと抱きしめる。
「あのね、ディルク。ここに来るのは今日で最後ね。私が、見習いになったらここで一緒に遊べないから、絶対に一人で来てはダメよ。いいわね」
「一人でも大丈夫だもん……」
「危ないわ。熊も出没してるらしいから。お家で待っていて」
リズの言葉にディルクは素直に頷いた。
「でも熊なんて、ディルクがこれで倒してやる!」
ディルクは、右手に火の玉を作った。
「ダメよ! 危ないわ! すぐに消して!」
ちょうどその時だった。森の奥からがさこそと聞こえたのである。
二人は振り返る。今話題に出た熊が、顔を出していた。
「わー!」
一瞬の事だった。驚いたディルクは、熊目掛けて炎を投げつけていた!
そして、パニックになったディルクは、術のコントロールが付かなくなり、数十秒止める事が出来なかった。
それから、わーんわーんと泣き出したのである。
「大丈夫よ。お姉ちゃんが助けるから!」
落ち着かせるため、リズはギュッとディルクを抱きしめる。
だが、火の勢いは凄く、すでに二人は炎に囲まれていた。
リズはそれを見て、自分では火を消せそうもない事を悟った。
「いい。よく聞いて。これだけの炎だから絶対に大人たちが助けに来てくれるわ。だから、それまで頑張りましょう」
ディルクは、泣きながら、うんと頷いた。
「それと、これは私がやった事。ディルクは何もわからないって答えるのよ。いいわね」
「でも……」
「大丈夫。お姉ちゃんに任せて……」
ディルクは、小さく頷いた。
リズは、ディルクを抱きしめたまま、結界を張った。
そして、助け出されるまで結界を張り耐えたのである。
勿論二人は、助け出された後こってりと叱られ、リズが自分でやったと言った事から彼女は一年間見習い試験は受けられず、ディルクと一緒に受ける事になった。
だが、見習いになったリズの様子が変だと気づく。術がうまく使えないのである。
ディルクは、自分のせいでリズが大変な事になったと悩む。周りは自業自得という目で見ているし耐えられなくなっていった。
ディルクは、思い切ってマティアスクに打ち明ける事にする。
「マティアスクさん、オレね。隠していた事があるんだ」
「そうか。何かな?」
こっそりと訪れ、元気なく話す少年に、マティアスクは優しく声を掛ける。
「本当は、山火事の火はオレがつけたんだ! リズ姉ちゃんに止められて本当の事言わなかったんだ。だから、リズ姉ちゃんを助けて! オレ何でもするから! 魔術師になれないらそれでもいいから! リズ姉ちゃんを助けて!」
「今、なんと……。お姉ちゃんを助ける為に嘘をついているわけではないな?」
「違う!」
真剣な目でマティアスクを見るディルクを見て、言っている事は本当かもしれないと思った。
「わかった。信じよう。だが、残念な事にリズアルの魔力の事は、私でもどうする事も出来ない」
「え? そうなの? じゃ、どうすれば……」
愕然とするディルク。
「よく聞くんだ。今更本当の事を言っても、状況が悪くなるだけでよくはならない。だから、リズアルが言ったように他の者には言わない方がいいだろう。それから、君がこれからリズアルを守るんだ。そうしている内に彼女も回復していくだろう」
その言葉に、ディルクは強く頷いた。
「うん。そうする! リズ姉ちゃんを……ううん、リズを守る!」
マティアスクの前でディルクは誓いを立てた。
こうして、今のディルクが出来上がっていったのである――
☆―☆ ☆―☆ ☆―☆
「すまなかった、ディルク。ここまで苦しませるつもりはなかった」
話し終えたディルクに、マティアスクは謝った。
「なんで、マティアスクさんが謝るんだよ……」
「幼い君に大変つらい思いをさせた。まさか、ずっとこのままだとは、私も思わなかったのだ。本来なら真実を公表し、君にも罰を与えるべきだったのかもしれない。だが、あの状況でそれをすれば、二人が傷つくだけだと思った……」
「まさか、マティアスクさんまで加担していたとは。まあ、私でもそうした可能性はありますが。驚いたのは、彼が今まで罪を背負い耐え抜いた事です」
マティアスクも事実を認めると、ソイニは驚いたと語る。
「まさか、マティアスクさんに話していたなんて……」
リズも驚いて、ぼそりと漏らす。
「気が楽になった。なんでも罰は受けるよ……」
「いえ、ここで話した事は公表されません。なにせ、懺悔ですから……」
ソイニの言葉に、パッと皆の顔が明るくなった。
「すまない。ソイニさん。結局君にまで……」
「もう、無効ですよ。それに、辛かったかもしれませんが、彼には自分でやるべき目標が出来た。公表して単に罰を与えるよりよかったと思います。彼が今、魔術師としていられるのは、あなたの判断が正しかったからだと私は思います」
「ありがとう。君にそう言ってもらえると、私もすくわれる」
ソイニは、にっこり頷いた。
ハッとしてリズはディルクに謝るも、彼はとても辛そうな顔をする。
「ディルクよ。辛いなら君もここで懺悔をするか? 私は許可する」
ディルクは、マティアスクのその案に力強く頷いた。
「ちょっと待って! 何を話す気なの? ダメよ!」
「どうして君が止めるの? 何か知って……」
ジェスの問いにリズは、何も言わず俯く。
「オレなんだ……。本当はオレが山に火をつけた……」
「ディルク!」
「え? 君が? いやでも確かその時六歳だよね? 嘘だろう……」
その発言には、リズを除き皆が驚いて彼を見ていた。
ディルクは、事の成り行きをぽつりぽつりと話始める。
☆―☆ ☆―☆ ☆―☆
それは、リズの見習試験前日の事だった――
二人が遊び場にしていた森が、ちょうど迷いの森の反対側にあった。
少し入った森の奥に少し開けた場所があり、そこが二人の秘密の遊び場である。
その日も二人はそこに来ていた。
「リズ姉ちゃん、明日試験受けるんだよね?」
「そうよ」
膝を付き、ディルクに目線を合わせてリズは答えた。
「ディルクも受ける! リズ姉ちゃんと同じぐらい出来るもん!」
「無理なの。言ったでしょう。七歳になる年からじゃないと受けられないの、ね」
「ちぇ……」
ディルクが可愛くむくれると、リズはたまらずギュッと抱きしめる。
「あのね、ディルク。ここに来るのは今日で最後ね。私が、見習いになったらここで一緒に遊べないから、絶対に一人で来てはダメよ。いいわね」
「一人でも大丈夫だもん……」
「危ないわ。熊も出没してるらしいから。お家で待っていて」
リズの言葉にディルクは素直に頷いた。
「でも熊なんて、ディルクがこれで倒してやる!」
ディルクは、右手に火の玉を作った。
「ダメよ! 危ないわ! すぐに消して!」
ちょうどその時だった。森の奥からがさこそと聞こえたのである。
二人は振り返る。今話題に出た熊が、顔を出していた。
「わー!」
一瞬の事だった。驚いたディルクは、熊目掛けて炎を投げつけていた!
