17 / 55
『レベル4―僕らは桜舞う中で杖を振るう―』
―2―
しおりを挟む
話は少し遡る――ミーラさんは突然、髪を黒くし転校生杖野ミラとして僕の前に現れた! そして、言う無も言わせずにペン型にした杖を僕の胸ポケットに入れた。先日、杖を小さくすると持ち帰ったモノだ。
受け取る気はない。そう、なかったのに!
このままだと、杖のレベル上げを引き受けた事になる……。
いや勝手にポケットに入れられただけだし!
人目がある為、帰りに文句を言おうと思ったが部活があった。
『かそう部』――この部は、趣味全開! 魔女っ子大好きの大場幸映と同じクラスの二色愛音さんがエンジョイする為に作った部だ!
僕はその部の部長だ。やりたくないがやらされた! そしてミーラさんは、部員になった。
そういう訳で早速、部室で自己紹介や部の説明を……って、何をどう説明すればいいのやら。僕自身、何をする部なのかわからないでいた。
取りあえず三人は、魔法使いの話で盛り上がっている。
そして大場と二色さんは、今日は用事があるからと二人仲良く帰って行った。――二人ってもしかして付き合っているのだろうか?
いやそんな事を今は気にしている場合じゃない!
ミーラさんに声を掛けようとすると、逆に彼女から声を掛けられた。
「話があるの」
僕にも用事があった。杖を返却しなくてはならない。
僕は頷いた。
「その杖だけど元の大きさに戻すのには、キーワードを設定する必要があって。それは七生くんが手に持って一番最初に言った言葉なんだって! で、小さい状態にするのには、その言葉を逆から言うと今のサイズに戻るらしいよ……」
ミーラさんは、僕が頷くと同時に話し出す。
僕は、あんぐりと口を開いて驚いた。
せっかちに話し出したのもそうだが、内容にも驚いた!
「ちょっと待って! これ受け取ったんじゃなくて、押し付けたよね? いやその前にその条件だったら、知らずに杖を手にして何か呟いていたらどうするところだったんだよ!」
「あ、そう言えばそうだね。でも師匠に言われた通りしたんだけどなぁ」
ミーラさんは、僕に言われて気が付いたようだ。相変わらず何も考えずに行動している。
せめて、杖に触れないでとか一言いってくれよ……。
知らんぷりを決めて触らなくてよかった!
僕は、安堵のため息をつく。
「決まった?」
「何が?」
「だから、杖を大きくする言葉!」
そんなすぐに思いつくかよ! 小さくする時には反対から言わなくちゃいけないんだろう? 忘れない言葉であまり使わない言葉だよな。
僕は、うーんと考えて、ハッとする。
いや、違うだろう! 杖を返すんだ!
「ちょっと待って! 僕、受け取るとは言ってない! 報酬も聞いていないし!」
「杖がレベルアップして、形態が変わったらお金を差し上げますだって」
形態ってどれくらい上がったら変わるんだよ……。じゃなくて、どんな報酬も断るんだった!
「いやお金いらないし!」
「あ、ダメ!」
僕がそう言って杖に触れようとすると、ミーラさんは慌てて叫んだ。
「なんだよ」
「杖を掴んだまま何か発してしまったらそれが登録されちゃうから、決まってから触らせるように言われているの!」
「あのな。僕は断ったんだけど!」
「でも私、それがレベルアップして形態が変わらないと、元の世界に帰れないの! お願い引き受けて!」
なんですとー!
どっちも嫌なんですが!
ミーラさんなら帰れと言っても帰らないだろうなぁ。そして、強引にモンスター召喚するんだろうなぁ……。
う、受けるしかないのか?
くそ! あの師匠め!
「一つ聞くけど、どれくらいのレベルで形態って変わるんだ?」
「さあ? 何も言ってなかった」
可愛く首を傾げるミーラさん。――可愛く傾げたって駄目だろう! 恐ろしくレベルを上げなくちゃいけなかったらどうするんだよ!
