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エピローグ 2
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パーン。パーン。
祝う花火が打ち上げられた。
あれから三か月経ち、今日は今まで聖女と精霊を労うお祭りだ。
あちこちで聖女によるパレードが行われる予定で、王都でもそれは行われる。
王であるイグナシオと枢機卿であるアルデンが、祝辞を述べ賑やかに始まった。
ランゼーヌ達も王宮の外に出て、他の人達に交じりパレードを見学する。
王都のパレードは、王宮から聖女が乗る馬車が出発し、グルっと回って王宮に戻って来るコースだ。
歓声の中、王宮から聖女が乗った馬車が出てくる。
「凄いわ。人がいっぱいで馬車が見えないわ」
「そうですね。聖女は殆どの人が目にする事がありませんから、最後ですし一目見ようと集まったのでしょう」
クレイが言う言葉に、ランゼーヌがそうねと頷いていると、更に歓声が沸く。
王宮から精霊が流れる様に広がっていく。七色に光る波の様だ。
「わぁ。なんですかこれ? これ全部精霊なんですか?」
「え? 見えるの?」
「はい!」
リラの言葉に驚くランゼーヌだが、周りもリラの様な様子を見せていた。
『ピュラーア様の指示で、見える様になって遠くへ飛んでいるだけだけどな』
「そうなのね」
精霊樹から流れ出た精霊が、浄化しているという事をパレードに集まった人々に見せたのだ。聖女がいなくても問題ないとアピールする為の策。
アルデンが、今精霊達が浄化していると伝えれば、更に周りが騒がしくなった。
この日から三日間、いろんな催しが行われる予定で、聖女達の宴は一週間後に行われる。
◇
「何だか懐かしいわ」
聖女達の宴が行われた次の日にランゼーヌは、自宅へと帰って来た。
クレイも一緒で、先に降りた彼は手を差し伸べる。その手を取りランゼーヌは馬車を降りた。
「おかえりなさいませ、主様」
出迎えてくれたパラーグが嬉しそうだ。
「お久しぶりね、パラーグ。ところで主様とは?」
そう言いながら、クレイの事かとチラッと彼を見た。
「ランゼーヌ様の事でございます。おかえりをお待ちしておりました」
「え? 私?」
「はい。この屋敷は、ワンラーア邸でございます」
「どういう事?」
「中でご説明申し上げますので、こちらへ」
驚くランゼーヌ達をパラーグは、屋敷の中へと案内する。
ランゼーヌは、更に驚いた。お金がなく改修する事も出来なかったはずなのに、壁がきれいになっている。
(ど、どういう事?)
「ここって、アーブリー様の部屋だったのでは!?」
通された部屋は、リビングに直されていた。
「元に戻しました。今、お茶をいれますのでお休みください」
「そ、そう……。ありがとう」
新調したソファーに腰を下ろしたランゼーヌは、座りながら辺りを見渡す。
(自分の家ではないみたい)
クレイもソファーに座り見渡しているが、彼は屋敷に入ったのが初めてなので見渡しているだけだ。
「まず事の顛末をお話しします」
お茶をテーブルに置いたパラーグは、アルデン達が訪ねて来た事を話し、モンドが国外追放となり屋敷をいや、国を出て行った事を告げた。
「ネビューラ家の借金は、廃爵と共に消滅致しました。そして、国からの補助が出まして、屋敷の改修が行われたのです。また廃爵と同時に、アーブリー様が連れて来た使用人が解雇となった為、勝手ながら新しい使用人の手配を致しました。私共数名は、国の計らいでこのままワンラーア男爵家の下で働く事が出来ました」
「………」
ランゼーヌは、思ってもみなかった事に驚いて言葉がでない。
「え? じゃ、お父様達はいないの?」
「おりません。心配はいりません。国を出されましたが、アーブリー様のご実家に身を寄せている事でしょう。しかし、平民として行ったので肩身の狭い思いをしているとは思いますが」
まさか、最初から偽造がバレていて処罰されていたとは思わなかった。しかも、こっそりと屋敷の改修まで行っていたとは。お礼を言いに行きたいが、ただの男爵が行ったところで会えないだろう。
「それと、旦那様になるクレイ様のお部屋もご用意しております」