そして、パニックになったディルクは、術のコントロールが付かなくなり、数十秒止める事が出来なかった。
それから、わーんわーんと泣き出したのである。
「大丈夫よ。お姉ちゃんが助けるから!」
落ち着かせるため、リズはギュッとディルクを抱きしめる。
だが、火の勢いは凄く、すでに二人は炎に囲まれていた。
リズはそれを見て、自分では火を消せそうもない事を悟った。
「いい。よく聞いて。これだけの炎だから絶対に大人たちが助けに来てくれるわ。だから、それまで頑張りましょう」
ディルクは、泣きながら、うんと頷いた。
「それと、これは私がやった事。ディルクは何もわからないって答えるのよ。いいわね」
「でも……」
「大丈夫。お姉ちゃんに任せて……」
ディルクは、小さく頷いた。
リズは、ディルクを抱きしめたまま、結界を張った。
そして、助け出されるまで結界を張り耐えたのである。
勿論二人は、助け出された後こってりと叱られ、リズが自分でやったと言った事から彼女は一年間見習い試験は受けられず、ディルクと一緒に受ける事になった。
だが、見習いになったリズの様子が変だと気づく。術がうまく使えないのである。
ディルクは、自分のせいでリズが大変な事になったと悩む。周りは自業自得という目で見ているし耐えられなくなっていった。
ディルクは、思い切ってマティアスクに打ち明ける事にする。
「マティアスクさん、オレね。隠していた事があるんだ」
「そうか。何かな?」
こっそりと訪れ、元気なく話す少年に、マティアスクは優しく声を掛ける。
「本当は、山火事の火はオレがつけたんだ! リズ姉ちゃんに止められて本当の事言わなかったんだ。だから、リズ姉ちゃんを助けて! オレ何でもするから! 魔術師になれないらそれでもいいから! リズ姉ちゃんを助けて!」
「今、なんと……。お姉ちゃんを助ける為に嘘をついているわけではないな?」
「違う!」
真剣な目でマティアスクを見るディルクを見て、言っている事は本当かもしれないと思った。
「わかった。信じよう。だが、残念な事にリズアルの魔力の事は、私でもどうする事も出来ない」
「え? そうなの? じゃ、どうすれば……」
愕然とするディルク。
「よく聞くんだ。今更本当の事を言っても、状況が悪くなるだけでよくはならない。だから、リズアルが言ったように他の者には言わない方がいいだろう。それから、君がこれからリズアルを守るんだ。そうしている内に彼女も回復していくだろう」
その言葉に、ディルクは強く頷いた。
「うん。そうする! リズ姉ちゃんを……ううん、リズを守る!」
マティアスクの前でディルクは誓いを立てた。
こうして、今のディルクが出来上がっていったのである――
☆―☆ ☆―☆ ☆―☆
「すまなかった、ディルク。ここまで苦しませるつもりはなかった」
話し終えたディルクに、マティアスクは謝った。
「なんで、マティアスクさんが謝るんだよ……」
「幼い君に大変つらい思いをさせた。まさか、ずっとこのままだとは、私も思わなかったのだ。本来なら真実を公表し、君にも罰を与えるべきだったのかもしれない。だが、あの状況でそれをすれば、二人が傷つくだけだと思った……」
「まさか、マティアスクさんまで加担していたとは。まあ、私でもそうした可能性はありますが。驚いたのは、彼が今まで罪を背負い耐え抜いた事です」
マティアスクも事実を認めると、ソイニは驚いたと語る。
「まさか、マティアスクさんに話していたなんて……」
リズも驚いて、ぼそりと漏らす。
「気が楽になった。なんでも罰は受けるよ……」
「いえ、ここで話した事は公表されません。なにせ、懺悔ですから……」
ソイニの言葉に、パッと皆の顔が明るくなった。
「すまない。ソイニさん。結局君にまで……」
「もう、無効ですよ。それに、辛かったかもしれませんが、彼には自分でやるべき目標が出来た。公表して単に罰を与えるよりよかったと思います。彼が今、魔術師としていられるのは、あなたの判断が正しかったからだと私は思います」
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