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第2章 騎士の正体
第13話
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「何も話さないって……。あなたは、自分の立場をわかっていますか?」
静かだが、少し低い声で言われリーフはビクッと体を震わす。
不正をして手に入れた魔術師証という事になり、突き出されれば魔術師証は撤回され、罰が科せられるだろう。
チラッとリーフがアージェの様子を伺えば、ジッと探るようにリーフを見ていた。それは、自分が思っている敵かもしれないという相手の目でないような気がした。
「あの……」
とんとんとん。
やっぱり話そうかなとリーフが口を開きかけた時、ドアがノックされた。
「はい」
「俺だ」
「開いております」
「失礼する」
俺だという台詞だけでわかる相手。つまり親しい仲だという事だ。
誰が入って来るのかと人物をリーフが伺っていると、驚く人物が入って来た。オルソだ!
リーフは慌てて顔を伏せた。
(僕をどうするつもり?)
アージェは、オルソを呼び寄せていた!
「彼は?」
「例の犬です。やはり魔獣でした」
だがオルソは、リーフより横にいたヘリムに興味があるようだった。
リーフは、何だがか体の力が抜けた。
入って来たのはオルソだけではなく、もう一人四十代ぐらいの騎士も一緒だった。彼は、青磁色の髪に薄緑の服だが騎士というよりは、アージェの様に研究者っぽい服だった。
「本当に魔獣だったか。で、何故この姿に?」
「封印が解けたようです。解いたのは、彼のようなのですが……」
オルソの質問にアージェは、リーフを見て答えた。
リーフは、伏せたまま視線を泳がせる。
「そう怖がらなくてもよい。俺はオルソ。彼はフランクだ。フランクは、アージェと一緒で研究者でもある」
研究者だったかと、リーフは心の中で納得する。
「さてまずは、団長にご報告だな」
「その方がよいでしょう」
オルソが言うと、フランクが肯定で返す。
「申し訳ありません。まさかこの様な事態になるとは思わずに。リボンに触れない様に言っておくのを忘れたばかりに……」
(うん? リボンの事を知っていたの?)
リボンの事を知っていていたのかと、驚いてリーフは顔を上げアージェを見た。
「何です?」
リーフが何か言いたげな事に気が付いたアージェが聞いて来た。
「知っていたんだ……」
「いいえ。ただ、もし魔獣なら何らかのマジックアイテムで犬にしているのではないかと、思っていただけです。それでリボンが怪しいと思っていたのです」
「………」
アージェにしてみれば、まさかリボンに触れるとは思っていなかったのだろう。
「ヘリムさん、このゲージに入る気はないのですよね?」
「入りたくないからこの姿になったんだ」
アージェが、一応ヘリムに確認する。
あんなに嫌がっていたのだから確認するまでもないが。
アージェが困ったとばかり、ため息をつく。
「ではヘリムさん、大人しくついてくるというのならその姿でもいいでしょう」
そうフランクが言うと、ヘリムが頷いた。
「宜しいのですか?」
「仕方がないだろう。人の姿ではどう考えても入らないのだから……」
「申し訳ありません」
当初の予定では、ゲージに入れ封印した状態で、運ぶ予定だったようだ。
「まあ、本来の姿に戻るのは想定外だが、不慮の事故だしかたあるまい」
そうオルソも言った。
「ご、ごめんなさい……」
「君は何も責任を感じる事はない」
何となくリーフが謝ると、オルソがそう言ってくれて、リーフはホッとする。
アージェは、二年前と変わった感じだが、オルソは優しいままだと思ったのだった。
「では、行きましょう」
「リーフ。あなたもですよ」
フランクがそう言うと、アージェがリーフに声を掛ける。リーフは、こくんと頷いた。今更ジタバタしても仕方がない。
研究所を出ると、目の前には騎士団の馬車が停車していた。フランクが運転席に座る少年に声を掛ける。
「来た時同様に、裏道から騎士団の館までお願いします」
「はい!」
真面目な顔で少年は返事を返した。彼は新米騎士だ。
皆が馬車に乗り込む。
フランク、ヘリム、そしてアージェと並んで座り、向かい側にオルソとリーフが座る。
ゆっくりと馬車が発進した。
静かだが、少し低い声で言われリーフはビクッと体を震わす。
不正をして手に入れた魔術師証という事になり、突き出されれば魔術師証は撤回され、罰が科せられるだろう。
チラッとリーフがアージェの様子を伺えば、ジッと探るようにリーフを見ていた。それは、自分が思っている敵かもしれないという相手の目でないような気がした。
「あの……」
とんとんとん。
やっぱり話そうかなとリーフが口を開きかけた時、ドアがノックされた。
「はい」
「俺だ」
「開いております」
「失礼する」
俺だという台詞だけでわかる相手。つまり親しい仲だという事だ。
誰が入って来るのかと人物をリーフが伺っていると、驚く人物が入って来た。オルソだ!