「え? 私ですか!?」
「はい。精霊の騎士の仕事がなくなり、この地域での仕事になると連絡を受けております」
アルデンの配慮で、クレイは、少し給料は下がるがこの地域へと配属になった。もちろん、実家から通うつもりでいたのだが。
「これってもう、結婚しちゃえって事ですね!」
リラが嬉しそうに言うと、二人は顔を真っ赤にする。
リラもランゼーヌの侍女として、一緒に屋敷に戻って来た。
「と、とりあえずは、実家に戻り色々報告します。できれば、私もこちらから通いたい……」
父親と折り合いがつかないクレイは、できれば家に戻りたくないのだ。
「はい。大歓迎です」
「ありがとうございます」
「あ、そうだわ! 一緒に枢機卿の所に行きましょう」
「え!?」
結婚届を出しに行こうと言われ、クレイは驚く。
直接会えれば、お礼が言えるとランゼーヌは、ふと思ったのだ。
その後、本当に二人でアルデンに会いに行った。
「おめでとうございます。お二人とも」
「「ありがとうございます」」
結局アルデンは、枢機卿という立場のままだ。
聖女はいなくなったが、聖女協会はイグナシオの一言でそのまま継続になった。
イグナシオ曰く、アルデンが枢機卿でなくなると、色々なしわ寄せがすべて自分に来ると言う事だ。
「あの、色々な計らいありがとうございました」
「私ではなく、陛下が行った事です。お言葉はお伝えしておきますね」
「はい、本当にお世話になりました」
「私も最後に聖女の騎士にさせて頂き感謝しております。またその後の配慮もありがとうございます」
「お二人なら上手くいきそうですね」
嬉しそうに去っていく二人をアルデンと近くの影から見送るイグナシオ。
「陛下、そういう真似はおやめください」
「見納めだ。これくらいいいだろう」
「色々収まってよかったですね」
「あぁ、そうだな」
二人もまた、部屋を出て行くのだった――。
祝う花火が打ち上げられた。
あれから三か月経ち、今日は今まで聖女と精霊を労うお祭りだ。
あちこちで聖女によるパレードが行われる予定で、王都でもそれは行われる。
王であるイグナシオと枢機卿であるアルデンが、祝辞を述べ賑やかに始まった。
ランゼーヌ達も王宮の外に出て、他の人達に交じりパレードを見学する。
王都のパレードは、王宮から聖女が乗る馬車が出発し、グルっと回って王宮に戻って来るコースだ。
歓声の中、王宮から聖女が乗った馬車が出てくる。
「凄いわ。人がいっぱいで馬車が見えないわ」
「そうですね。聖女は殆どの人が目にする事がありませんから、最後ですし一目見ようと集まったのでしょう」
クレイが言う言葉に、ランゼーヌがそうねと頷いていると、更に歓声が沸く。
王宮から精霊が流れる様に広がっていく。七色に光る波の様だ。
「わぁ。なんですかこれ? これ全部精霊なんですか?」
「え? 見えるの?」
「はい!」
リラの言葉に驚くランゼーヌだが、周りもリラの様な様子を見せていた。
『ピュラーア様の指示で、見える様になって遠くへ飛んでいるだけだけどな』
「そうなのね」
精霊樹から流れ出た精霊が、浄化しているという事をパレードに集まった人々に見せたのだ。聖女がいなくても問題ないとアピールする為の策。
アルデンが、今精霊達が浄化していると伝えれば、更に周りが騒がしくなった。
この日から三日間、いろんな催しが行われる予定で、聖女達の宴は一週間後に行われる。
◇
「何だか懐かしいわ」
聖女達の宴が行われた次の日にランゼーヌは、自宅へと帰って来た。
クレイも一緒で、先に降りた彼は手を差し伸べる。その手を取りランゼーヌは馬車を降りた。
「おかえりなさいませ、主様」
出迎えてくれたパラーグが嬉しそうだ。
「お久しぶりね、パラーグ。ところで主様とは?」
そう言いながら、クレイの事かとチラッと彼を見た。
「ランゼーヌ様の事でございます。おかえりをお待ちしておりました」
「え? 私?」
「はい。この屋敷は、ワンラーア邸でございます」
「どういう事?」
「中でご説明申し上げますので、こちらへ」
驚くランゼーヌ達をパラーグは、屋敷の中へと案内する。
ランゼーヌは、更に驚いた。お金がなく改修する事も出来なかったはずなのに、壁がきれいになっている。
(ど、どういう事?)