「あぁ、もう! わかったよ! だけど一つだけ約束してほしい。勝手にモンスターを召喚はしない事!」
「はーい」
僕の条件にニッコリと嬉しそうに、ミーラさんは返事をした。本当にわかっているんだろうか? 悔しいが僕が折れるしかない。
さて、杖を大きくする言葉はどうしようかな。
「決まった?」
「まだ。短すぎても何かの拍子に触っていて大きくなったら困るし、長すぎると小さくする時に、訳がわからなくなる。もし万が一、周りに人がいて聞かれても大丈夫な言葉がいいんだよ」
「わがままだね!」
「ミーラさんだけには言われたくないよ!」
つい怒鳴ってしまった。ここは部室だ。あまり大きな声を出すと外に聞こえ、先生が来るかもしれない。なにせ、職員室の横にあった道具置き場を部室にしたのだから。
これ絶対、監視下に置かれていると思うんだけど。部が認定されれば何でもOKな二人は大喜びだっだけどね。
「ねえ、自分の氏名は?」
珍しくミーラさんが提案してきた。なるほど。そう言うのもありかな?
「あきらなお。お……な……ら……! 却下だ!!」
ミーラさんは、お腹を抱えて笑っている!
なんて奴だ!!
さっさと杖のレベルを上げて、向こうの世界に帰してやる!
僕は深呼吸する。
お、落ち着こう。
さて、どうしようか。……そうだ。回文とかどうだろうか? 『しんぶんし』みたいに反対から読んでも同じ言葉になるやつ!
これなら大きくする時も小さくする時も同じ言葉になる!
問題は、何にするかだよな。変な言葉だと注目されるかもしれないし……いや、杖を使う時点で注目をされるのか? ――深くそこは考えないようにしよう!
僕は考えた抜いて決まった言葉を杖を握りしめ発する。
「るすになにする!」
「何それ?」
ミーラさんはそのセリフに驚くも、杖は大きくなった。
「すご。本当に大きくなった!」
僕は、本当に杖が戻った事に驚く。じゃ、もう一度。
「るすになにする!」
杖は、シュッと小さくなり、僕の手のひらに収まる。ペン型の杖に戻った。
「え? 同じ言葉?」
「回文って言うんだ。前からでも後ろからでも同じ言葉になるんだ」
「へえ、なるほど! でもチョイスはいまいちだね」
「うるさい!」
知っている言葉はそんなになかったんだ! 後知っているのは、『しんぶんし』に『わたし負けましたわ』だけだった。――負けたなんて呪文にしたくない!
そして家に帰ってから気づいたが、別にあの場で決めなくてもよかった。色々調べてからでも問題がなかった。急かされてその場で決めた事が悔やまれる。
どうしてもミーラさんのペースに乗せられてしまうんだよなぁ。
はぁ……。
僕は、ミーラさんと出会ってから多くなったため息の数をまた更新するのであった。
受け取る気はない。そう、なかったのに!
このままだと、杖のレベル上げを引き受けた事になる……。
いや勝手にポケットに入れられただけだし!
人目がある為、帰りに文句を言おうと思ったが部活があった。
『かそう部』――この部は、趣味全開! 魔女っ子大好きの大場幸映と同じクラスの二色愛音さんがエンジョイする為に作った部だ!
僕はその部の部長だ。やりたくないがやらされた! そしてミーラさんは、部員になった。
そういう訳で早速、部室で自己紹介や部の説明を……って、何をどう説明すればいいのやら。僕自身、何をする部なのかわからないでいた。
取りあえず三人は、魔法使いの話で盛り上がっている。
そして大場と二色さんは、今日は用事があるからと二人仲良く帰って行った。――二人ってもしかして付き合っているのだろうか?
いやそんな事を今は気にしている場合じゃない!
ミーラさんに声を掛けようとすると、逆に彼女から声を掛けられた。
「話があるの」
僕にも用事があった。杖を返却しなくてはならない。
僕は頷いた。
「その杖だけど元の大きさに戻すのには、キーワードを設定する必要があって。それは七生くんが手に持って一番最初に言った言葉なんだって! で、小さい状態にするのには、その言葉を逆から言うと今のサイズに戻るらしいよ……」
ミーラさんは、僕が頷くと同時に話し出す。
僕は、あんぐりと口を開いて驚いた。
せっかちに話し出したのもそうだが、内容にも驚いた!
「ちょっと待って! これ受け取ったんじゃなくて、押し付けたよね? いやその前にその条件だったら、知らずに杖を手にして何か呟いていたらどうするところだったんだよ!」
「あ、そう言えばそうだね。でも師匠に言われた通りしたんだけどなぁ」
ミーラさんは、僕に言われて気が付いたようだ。相変わらず何も考えずに行動している。
せめて、杖に触れないでとか一言いってくれよ……。
知らんぷりを決めて触らなくてよかった!