リーフは慌てて顔を伏せた。
(僕をどうするつもり?)
アージェは、オルソを呼び寄せていた!
「彼は?」
「例の犬です。やはり魔獣でした」
だがオルソは、リーフより横にいたヘリムに興味があるようだった。
リーフは、何だがか体の力が抜けた。
入って来たのはオルソだけではなく、もう一人四十代ぐらいの騎士も一緒だった。彼は、青磁色の髪に薄緑の服だが騎士というよりは、アージェの様に研究者っぽい服だった。
「本当に魔獣だったか。で、何故この姿に?」
「封印が解けたようです。解いたのは、彼のようなのですが……」
オルソの質問にアージェは、リーフを見て答えた。
リーフは、伏せたまま視線を泳がせる。
「そう怖がらなくてもよい。俺はオルソ。彼はフランクだ。フランクは、アージェと一緒で研究者でもある」
研究者だったかと、リーフは心の中で納得する。
「さてまずは、団長にご報告だな」
「その方がよいでしょう」
オルソが言うと、フランクが肯定で返す。
「申し訳ありません。まさかこの様な事態になるとは思わずに。リボンに触れない様に言っておくのを忘れたばかりに……」
(うん? リボンの事を知っていたの?)
リボンの事を知っていていたのかと、驚いてリーフは顔を上げアージェを見た。
「何です?」
リーフが何か言いたげな事に気が付いたアージェが聞いて来た。
「知っていたんだ……」
「いいえ。ただ、もし魔獣なら何らかのマジックアイテムで犬にしているのではないかと、思っていただけです。それでリボンが怪しいと思っていたのです」
「………」
アージェにしてみれば、まさかリボンに触れるとは思っていなかったのだろう。
「ヘリムさん、このゲージに入る気はないのですよね?」
「入りたくないからこの姿になったんだ」
アージェが、一応ヘリムに確認する。
あんなに嫌がっていたのだから確認するまでもないが。
アージェが困ったとばかり、ため息をつく。
「ではヘリムさん、大人しくついてくるというのならその姿でもいいでしょう」
そうフランクが言うと、ヘリムが頷いた。
「宜しいのですか?」
「仕方がないだろう。人の姿ではどう考えても入らないのだから……」
「申し訳ありません」
当初の予定では、ゲージに入れ封印した状態で、運ぶ予定だったようだ。
「まあ、本来の姿に戻るのは想定外だが、不慮の事故だしかたあるまい」
そうオルソも言った。
「ご、ごめんなさい……」
「君は何も責任を感じる事はない」
何となくリーフが謝ると、オルソがそう言ってくれて、リーフはホッとする。
アージェは、二年前と変わった感じだが、オルソは優しいままだと思ったのだった。
「では、行きましょう」
「リーフ。あなたもですよ」
フランクがそう言うと、アージェがリーフに声を掛ける。リーフは、こくんと頷いた。今更ジタバタしても仕方がない。
研究所を出ると、目の前には騎士団の馬車が停車していた。フランクが運転席に座る少年に声を掛ける。
「来た時同様に、裏道から騎士団の館までお願いします」
「はい!」
真面目な顔で少年は返事を返した。彼は新米騎士だ。
皆が馬車に乗り込む。
フランク、ヘリム、そしてアージェと並んで座り、向かい側にオルソとリーフが座る。
ゆっくりと馬車が発進した。
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