「ここって、アーブリー様の部屋だったのでは!?」
通された部屋は、リビングに直されていた。
「元に戻しました。今、お茶をいれますのでお休みください」
「そ、そう……。ありがとう」
新調したソファーに腰を下ろしたランゼーヌは、座りながら辺りを見渡す。
(自分の家ではないみたい)
クレイもソファーに座り見渡しているが、彼は屋敷に入ったのが初めてなので見渡しているだけだ。
「まず事の顛末をお話しします」
お茶をテーブルに置いたパラーグは、アルデン達が訪ねて来た事を話し、モンドが国外追放となり屋敷をいや、国を出て行った事を告げた。
「ネビューラ家の借金は、廃爵と共に消滅致しました。そして、国からの補助が出まして、屋敷の改修が行われたのです。また廃爵と同時に、アーブリー様が連れて来た使用人が解雇となった為、勝手ながら新しい使用人の手配を致しました。私共数名は、国の計らいでこのままワンラーア男爵家の下で働く事が出来ました」
「………」
ランゼーヌは、思ってもみなかった事に驚いて言葉がでない。
「え? じゃ、お父様達はいないの?」
「おりません。心配はいりません。国を出されましたが、アーブリー様のご実家に身を寄せている事でしょう。しかし、平民として行ったので肩身の狭い思いをしているとは思いますが」
まさか、最初から偽造がバレていて処罰されていたとは思わなかった。しかも、こっそりと屋敷の改修まで行っていたとは。お礼を言いに行きたいが、ただの男爵が行ったところで会えないだろう。
「それと、旦那様になるクレイ様のお部屋もご用意しております」
「え? 私ですか!?」
「はい。精霊の騎士の仕事がなくなり、この地域での仕事になると連絡を受けております」
アルデンの配慮で、クレイは、少し給料は下がるがこの地域へと配属になった。もちろん、実家から通うつもりでいたのだが。
「これってもう、結婚しちゃえって事ですね!」
リラが嬉しそうに言うと、二人は顔を真っ赤にする。
リラもランゼーヌの侍女として、一緒に屋敷に戻って来た。
「と、とりあえずは、実家に戻り色々報告します。できれば、私もこちらから通いたい……」
父親と折り合いがつかないクレイは、できれば家に戻りたくないのだ。
「はい。大歓迎です」
「ありがとうございます」
「あ、そうだわ! 一緒に枢機卿の所に行きましょう」
「え!?」
結婚届を出しに行こうと言われ、クレイは驚く。
直接会えれば、お礼が言えるとランゼーヌは、ふと思ったのだ。
その後、本当に二人でアルデンに会いに行った。
「おめでとうございます。お二人とも」
「「ありがとうございます」」
結局アルデンは、枢機卿という立場のままだ。
聖女はいなくなったが、聖女協会はイグナシオの一言でそのまま継続になった。
イグナシオ曰く、アルデンが枢機卿でなくなると、色々なしわ寄せがすべて自分に来ると言う事だ。
「あの、色々な計らいありがとうございました」
「私ではなく、陛下が行った事です。お言葉はお伝えしておきますね」
「はい、本当にお世話になりました」
「私も最後に聖女の騎士にさせて頂き感謝しております。またその後の配慮もありがとうございます」
「お二人なら上手くいきそうですね」
嬉しそうに去っていく二人をアルデンと近くの影から見送るイグナシオ。
「陛下、そういう真似はおやめください」
「見納めだ。これくらいいいだろう」
「色々収まってよかったですね」
「あぁ、そうだな」
二人もまた、部屋を出て行くのだった――。
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