僕は、安堵のため息をつく。
「決まった?」
「何が?」
「だから、杖を大きくする言葉!」
そんなすぐに思いつくかよ! 小さくする時には反対から言わなくちゃいけないんだろう? 忘れない言葉であまり使わない言葉だよな。
僕は、うーんと考えて、ハッとする。
いや、違うだろう! 杖を返すんだ!
「ちょっと待って! 僕、受け取るとは言ってない! 報酬も聞いていないし!」
「杖がレベルアップして、形態が変わったらお金を差し上げますだって」
形態ってどれくらい上がったら変わるんだよ……。じゃなくて、どんな報酬も断るんだった!
「いやお金いらないし!」
「あ、ダメ!」
僕がそう言って杖に触れようとすると、ミーラさんは慌てて叫んだ。
「なんだよ」
「杖を掴んだまま何か発してしまったらそれが登録されちゃうから、決まってから触らせるように言われているの!」
「あのな。僕は断ったんだけど!」
「でも私、それがレベルアップして形態が変わらないと、元の世界に帰れないの! お願い引き受けて!」
なんですとー!
どっちも嫌なんですが!
ミーラさんなら帰れと言っても帰らないだろうなぁ。そして、強引にモンスター召喚するんだろうなぁ……。
う、受けるしかないのか?
くそ! あの師匠め!
「一つ聞くけど、どれくらいのレベルで形態って変わるんだ?」
「さあ? 何も言ってなかった」
可愛く首を傾げるミーラさん。――可愛く傾げたって駄目だろう! 恐ろしくレベルを上げなくちゃいけなかったらどうするんだよ!
「あぁ、もう! わかったよ! だけど一つだけ約束してほしい。勝手にモンスターを召喚はしない事!」
「はーい」
僕の条件にニッコリと嬉しそうに、ミーラさんは返事をした。本当にわかっているんだろうか? 悔しいが僕が折れるしかない。
さて、杖を大きくする言葉はどうしようかな。
「決まった?」
「まだ。短すぎても何かの拍子に触っていて大きくなったら困るし、長すぎると小さくする時に、訳がわからなくなる。もし万が一、周りに人がいて聞かれても大丈夫な言葉がいいんだよ」
「わがままだね!」
「ミーラさんだけには言われたくないよ!」
つい怒鳴ってしまった。ここは部室だ。あまり大きな声を出すと外に聞こえ、先生が来るかもしれない。なにせ、職員室の横にあった道具置き場を部室にしたのだから。
これ絶対、監視下に置かれていると思うんだけど。部が認定されれば何でもOKな二人は大喜びだっだけどね。
「ねえ、自分の氏名は?」
珍しくミーラさんが提案してきた。なるほど。そう言うのもありかな?
「あきらなお。お……な……ら……! 却下だ!!」
ミーラさんは、お腹を抱えて笑っている!
なんて奴だ!!
さっさと杖のレベルを上げて、向こうの世界に帰してやる!
僕は深呼吸する。
お、落ち着こう。
さて、どうしようか。……そうだ。回文とかどうだろうか? 『しんぶんし』みたいに反対から読んでも同じ言葉になるやつ!
これなら大きくする時も小さくする時も同じ言葉になる!
問題は、何にするかだよな。変な言葉だと注目されるかもしれないし……いや、杖を使う時点で注目をされるのか? ――深くそこは考えないようにしよう!
僕は考えた抜いて決まった言葉を杖を握りしめ発する。
「るすになにする!」
「何それ?」
ミーラさんはそのセリフに驚くも、杖は大きくなった。
「すご。本当に大きくなった!」
僕は、本当に杖が戻った事に驚く。じゃ、もう一度。
「るすになにする!」
杖は、シュッと小さくなり、僕の手のひらに収まる。ペン型の杖に戻った。
「え? 同じ言葉?」
「回文って言うんだ。前からでも後ろからでも同じ言葉になるんだ」
「へえ、なるほど! でもチョイスはいまいちだね」
「うるさい!」
知っている言葉はそんなになかったんだ! 後知っているのは、『しんぶんし』に『わたし負けましたわ』だけだった。――負けたなんて呪文にしたくない!
そして家に帰ってから気づいたが、別にあの場で決めなくてもよかった。色々調べてからでも問題がなかった。急かされてその場で決めた事が悔やまれる。
どうしてもミーラさんのペースに乗せられてしまうんだよなぁ。
はぁ……。
僕は、ミーラさんと出会ってから多くなったため息の数をまた更新するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる