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第9章 リーフの運命

第66話

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 リーフ達は、地下から戻り会議室にまた集合していた。
 そして、各々席に座っている。時計回りにガッド、ロイ、ダミアン、ウリッセ、一つ開けてアージェ、リーフ、フランク、オルソ、ゴーチェ順だ。

 「まずは、皆が無事で何よりだ」

 ガッドがそう言った。
 シリルは、エミールが去った後、また気を失ったが、命に危険はない。

 「さて、これからの事だが……」
 「陛下。それに関して提案があります」

 ダミアンがそう言うと、ガッドは頷く。許可を得たダミアンは、スッと立ち上がった。
 ここに戻る時にアージェから渡された、エミールがしていたブレスレットを掲げる。

 「これは、パッとみたところ、マジックアイテムの様です。エミールが言っていたようなアイテムならば、これに送られてくる魔力で、エミールが作ったと言うネックレスを追えるでしょう。解放したと言う村人もきっと、私はネックレスをしていると思っております。ですのでまずは、このアイテムを調べるのが一番かと思います」

 ダミアンの言葉に、リーフは掲げられているブレスレットを見た。

 (あれでお母さんとお父さんを追える!)

 少しは希望が湧き、リーフはまた泣きそうになる。

 「なるほど。やみくもに探すよりは、そっちの方が早そうだ」

 ゴーチェも賛成だと頷く。

 「では、ダミアンが中心となりアイテムの分析をお願いする」
 「はい。わかりました」

 ダミアンは頷き、着席した。
 思ったより早く、アイテムの回収と村人の捜索の方針がきまった。

 「さて、フランク。あなたには、これから取り調べが行われる。その後、あなたの処遇を決定するので、それまでは自宅謹慎をしているように!」

 ガッドにそう言われ、フランクは頷くと立ち上がった。
 そして、がばっと頭を下げる。

 「このたびは、大変ご迷惑をお掛けしました。申し訳ありませんでした」

 そう謝罪したのだった。

 「今回は、私達にとっても教訓になった」

 ガッドがそう言うと、フランクは頭を上げ椅子に座り直す。

 「リーフ。あなたには、もう少し王都に滞在して頂く。また、対策ができ安全が確認できるまでは、魔獣も許可なく召喚してはならん。アージェもそのようにな」
 「「はい」」

 アージェとリーフは返事をして返す。
 今回の事で魔獣がどういう者達かわかった。召喚師の意思一つで、魔獣を動かせる。また従わない魔獣もいる事もわかり対策は必要だ。

 「リーフですが、最初の予定通り私の所に住まわせてはどうでしょうか? お布団も用意した事ですし、リーフも村に戻る理由もないのですから……」
 「え!」

 リーフは驚くもチラッとオルソを見た。
 アージェは、リーフを女だとは知らない。しかし、リーフは行くあてがない。
 オルソは、頷いた。

 「えっと。アージェさんがそれでいいのなら、暫くの間お世話になります」
 「よかったです」

 アージェは、嬉しそうに微笑む。

 「ではリーフには、色々定まるまでそうして頂こう」

 ガッドもそれがいいと、アージェの意見に頷いた。

 「でだ……十歳になったら召喚師か魔術師か選ばせるのを廃止しようと思う。あなた達にはすまないが、魔法陣が消滅した今、必要が無いシステムとなった」
 「あの、宜しいでしょうか?」

 ゴーチェが意見を述べたいと手を上げた。
 それにガッドが発言を許可すると頷くと、ゴーチェは立ち上がった。

 「召喚師である私が言うのも何ですが、魔獣は危険すぎると思います。フランクから学べる事は沢山あった。魔獣の意思でしか、元の世界に戻らないとか……」

 チラッとフランクを見て、ゴーチェは述べた。

 「待って下さい! あのエミールは特例でしょう! 私が呼び出したスクランさんもヘリムさんだって忠実でした。それに最初から持って生まれたモノを封印だなんて……。私は逆に、魔術を取り戻したい。そう思っているぐらいです!」
 「アージェ。皆があなたのような者ではない。忠実に従うから厄介なのだ。少なくとも何かしら対策を取らないと、国が亡びる」

 立ち上がって抗議したアージェに、ゴーチェはそう返す。
 言いたい事はわかるが、アージェは納得がいかない。召喚の能力まで封印されれば、騎士を選んだ意味がなくなる。

 「ゴーチェ。あなたの意見はもっともだが、王都の外に召喚師の能力を持った者がいるのも事実だ。こちら側が召喚の能力を封印し失ってしまえば、何かあった時に逆に対応できなくなる」

 そうロイが、ゴーチェに返した。

 「確かに。殿下の仰る通りです。召喚師であっても大抵の者は召喚できないのですし、呪文を知らなければまず呼び出せない。召喚師の能力を封印しないのであれば、王都から出られないという事にして、召喚の能力を封印するかどうかだけを選ばせてはどうでしょうか?」

 今度は、ダミアンが提案する。
 それにロイが頷く。

 「そうだな。どちらにしても今の時代、召喚師になりたいと思っている者も少ない」
 「では召喚師の能力についてはそうしよう。どうだ。ゴーチェ」

 ガッドに問われ、ゴーチェはそれで宜しいですと頷き着席する。

 「後は魔獣についてだが。今回、魔獣対抗の剣が有効だという確証が得れた。これを元に色々とアイテムの研究を進めたい。それともう一つ。我が国以外に召喚師が存在するのかも調査したい。今回シリル達は、この国も者だったが他国でも扱える者がいるかもしれない」
 「ではそれも含め、調べる事に致しましょう」

 ガッドの言葉にダミアンはそう言って頷く。

 「では、早速。ウリッセ。悪いが先に研究室に戻り準備に取り掛かってほしい」
 「はい。わかりました」

 ウリッセはダミアンに頷いて返す。

 「アージェ、あなたにも暫くはお手伝い頂きたい」
 「はい。勿論です」
 「では悪いが、一緒に行って少し手伝ってもらって宜しいか?」
 「はい。リーフはどうしましょう?」
 「俺が後で連れて行く」

 オルソがそう言うと、アージェは頷き、立ち上がった。

 「フランク、あなたも私と来て頂こう」
 「はい」

 ゴーチェもフランクに声を掛けると立ち上がる。フランクも立ち上がり、ゴーチェについて行く。
 アージェもウリッセと部屋を後にした。
 気付けば、オルソとダミアンが何やら話している。そして、リーフは手招きされ、二人の側に行った。
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