魔法使いじゃないから!

すみ 小桜(sumitan)

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『レベル2―これはパフォーマンスではない!―』

―2―

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 僕は、学校が始まって最初の日に学校に行っただけで、その週を休んでしまった。お陰でなんとなく、取り残された感じだ。同じ中学の人は、クラスの中にはいなかった。なのでお昼はポツンと独りぼっち。まあ別にいいんだけどさ。

 「ねえ、審くん。ごはん一緒に食べない?」

 お母さんが作ってくれた弁当を食べようと、机の上に出した所にそう声が掛かり、僕は顔を上げた。

 長い胸まであるストレートの髪を耳より上を半分縛り、大きな赤いリボンを付けている。アニメに出て来る女の子のように、大きな赤いリボン。――今時いないよね。こういうでっかいリボンの人。

 つい僕は、リボンに見惚れてしまった!

 「だめ?」
 「え? あ? はい……」

 はいって言ってしまっていた。だって目が怖い。なんか『逃がさない』って目つきで。っというか、僕はこの人の名前すら知らないんですが……。

 「じゃ、こっち!」

 ガシッと腕を掴まれ引っ張るので、慌ててお弁当を掴む。って、お昼食べるんだよね? なんで教室の外に行くんだよ! ――って、直接聞けない僕って情けない。

 彼女は、ぐいぐいと僕を引っ張り上の階へ。一年生の教室は三階なので、四階に行くのかと思ったら更に上の階へ。いや、その上は屋上だ!

 ど、ど、どんなシチュエーションだ! わざわざ屋上で二人っきりでって。もしかして、こ、告白……?!

 「連れて来たわよー」

 彼女は、屋上のドアを開けると同時にそう言った。――あぁ、二人っきりじゃなかったのか……。
 待っていたのは、女子じゃなく男子だった。それも見たことがあるヤツ。同じ中学だったが、一度も一緒のクラスになった事はなかったと思うけど。連れて来たって言ったぐらいだから、この人が僕に用事あるんだよな?

 「えっと……」
 「俺の事知ってる? 同じ中学だった大場おおば幸映ゆきはる。彼女は、同志の二色にしき愛音あまね。で、俺達、新しい部を作ろうと思ってるんだ」

 唐突に自己紹介から本題に入った。って、これ部活の勧誘かよ!
 なんの部なんだ? 確か『どうし』って言ったよな? 同市? 市に関係する部なのか?

 「お前さ、雨の中、杖振っていただろ? それで……」
 「え! いや、知らない! 人違いだって!」

 大場がいきなり核心をつくような事を言ってきたから、慌てて言い訳をするしかない! あれをもしかして見られていたのか?
 いや、学校の近くだったから見られていても不思議ではないかもしれないが……。って、これ噂になったりしてないよな? だから誰も近づかなかったとか……。
 敬遠されてる理由がそれなら、悲しすぎる。

 「それって、噂になっているのか?」
 「なってたぜ! うちの生徒が杖を振り回して叫んでたってな!」

 やっぱり! 終わった。卒業までぼっち確定だ!

 「でもまあ、俺以外、お前だって気付いてないけどな!」
 「気づいていない?」

 大場は、そうだと頷いた。
 取りあえず助かった! って、何故わざわざこんな所で、そんな話を……。――恐喝!

 「僕、お金持ってないから……」

 そう言って、僕は一歩後ろに下がる。
 二人は顔を見合わせると、大笑いを始めた。
 ち、違ったみたいだ。そう言えば、部活の勧誘だったっけ? だが、考えても杖を振っていた話と部活の勧誘の話は繋がらない。

 「そうじゃなくて、俺達もそっち側って事」

 笑いは収まったが、まだお腹を押さえたまま大場はにっこりほほ笑んでそう言った。
 そっち側って、どっち側だよ! こいつも『杖』を貰った仲間って事なのか?
 困惑した顔の僕を覗き込む様に二色さんは、顔を近づけて来た。

 「私達も魔法使いっ子、大好きなのよ! 今までは隠れて楽しんでいたんだけど、あなたの話を聞いて吹っ切れたわ! 部活と言う名の元、堂々と楽しもうって! ね!」

 二色さんは、すごい事を言い出した! あの恥ずかしい行為を部活としてやろうと言ってきた! いやいや、それはないから! しかし、好きでもなければ、杖を振り回してあんな事はしないと思うだろう。――どうしたらいいんだ!

 「誤解だから! 僕、別に魔法使いになりたかった訳じゃなくて、仕方なくやっただけだし……」
 「じゃ、誰かに脅されてやったのか?」

 困った顔をして話したからか大場はそう取ったようだけど、ある意味間違いではないかも。

 「って、言うか、モンスターが……」

 そこで、僕はハッとする。彼にはそれは見えていなかったはず。――これ、説明無理じゃないか? 兎に角、杖を振り回した事は置いておいて、断ろう!

 「悪いけど僕、どこの部にも入る気ないから、ごめん」
 「へぇ。そういう事言うんだ」

 大場はそう言って、徐にポケットからスマホを取り出し操作する。そして、画面を僕に向けた。
 そこには、雨の中で杖を振る僕の姿があった! ――これだって、恐喝じゃないかぁ!
 僕は、心の中で叫んだ。
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